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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 交換留学②[受け入れ側として] (企業財務管理、国際金融/平松拓)

交換留学②[受け入れ側として]

平松拓 企業財務管理、国際金融

14/09/19

前回、留学生を派遣する方の観点から交換留学を論じましたので、今回は「交換留学の受け入れ」について採り上げてみたいと思います。

そもそも留学生を受け入れることの意議は何なのかということですが、元来は、我が国では留学生を受け入れることを、「国際社会の貢献」、それから「発展途上国への支援」という観点で捉えてきました。これは明治維新以降の我が国の歴史の中で、留学生が西欧諸国に追いつくために大きく貢献したということが背景になっているかと思います。また当時、我が国から留学生を受け入れた西欧諸国についても、同様の受け入れ理念があったのではと考えられます。しかしその後の留学の大衆化と相まって、各国の留学生の受け入れ姿勢というのは実は大きく変化しているのです。留学生を教育産業のお客さんとして捉える、経済主導型の受け入れ理念、これが非常に強く打ち出されるようになってきています。こうした変化の中で、我が国の留学生受け入れについても、人口減少社会を反映して「日本企業のための人材の供給」であるとか、あるいは「移民候補の育成」、そういった新たな目的も意識されるようになってきました。もちろん、留学生の受け入れが、我が国の国民にとっての国際理解に役立つという期待感も引き続き維持されていると思います。

留学生の受け入れは個々の教育機関にとっても重要な意味を持っています。一頃、一部の大学が定員割れを補うために、就労目的の外国人を大量に留学生として受け入れた、そんなこともありましたけれども、これは悪しき例外で、交換留学の場合にはほとんど考えられないケースだと思います。大学にとって、留学生の受け入れの意義は、基本的には「学生の国際理解が広がり、優秀な留学生の獲得や学生のバックグラウンドの多様化ということを通じて、授業における議論がより深まる」といったことが挙げられるのだろうと思います。

しかし留学生の受け入れには難しさもあります。当然に受け入れ体勢の整備といったことが結構負担にもなるわけですけれど、それと並んで授業に用いる「言語の問題」が実は大きいのです。我が国の大学等では、日本語による授業がほとんどですが、日本の文化、社会、制度などを学ぶ学問分野においては、留学しようとする外国人学生にとっても、日本語での学習が自然であって、その点で大きな問題はないかと思います。しかしそれ以外の分野では日本語での学習や研究が必ずしも必然的ではないことから、日本語による授業は優秀な外国人学生を呼び寄せるのに制約になり得るわけです。結果として、日本の大学等で日本語が必然でない分野の学習研究を行うという外国人は、元々日本に興味を持っていた等の理由で日本語を学んでいたような学生中心になるかと思います。またそうした分野で日本の大学院等に留学してくる外国人学士も、学士課程では主に日本語を学んでいた人が中心にならざるを得ないかと思います。そのため、志願者の数が限定されるとか、あるいは入学時の専門分野についての知識レベルが必ずしも十分ではないといった傾向があろうかと思います。これは交換留学生についてもある程度同様なことが言えるのではないかと思います。これに対して授業が全部英語というプログラムを提供する大学も現れています。ところがこういったプログラムについては潜在的な留学生候補の数は格段に大きくなるわけですけれども、逆に留学生を中心とした構成になってしまって、逆に思うように日本人学生が集まらないといった弊害もあるようで、この問題の根はやや深いと思われます。

こうした点で私ども、QBS交換留学生受け入れというのは1つのモデルになるのではないかと考えています。少しご紹介すると、QBSでは例年秋学期に10名前後の交換留学生を提携校より受け入れており、今年度も11名の学生がアジアからやってきます。この数はQBSの1学年45名という数との比較で考えると決して少なくない数だと思います。受け入れ学生のほとんどは英語でMBAを学んでいる、あるいは母国語でMBAを学んでいるが英語力に問題はないという学生で、日本語を学んだことのある学生はごく少数です。一方、QBSの学生は、選択必修として英語で経営を学ぶ科目2科目の単位修得が卒業の為の要件になっており、そのためにQBSでは10科目弱の英語の開講科目を提供しているわけですけれども、交換留学生はこうしたQBSの英語開講科目に加え、九州大学全体で提供している英語科目、一部の学生は日本語の科目などを希望に応じて履修します。

この結果、先ず、日本語の話せない交換留学生も、QBSにおいて専門科目を受講することができます。同時に、QBSの学生にとっては選択必修の英語開講科目で、交換留学生と英語で議論しなければならない訳で、英語開講というだけでも難題であるのに、日本語をしゃべれない相手と議論するために、否応なく英語を使うことになります。つまり、仕事により留学が難しい社会人学生にとっても、疑似留学的な体験が得られる訳で、教育効果が高いのではないかと考えています。QBSで採用しているこうした「ハイブリッド型のカリキュラム」は、国内の学生、それから交換留学生を含む留学生双方にメリットをもたらすものと考えています。

教育のグローバル化の一環として、英語による授業の提供が求められ、また、同時に、優秀な留学生の受け入れを考えなければならない状況に置かれた大学は多いと思います。とはいえ、提供科目の言語構成をいきなり英語にする訳にはいかないことが1つのネックとなりますが、こうした「ハイブリッド」型カリキュラムが解決策の1つのモデルになり得るのではないかと思います。

分野: ファイナンシャルマネジメント 国際経営 |スピーカー: 平松拓

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