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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イノベーション産業集積のメカニズム(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

イノベーション産業集積のメカニズム(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/11/11

・前回は、イノベーションを生み出す産業は、特定の地域に集積する傾向があり、そのような産業がもたらす雇用の乗数効果(波及して雇用を生み出す効果)は5倍にも達するので、世界中の多くの地域がイノベーション産業の誘致や創出に力を入れていることを解説した。
・今回は、そのような産業集積はどのようにして実現しているのかについて考察してみたい。

・例えばウォルマートの本社は、アーカンソー州のベントビルという、極めてコストの低い街に本社を置いてきた。いかにもディスカウントストアらしい。しかし、同社が新規にe-コマース事業を立ち上げるにあたって拠点として選んだのは、サンフランシスコの郊外というコストの高い地域だった。その理由として、全く新しいイノベーティブなビジネスには、「厚みのある高度な労働市場」「多くの専門サービス業(ビジネスのエコシステム)」「知識の伝播」が不可欠と判断したことによる。地域内にこの3要素が高いレベルで揃うと、生産性と創造性が高まり、結果としてイノベーション創出能力が高まる、というわけだ。

・また、バイオ産業の集積のメカニズムについて細かく調べてみると、実は「スター研究者」の存在が重要だということが研究で明らかになっている。一般論としては「優れた大学」が不可欠と言われてきたが、それだけでは不十分で、「ビジョンを持ち、画期的な技術を使いこなせるスター研究者」の存在が重要だという。このようなスター研究者は、その分野で最新の知識(研究成果)を生み出す核となっており、加えて、ベンチャー企業設立に関与することも少なくない。
・例えば、MIT(マサチューセッツ工科大学)には、ロバート・ランガーという著名な化学工学の研究者がいるが、この人の教え子からは120人の教授が生まれている。またランガーは、800本以上の卓越した論文、500件以上の特許、25社のベンチャー設立に関与しており、ボストン地域のバイオ産業集積に極めて大きな影響を及ぼしている。
・研究によると、バイオ産業のみならず、ハリウッドの映画産業の集積も、この説で説明できるという。ハリウッドの形成は1915年にさかのぼり、グリフィスという著名な映画監督が「国民の創生」というかつてない規模の映画を制作し、大成功に導いたことが、その後のハリウッドへの映画産業の集積のトリガーになったというのだ。

・以上のようなことが研究で明らかにされているものの、地域への産業集積には様々な要因が影響するため、一概に「こうすれば良い」という成功の方程式を導き出すことは難しい。しなしながら、地域が一丸となってイノベーション産業の集積を進めてきたテキサス州オースチンやノースカロライナ州リサーチ・トライアングルの事例もある。
・少なくとも、これらの地域は、長い期間に渡ってトップが地域づくりのビジョンを掲げ続け、リーダーシップとボトムアップとで様々な施策を組み合わせてきた。何よりも、地域が「目標を共有する」ことが不可欠なことは間違いない。

【今回のまとめ】
・イノベーション産業に集積メカニズムの研究は進んでおり、「高度な人材の集積による知識の伝播」や「スター研究者の存在」といった必要条件が徐々に明らかになってきている。少なくとも、長い期間に渡って地域が「目標を共有し続ける」ことが重要だ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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