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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > オンラインMBAプログラムの変遷とグロービスの戦い方 (戦略思考/荒木博行)

オンラインMBAプログラムの変遷とグロービスの戦い方

荒木博行 戦略思考

14/10/13


今回は、オンライン教育についてお話します。現在、オンライン教育は様々な形で変化を遂げ続けています。その潮流や今後の展望について、私の視点より述べさせていただきます。

オンライン教育を語る上では、三つのフェーズがあります。それぞれをフェーズ1、フェーズ2、フェーズ3と呼ぶならば、現時点で、我々はフェーズ2にいるものと考えます。なおフェーズ3は、未だ予想段階にあるものです。

フェーズ1は、2012年から2013年あたりに訪れました。この時期、MOOCs(Massive Open Online Courses、大規模オープンオンラインコース)というキーワードが、教育業界に吹き荒れたのです。アメリカなどの大学院を中心に、高等教育をオンライン上で無償で公開するという流れが一気に加速しました。UdacityやedX、CourseraがMOOCsの三大プレイヤーであり、このプラットフォームを通じてMITやハーバードといった著名な大学も、講座を公開するようになって行きました。これは、一部の限られた人だけが教育を受けるのではなく、全世界にいる貧しい人へも等しく教育の機会を与えようというモチベーションのもとに起きた運動の一環です。大多数が日本人である日本では、そうした教育の機会差を目の当たりにすることはそこまで多くありません。グローバルな言語である英語を主に用いる世界では、初等教育をも十分に受けられない人たちがまだ多く存在するため、彼らへ教育の機会を提供するというモチベーションが湧きやすいのでしょう。そうした中でMOOCsが広がることとなりましたが、これをフェーズ1と私は考えます。

そして現在私たちがいるフェーズ2は、仕組みを模索する段階です。先ほど申し上げたMOOCsの三大プレイヤーのひとつであるUdacityの創設者セバスチャン・スランは、いくつかの深刻な悩みを持っていました。講座を開講したところ、実際の修了者は登録者の10%に行くか行かないかという状態だったのです。つまり、完走する人がほとんどいなかった。これは教える側としては深刻な問題です。また、もう一つの課題は、「オープン」というキーワードにつながる問題です。オープンには、無料開放というニュアンスが込められていますが、そうした形態において、どのようにして収益モデルを構築するか、具体的にはどこからお金を貰ってくるかという点が課題になります。ここも実際に明快な答えは出ていません。現在は、学生のモチベーションを維持しつつ収益を上げて行く方法について、いろいろな模索が続けられているところです。もしかすると、この時期が一番面白いのかもしれません。もちろん、その動きはいろいろ見受けられます。モチベーションという点でいえば、大学と手を組んで単位を出せるようにする取り組みが出てきました。すなわち、完走することによるメリットを見せるようにしているのです。あるいは、ゲームの要素を取り入れているところもあります。収益モデルという点でいえば、アドバンスのコースを有料化し、有料会員は特別なサイトを見ることができるようにする、という取り組みもみられます。あるいは、成績優秀者が働いている企業とやり取りを行い、企業からお金をいただくという方法も試みられています。このようにオンライン教育におけるモデルの模索が続くのがフェーズ2です。

そしてやがてはフェーズ3に移行するでしょう。まだまだ先が見えない状況ですが、オープン化が進めば進むほど、集約化が進むと考えられます。地域的な障壁などがなくなるために、優勝劣敗がはっきりとしてくるのです。したがって、メジャーな学習領域においては、ごく少数の限られたプレイヤーが握ることになっていくでしょう。しかしその一方で、同時に分散化も進むと思います。つまり、ニッチな領域に対するオンライン提供も広がる、ということです。ものすごくニッチな学習領域であっても全世界からかき集めれば規模として成立するからです。この集約化と分散化が同時進行で起こる状態が、フェーズ3に相当します。実際、現在でも既にこうした動きが徐々に見えつつあります。

そうした状況の中で、グロービス・オンラインMBAはどのように戦って行くのか。我々としては、MOOCsのMに該当する「Massive(=大量)」ではなく「Small(=少数)」というモデルを考えています。つまり、20名程度の限定された人数の中で、リアルタイムに双方向で議論をしながら、モチベーションを高めて学んでいく、というアプローチです。こういうモデルのことをSPOCs(Small Private Online Courses)と呼ぶらしいです。これは、MOOCsの流れとは一線を画すモデルではありますが、新たな教育のモデルとして大いに可能性はあると考えています。

オンライン化が進んだ教育の流れが今後どのように変化していくのか、まだ分かりません。ただ、グロービス自身もその当事者として、オンライン教育のあり方に一石を投じながら、チャレンジを続けていきたいと考えています。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 荒木博行

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