QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 「演繹法・帰納法」とビジネススクール (戦略思考/荒木博行)

「演繹法・帰納法」とビジネススクール

荒木博行 戦略思考

14/10/28


今日は、演繹法と帰納法について話します。私たちはロジックを組み立てる時に、無意識のうちにこの二つのアプローチを用いています。これらをきちんと理解しておくことが、ビジネス上、非常に役に立つのです。

まず、帰納法について見てみましょう。これは、Aという事象、Bという事象、Cという事象が起きた場合に、これら三つに共通の法則を考える、というものです。たとえば社内で、AさんとBさんとCさんが出世しているとしましょう。三人はいずれも、海外経験を有します。としますと、そこから帰納法的に考えれば、「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」、という結論に達します。

次に、演繹法について見てみましょう。これは、あるルールに対してある事象を組み合わせた時に何を言えるかを考える、というものです。先ほど取り上げた「我が社で出世するためには海外勤務が必要である」という帰納法的に考えられたルールに対して、「私は海外赴任を経験していない」という事象を組み合わせると、「私は出世しない」との結論に達します。このように演繹法では、あるルールに事象をあてはめることでおのずと結論が導き出されてくるのです。

帰納法を用いる際に大事なことは、経験やサンプルの幅がある程度ないと考えることすらできないという点です。たとえば、営業をほとんど経験したことがない人に営業の肝について尋ねても、サンプルがないために答えられないか、あるいは、一部の限られた極端なサンプルをもとに答える、ということになってしまいます。また、帰納法によって導き出された結論は、過度に抽象的ではなく、具体的である必要があります。先ほどの営業の肝の話で言えば、「帰納法的に考えると、営業の肝は気持ちです」などと答えられても、いまいちよくわかりません。具体的に考える力が、ここでは必要とされるのです。

一方、演繹法を用いる際には、知識を広げることが肝要となります。たとえば、ある飲料のマーケティングについて考えている人が、何か新しい商品を思いついたとしましょう。そこでさらに思考するためには、その消費財におけるマーケティングの基本となるルールをある程度は知っておく必要があります。そのルールに対して自分たちの商品をあてはめることによって、今後何をしたらよいのかわかってくるのです。このように、土台となる知識やルールをどれほど学んでいるかという点が、重要なのです。

以上を踏まえれば、ロジックを作る力を我々が鍛えようとした場合、まず演繹法の方が、短期的に効果が出やすいものと思います。なぜならば、事象に対して演繹法を適用させるためには、しっかりと知識を身に付けさえすればよいからです。

しかしその一方で、当然ですがそれだけでいいというわけではありません。むしろ帰納法的な考え方の方が重要になるケースが多い。それは何故でしょうか。演繹法は過去に生じた事象をもとに結論を導き出すというものです。しかし、ビジネスは刻々と変化します。過去の事象から導き出されたルールがすべてにおいて適応できるわけではありません。そこで、新たなチャレンジに直面するビジネスにおいては、目の前で起きている事象から新しいルールを生み出すという帰納法的考え方が重要視されるのです。たとえば、以前にお話ししましたオンライン教育も同様であって、この先どのように転ぶかわかりません。過去のルールや知識はもちろん有効ですが、これから戦って行く上で、使えなくなることもあります。そうなると、目の前のサンプルから新たな解釈を紡ぎだす力が、非常に大事になってきます。

私たちのビジネススクールでは、こうした帰納法的な力と演繹法的な力の両方をしっかりと鍛えることを重視します。演繹法的な思考のベースとなる必要な知識をしっかりと提供すること。またそれとともに、目の前の数少ない手がかりから何らかの解釈を導き出していく帰納法を鍛えること。こういったことを反復しながら素早い意思決定ができるように、日々トレーニングをしているのです。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 荒木博行

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ