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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 能力開発の3つの落とし穴 (戦略思考/荒木博行)

能力開発の3つの落とし穴

荒木博行 戦略思考

14/10/21


今回は、能力開発に焦点をあてます。より具体的には、若手のビジネスパーソンに見られがちな能力開発の3つの落とし穴についてお話します。

私は、ビジネススクールで教えている関係上、若手のビジネスパーソンが抱える能力開発に関する悩みと向き合うことが非常に多いです。やはり皆さん、仕事を一回りすると、そうした問題意識を持つようになるようです。その際に彼らが陥る落とし穴は、以下の3つに大別されます。

1つめが、「割り切り・決めつけ型」と呼んでいるものです。たとえば、「こういう風に生きると自分で決めたのだから、その専門性と突き詰めるためにこういう資格を取ります。こういう勉強をします」と考えている方がこのタイプに含まれます。もちろんこれ自体は別に悪いことではありません。しかし、どの程度深く考えたうえで自分の専門を決めたのかという点が重要となります。何かをしないといけないと焦ってしまい、半径2mくらいを見回して、そこにあったものに飛びつく。そしてその流れで関連する資格について勉強し、勉強することで焦りから解放される。こうした状況にある人は、結構多いのではないでしょうか。我々は冷静にビジネスパーソンとしてこの先どのくらいの時間を費やして生きるのかという点について、考えを巡らせなければなりません。定年の年齢がどんどん延びるだろうことを踏まえれば、今20代の方であれば70歳まで働くとしても、あと40数年のビジネスキャリアを有することとなります。そうであるにも関わらず、身の回りに見えているものにぱっと飛びつくことが果たしてどれほどよいことなのか、やはりしっかりと考えたいところです。当然のことながら、これまでは必要とされていたことが環境の変化によって不要となることも容易に想像されます。こうした状況においては、専門を狭めていたことが却って仇となりかねません。専門を決める際には、こうしたリスクが裏腹にあることを同時に考えて取り組む必要があると思います。

2つめが、「中途半端型」と呼ばれるものです。広く浅くとりあえず目についたものに飛びつく方が、このパターンに陥りやすいです。もちろん、自分の狭い世界に閉じこもっている人よりは、可能性を外へ広げるという意味では悪いことではありません。しかし、あっちのセミナーに行きました、こっちの勉強会へ顔を出します、売れているらしい本をとりあえず読んでみました、といった状況では、いずれの領域であっても表面的な理解しか得ることができません。いろいろと聞きかじって知ったつもりになっても、ビジネスの世界ではほとんど役に立たないどころか、むしろ弊害となることが多くあります。要するに「生兵法は大怪我の基」であって、中途半端にいろいろと手を広げて勉強したつもりになっているところが怖いのです。

そして3つめが、「ビジネスヒーロー憧れ型」です。著名な経営者や企業家といったビジネスヒーローに憧れて、その人の本を読んだりセミナーに出たりと、ある種のオタクになっていく方がいらっしゃいます。趣味の範囲でとどまっている分にはまだいいのですが、それをある種の能力開発と勘違いし、自分のビジネスにどのように生かすかなどと考え始めると、やや危険です。ビジネスヒーローの本やセミナーは、わかりやすい断片的な情報を提示している部分が多分に含まれますし、ヒーローたちのフィールドとこちらのフィールドの間には非常に距離があります。野球でたとえるならば、背面キャッチや振り子打法といったイチローの華麗なプレーを、野球を習いたての少年がいきなり真似し始めるようなものです。


こうした落とし穴にはまる人に共通していることは何でしょうか。それは、基礎固めを逃げている、ということにあります。やはり、遠回りに見えるかもしれませんが、どのような領域であっても基礎固めをしていくことが重要です。スポーツでもまずは、持久力をつける、足腰を鍛えるといった地味なトレーニングを続けて行きます。こうした姿勢は、ビジネスのフィールドにおいても大事なことです。ビジネスで言えば、思考力を鍛える、コミュニケーション力を鍛える、人の巻き込み方の基本をしっかり身に付けるといった点が、基礎固めに相当するでしょう。成功しているビジネスパーソンが表立ってこれらを鍛えているようには見えないかもしれませんが、過去を紐解けばそのような日々が確かに存在します。そうした点に改めて着目し、若手の皆さんにはまず基礎固めに取り組んでいただきたいと考えています。

最近私たちは、『27歳からのMBA グロービス流ビジネス基礎力10』(東京経済新報社、2014)という本を出版しました。これは、足元がふらつきがちな若手のビジネスパーソンに対して、基礎へ立ち返る重要性を伝えることを目的としたものです。今回の話や本書を契機に、若手の皆さんには自分の能力開発について今一度考え直していただきたいと考えております。

分野: グロービス経営大学院 |スピーカー: 荒木博行

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