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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > Big Wordにご注意 (戦略思考/荒木博行)

Big Wordにご注意

荒木博行 戦略思考

14/11/06

今回は、ビックワード(Big Word)というテーマについて考えていきたいと思います。

このビッグワードという言葉は、グロービス大学院でよく使われる言葉です。このビッグワードという言葉は、非常に抽象的であり、抽象度が高いために色々な解釈を生んでしまうような言葉、と定義しています。ビッグワードばかりを使っていると、ビジネス上、様々なリスクが生じます。私たちが論理思考について考える際には、このことについて、必ず皆さんに注意を促しています。

プレゼンテーションなどを聞いていると、朗々と話していて耳障りはいいものの、実のところ何を言っているのかよくわからない、ということが、しばしばあります。たとえば部の朝会で、部長が気持ちよく「我が社のサービス価値を上げるために精神誠意頑張りましょう」と話しているとします。皆それなりにしっかり聞いていますが、彼らに対して「今部長が言ったことって具体的に何をすることだと思った?」と訊ねてみると、十人十色の意見が出てきてしまうのです。こういう状態になってしまうのは、部長が使っている言葉が、ビックワードだから、ということに他なりません。たとえば「価値を向上させる」というのは、一般的には極めて抽象度が高く、いろいろな解釈が可能な言葉です。このような抽象度が高い言葉を使うときは、どれくらいの認識が揃っているのか、ということに注意をしなくてはなりません。もし使うのであれば、この語が意味するところを別の言葉で言い換えたり、具体例を添えてあげる必要があるのです。

私が以前に営業をしていたときに、某企業の人事部長から、「うちの社員にはビジョンを描けない奴が多いから、トレーニングをしてくれないか」と言われたことがありました。その隣にいた人事の担当者の方もふんふんと頷いて、「そうなんですね。組織の方向性が見えないという話をよく聞くんですよね」などと話されました。ここでいうビックワードは、「ビジョンを描く」です。聞き手がなんとなくわかったことになる語ですが、少し考えると、この語には色々な解釈が存在することに気がつきます。中長期的な組織の方向性を見いだせないということかもしれませんし、具体的に組織を動かす戦略がわからないということかもしれません。また、具体的にいつまでに何をすべきというアクションプランをいずれかの担当者が練ることができない、ということかもしれません。そもそも、人事部長と、人事部長の話を受けて横で頷いていた人事担当者との間でさえも、全然違うことを考えている可能性があるのです。そうした状況の中で、私がリーダーシップ研修の提案書を作って再訪しても、まったく見当外れのものとなりかねません。これは一例ですが、以上に見たように、ここかしこに、地雷が隠れているのです。こういうことに対して、会社内でビックワードの危険性に対する認識が十分出なければ、誤解や勘違いが社内でますます拡大し、新たな悲劇の種が生まれていくことになるでしょう。

このように、組織内でビックワードが横行している会社は、気をつけなければなりません。もちろん、あえてこういうビックワードを用いることで、部下や後輩に思考トレーニングをさせることもあるでしょう。たとえば、「お前ら、うちのサービス付加価値向上をどうしたらいいかを考えてみろ」という指示をして、彼らがどのくらいの目線で付加価値ということを捉えているのか、はたまた向上というのをどれくらいのレベル感に置いているのか、その視点を確かめる、ということもあっていいでしょう。このように意図を持って使う分には全く問題ありませんが、往々にして、ビックワードは無意識に使われているのです。

ビックワードには、形容詞や副詞にも含まれます。たとえば「早めに対処しておけ」の「早めに」は、どのくらいの時間を指すのか、といったことも、解釈がぶれる可能性は高いでしょう。動詞も「検討する」「対処する」といった言葉は危険です。あるいは、横文字の経営用語もその危険性が高いかも知れません。「シナジーを意識して早めに対処しとけ」などと言われた日には、もう目も当てられません。

皆さんの立場が上の場合、皆さん自身がビックワードで語ってしまった場合、部下の人たちはその言葉の意味することが理解できず、その結果として、言葉の解釈に無駄な時間を費やさざるを得なくなる可能性があります。そしてその曖昧な情報がさらに下の階層まで伝わって、悲劇が再生産することも出てきます。こういうことはあまり生産的ではありません。上の立場であるほど、言葉の重要さを認識する必要があります。話す前に自分でその意味することを確認するなど、日頃からビッグワードに対する感度を高めておくことが重要なのではないでしょうか。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 荒木博行

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