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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 中小企業の競争力(その2:海外展開) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

中小企業の競争力(その2:海外展開)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/09/23

・前回は中小企業の競争力について、特に収益力の二分化の現状と、高収益の中小企業が有する特徴について考察した。
・今回は、中小企業の成長戦略のひとつである海外展開について考察してみたい。九州経済産業局の「九州経済国際化データ2013」によると、アンケート調査(回答数約550社、8割近くが中小企業)では、回答企業の6割が既に海外展開しており、拡大基調にある。ただし、売上規模1億円以下に絞ると5割に下がる。また、業種では製造業(75%)の方が、サービス業(56%)よりも海外展開比率が高い。
・このような傾向について、前回と同じく公益財団法人中小企業研究センターの調査報告書を引用しながら考察してみたい。

・従来の中小企業の海外展開の特徴は、
 「コストダウンのための生産拠点の移転」
 「取引先大企業の海外進出への追随」
 「安価な原材料の調達」
 「海外市場の成長に伴う販売拠点の確保」
といった点にあった。
・しかし、同センターが行った海外展開する中小企業16社に対して行った調査によると、従来とは様相が異なり、海外展開の内容がかなり多様化しているとのことである。

・まず、「コスト抑制の移転から、付加価値重視の移転へ」が挙げられる。従来は、進出国の水準を加味した生産拠点の整備が一般的であったが、工場設備の工夫や人材育成によって、日本と同等かそれ以上の付加価値水準で生産を行う企業もあるのだ。どのような生産設備かにも拠るが、設備の完成度が高く、あまり人の手を介さない生産工程であれば、高度な生産設備でそのまま付加価値の高い製造が現地で可能となる可能性がある。また、現地顧客に対してアフターサービスを充実させることによって付加価値を増し、顧客との取引関係の拡大を狙うことも十分にとりうる戦略となる。また、「チャイナ・プラス・ワン」によって中国以外のアジア各国への進出の動きも増加している。

・第二に、「新たな現地販路の開拓」が挙げられる。従来の海外展開では、取引先は従来から関係のある日系企業が中心だったが、近年はその枠にとらわれず、現地で新たな販路開拓(B2B、B2C)を行う例も増えているという。このことは、中小企業の競争力に多大な影響をもたらすと思われる。なぜならば、従来自社が有していた取引関係の枠を越えて、新たな顧客ニーズ(それも、日系企業ではなく現地企業や現地消費者)に対応することによって、製品開発の際に持つべき視点やスピードに対する認識が改まり、「世界で競争する」経験の蓄積が進むことによって、人材育成や製品開発、サービス、ひいてはビジネスモデル自体が変化を余儀なくされ、そのことを通じて「組織がたくましく」なることにもつながる。まさに、「他流試合」で自らを強くする行為に似ている。
・九州経済産業局の調査からも、「現地での新たな販路開拓」がデータで裏付けされる。同調査のアンケート回答企業の6割超が、2000年以降に進出を開始したと回答しており、「海外市場を新たに開拓するため」という理由が約7割でトップとなっているのだ。

・第三に、「現地での人材や研究開発機能の確保」が挙げられる。国内での中小企業の人材確保は、依然として困難である。一方、海外に目を向けると、現地の大学卒や日本への留学経験者の中に、優れた人材がそれなりの含まれており、彼らに活躍の場を与えることによって、大いに力を発揮するということも起きる。例えば、「築水キャニコム」という筑後の農機具製造販売会社は、留学生を多数採用し、日本で経験を積ませたあとに母国に戻らせ、現地での事業拡大のリーダーとして活躍させる、という方策で積極的に海外展開を図っている。
・また、現地の大学との共同研究を通じて、リスクを抑制しながら現地の橋頭堡を確保する、ということも有望な方策だ。例えば、大学の産学官連携を支援するセンターが、日本企業と大学との共同研究を橋渡しすることで、大学の研究室が「日本企業の現地進出拠点」としてスタートし、現地のニーズや規格に合わせた製品改良を行い、それを現地で販売する、という進出形態もある。この場合、「大学のお墨付き」があるので、出自の怪しい現地企業と連携するより大幅にリスク低くできる。

・公益財団法人中小企業研究センターの報告書も、「海外を決して遠い存在ではなく、身近なものとして捉え直すことが肝要だ」とまとめている。実は、様々な情報や技術の進展によって、中小企業の海外展開のハードルは下がっている。最後に求められるのは、「経営者の意識」と「行動力」ではないだろうか。

【今回のまとめ】
・中小企業の海外進出は、かつての取引先大企業の進出に追随し、現地生産を始めるパタンから、独自の市場開拓のため進出するパタンが増加している。もはや、下請けとしての「寄らば大樹の陰」が通用せず、独自の成長戦略を描くことが中小企業に求められている。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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