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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 為替相場② (企業財務管理、国際金融/平松拓)

為替相場②

平松拓 企業財務管理、国際金融

14/11/25


前回は、為替相場の変動要因として、ファンダメンタルズ、すなわち経済の基礎的条件について説明しました。今回は、為替相場の変動をもたらす別の要因について考えたいと思います。

そもそも為替相場とは、一国の通貨の価値を単位として、別の国の通貨の価値を計ったものです。たとえば、日本円で計った時の外貨の値段が、これにあたります。それではその外貨の値段は、何で決まり、何で変動するのでしょうか。最初に種明かしをしてしまえば、それは為替市場における需給(需要と供給)です。その面では、一般の市場で取引されるモノなどの価格と共通する面を持っています。そして、為替市場においてどのような需要と供給があるのか考えていくことが、為替相場(即ち価格)変動の謎を解く鍵となります。

一つ目の需給として、モノやサービスの取引に関わる需給、すなわち貿易決済のための需給が挙げられます。日本の場合は、過去四年間ほどは貿易サービス収支では赤字が定着し、輸入超過となっています。したがって、市場ではその決済のための外貨の超過需要と円の超過供給が生じています。ただし、日本が外国に持っている資産と、外国が日本に持っている資産それぞれの収益の差額である所得収支は、大きな黒字となっています。そのため、経常収支ベースで見ると黒字であり、円の超過需要と外貨の超過供給が生じている状態です。これらの経常的な取引に関する超過需要や超過供給は、黒字や赤字の状況がそれほど頻繁には変化しないために、市場にとっては根雪的なものになります。また、外国為替市場では、資本取引に基づく需給に比べれば経常取引に関わる需給は圧倒的に小さいために、そのインパクトも小さいです。現に、現在の世界の貿易規模は一年間に40兆ドルである一方で、資本取引を中心とする世界の為替市場の取引規模は一年間に1000兆ドル超と言われています。貿易収支の担い手は主に輸出入業者であり、その規模は各国の景気動向や内需、為替相場、インフレ率によって変化します。

二つ目の需給は、資本取引です。海外との間の資本の貸し借りや、対内対外投資に伴う需給のことを指します。このうち、海外に工場や現地法人を作ったり、海外の企業を買収したりといった直接投資の需給は、経常取引と同様に比較的安定しており、根雪的な存在です。世界全体で見ても年間1.5兆ドル程度で、市場へのインパクトも限られます。しかし日本について見てみると、対外直接投資が一方的に増えてきているため、円の超過供給と外貨の超過需要がそこそこに市場へ影響を与えています。それ以外の、海外との間の証券投資や融資、あるいはその預金の取引に基づく需給は、一定期間に有利な収益率を達成しようという狙いで行われているため、規模が非常に大きく、世界の為替市場における需給の大きな原因となっています。こうした資本取引の担い手は、年金や生保の関連組織や投資ファンドです。為替相場や投資の収益性や金利差に影響する様々な要因が変化することで、市場において大きな超過需要や超過供給が生じることになります。日本の異次元金融緩和や米国の量的緩和終了といった金融政策の影響に伴う為替相場の変動では、これらが主役となっています。

三つ目の需給は、投機取引や裁定取引に基づく需給です。これらは、先ほどに述べた資本取引の要因となる金利差や、為替相場の予想に基づいて生じる取引、あるいは、様々な取引の結果市場に生じるゆがみを調整するために行われる取引です。非常に短期の間にめまぐるしく生じたり消えたりすると共に、簡単に流れが逆転しうるところに特徴があり、二つ目の需給である資本取引との区別が難しいものです。いずれにせよ投機取引はきわめて短期に大きな金額を取り扱うために、通貨危機の陰の主役でもあります。

今日の話をまとめます。
為替相場は、貿易取引や資本取引、投機取引によって発生する需給の総体で変動しています。それぞれの取引の性格や担い手を把握することで、為替相場の変動の要因を理解したり、先行きをある程度予想することが可能となります。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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