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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 為替相場① (企業財務管理、国際金融/平松拓)

為替相場①

平松拓 企業財務管理、国際金融

14/11/24


今回と次回の二回にわたって、為替相場の変動をもたらす要因について考えてみましょう。

一昨年末の安部政権の発足前後に始まった日銀の異次元緩和を主因として、円の対ドル為替相場は、それまでの円高から円安へ大きくシフトしました。昨年の中頃からは、アメリカの連銀による量的緩和政策の終了が取り沙汰されるようになり、それを材料にまた一段と円安が進みつつあります。もちろんその間にも、様々な要因でドル相場は上下動を繰り返していますし、また、日米2カ国だけでなく、当然他の国の通貨の為替相場も変動しています。

為替相場の変動要因を論じる場合、様々な角度からの議論が可能です。その代表的なものとして、経済ばかりではなく政治的な要素を含めたファンダメンタルズからの議論がしばしば行われます。ファンダメンタルズとは、もともとは基礎的条件という意味です。その中には次のような項目が盛り込まれています。

一つ目は、内外の金利差です。自国通貨よりも外国通貨の金利の方が高ければ、その間に為替相場が動かなければ、外貨で運用した方が大きな利益を得ることができます。つまり、ある通貨の金利が上昇する、或いは上昇する見込が強まれば、その通貨での運用を考える投資家が増えるため、その通貨が買われ、相場が上昇することになります。アメリカの量的緩和政策の終了を材料として米ドル相場が上昇し円安の要因となっている現状が、この例にあたります。

二つ目は、インフレ率の差です。インフレ率の高い国の通貨を持っていたとしても、将来、小さい価値の物しか購入できないことになります。そこで、インフレ率の高い国の通貨より、インフレ率の低い国の通貨で運用しようという方向に動きます。しかし一般にインフレ率の高い国では引き締め気味の金融政策が採られるために、高金利になります。したがって、一つ目に挙げた金利差だけではなく、インフレ率を差し引いた実質金利の高低差が相場に影響を与えると考えた方がよいでしょう。

三つ目が、景気動向です。端的にいえば、GDP成長率の高い国では、一般に投資収益率も良くなると期待されます。そこで、GDP成長率の高い国の企業には儲かるチャンスが多くあるため、そういう企業の株を購入しようと海外からお金が集まってくるのです。資金需要自体も旺盛ですので、その分、その国の通貨の金利は高くなります。アメリカの景気回復を示す高いGDP成長率の数字が発表される度に、円安ドル高が進んでいることが挙げられます。

四つ目が、国際収支です。特に貿易収支や、直接投資収支がしばしば取り上げられます。貿易収支で大きな黒字を計上していたり、直接投資が多額に流入していたりする国の通貨は、海外の輸入者あるいは投資家によって購入されることになります。したがって為替相場が上昇します。日本の場合は、貿易収支はこのところ赤字が定着した感がありますが、一方で海外資産からの所得の流入がそれを補っているので、経常収支で見ると黒字です。そのため、貿易収支が円安要因として採り上げられたり採り上げられなかったりです。一方で、直接投資の方は圧倒的に流出超過です。すなわち、外への直接投資が多く、日本への直接投資がほとんどないため、これは円安要因と言えます。

五つ目が、政治的な安定性あるいは地政学的なリスクです。今や世界中の資金が収益を求めて、国境を越えて活発に移動しています。政治的な安定性を欠く国では、経済を改善するための政策が取られにくいため、資金の流入が細くなり、流出が増えることになります。そうなると、通貨は安くなりますが、同時に、資金不足ゆえに金利が若干高まるため、ハイリスク・ハイリターンを求める投資資金がそれなりに流入し、結果的にはなんとか落ち着いていることもあります。しかし、一旦、テロや地域紛争が問題として浮上すれば、国際的な資金の流れが滞ります。その結果、投資資金は全体としてリスクが低い国へ集まり、リスクが高い国の通貨が売られることになります。

以上のファンダメンタルズの各要素は、おおよそその国の通貨の強弱と一致していますが、常に一致するというわけでもありません。なぜかといえば、資金の動きは人びとの予想に影響されるためです。今後ファンダメンタルズがどうなるかという予測や、為替相場そのものがどう動くかという見通しのもとに、短期的に大きな資金が移動します。これが原因となって、相場の実際の動きはファンダメンタルズから大きく乖離することがあります。

今日の話をまとめます。
為替相場の変動要因を考える場合、対象国のファンダメンタルズに注目すれば、その理由が見えることが多くあります。しかし、短期的には予測などにもとづいて活発な資金移動が生じます。したがってファンダメンタルズをもとに考える際には、ある程度中期的なタイムスパン、視点に基づいた方が、よく当てはまることがあります。

分野: ファイナンシャルマネジメント |スピーカー: 平松拓

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