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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「言語選択力」をきたえよう (戦略思考/荒木博行)

「言語選択力」をきたえよう

荒木博行 戦略思考

14/11/18


今日は、言語選択力について話します。言語選択力とは、要するに、適切な言葉を選ぶことができるスキルのことを指します。

ビジネススクールの学生から、よく言語選択力について尋ねられることがあります。「言いたいことがあるんですが、大事な場面で適切な言葉がすっと出てきません」、「インパクトがある言葉をぱっと言える人が周りにいますが、私はそういうのがどうも苦手です」といった感じです。

この問いに答える前に、言語選択力の重要性について説明しておきましょう。
言語選択力は、どの業界、どの職種においても、非常に大切なスキルです。私自身、前職では採用に携わっていましたし、今でも初対面の方とコミュニケーションする機会が多くありますが、やはり、短時間しか話していないにも関わらずその内容がこちらの頭に残る人と、長時間話したにも関わらず話の内容がこちらの頭に残らない人がいます。当然その背景には、言葉の選び方だけではなく、雰囲気の作り方など様々な要素が存在するでしょう。しかし、言葉の選び方というのは少なからずの影響を与えているように感じています。言語選択能力が高い人は、聞かれたことに対して、インパクトがありかつ的確でイメージしやすい言葉をぱっと持ってきます。それに触発されて、対話相手のイメージが具体化され、相手からも新しい言葉が引き出されるので、高い次元の会話のキャッチボールが出来上がっていくのです。

さて、そこで最初の問いに戻りましょう。言語能力を鍛えることはできるのでしょうか。
私は、鍛えることはできるものと考えています。そこにはいろいろなコツや鍛え方があるでしょうが、あえて一つだけ申し上げれば、「制約をかける」ことが大事でしょう。

よく言われることとして、日本の製造業の現場の生産性の高さは、「工場や土地の狭さ」に起因する、ということがあります。
広大に広がる土地を持つ企業は、狭小の土地を持つ企業に比べて、土地の使い方の関心は低くなるのは必然です。
一方で、狭い土地で生きて行かなくてはならないプイレイヤーにとっては、土地活用の効率性は死活問題になります。そうすると、狭い土地に置かれたプレイヤーは、当たり前のことですが、勝つためにみんなチエを絞るわけです。必死に悩むわけです。
そして、そこから結果的にイノベーションが生まれるのです。
そんな試行錯誤を10年くらい繰り返してみましょう。
広大な土地を持つプレイヤーでの現場での働き方と比較したとすれば、全く違う超効率的で生産性の高い現場が出来上がっているのです。

同じ原理は、今回の問いにも当てはまります。
短時間で何かを相手に伝えなければならない環境下に置かれている人はおのずと、言葉の選択に関して知恵を絞るようになります。一方で、時間的な制約がなかったり、言葉で伝わらなくとも人間関係によって伝わるという環境下に長くいる人であれば、言葉に対するセンシティビティが徐々に落ちていきます。そうした人に、「短い時間内でインパクトがある事を話してください」とお願いしても、困ってしまうのではないでしょうか。

そこで、時間の制約を設けた訓練が必要となるのです。
たとえば、1時間続く会議において結論を5分で出すように指示すれば、皆知恵を絞って、どのように決めるかという点や誰が実際に仕切るかといった点にも意識を向けるようになるでしょう。
こうした訓練を繰り返せば、皆、今までよりも短い時間で決断を下せるようになるかもしれません。
ビジネススクールでは、擬似的な経営判断をグループで10分以内にするように指示することがあります。土台無理な話ではありますが、10分でベストを出すために、何をまず考えるべきなのかという点に意識が向くようになります。そうなると、話す言葉にも無駄がだんだんなくなってきます。
もしくは、20分で話す予定のプレゼンテーションを、突然3分でお願いしてみます。そうすると、冷や汗をかきながらも知恵を絞って、適切な言葉を選択するようになるのです。このように時間的な制約をかけていくことによって、言葉に対するセンスが磨かれていくのです。

今日の話をまとめます。
今日は、言語選択力について話しました。適切な言葉を短時間で選びインパクトをもって伝える能力は、鍛えることができるものです。鍛え方の方法の一つとして、時間的制約をかけることを提案します。これによって、言葉に対するアンテナが高くなるとともに、無駄が削ぎ落されて、言語選択力の向上に繋がっていくように思います。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 荒木博行

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