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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 最近の景気 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

最近の景気

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/09/12

アベノミクスにより、景気は回復しています。しかし、今回の回復は、従来の常識とは異なる面が多く、「不思議な回復」と言えます。
まず、アベノミクスの金融政策は、世の中に出回る資金の量を増やすことで景気を回復させよう、という事でしたが、実際に起きたことは、世の中に出回る資金の量は増えなかったのに株価が上がり、ドルが高くなり、景気が回復した、という事でした。政策の意図とは違う道筋でしたが、とにかく景気が回復したのですから、目出たいことです。
次に、ドル高円安なのに輸出が増えず、内需主導の景気回復となりました。しかも、株高で潤っている富裕層の高額消費に加え、給料が増えていない庶民による「プチ贅沢」も流行りました。「景気は気から」なのでしょう。
こうして、従来の常識と異なった経路で景気が回復したため、エコノミストの中では混乱や戸惑いもあるようですが、とにかく景気には一度回復しはじめるとそのまま回復を続けるという性質があるので、今後も回復は続くでしょう。
エコノミストたちを困惑させている物が他にもあります。消費税が上がった後の経済指標にも、奇妙なものが散見されるのです。
4−6月期のGDPが大幅なマイナスとなり、景気の失速を懸念する声も上がっていますが、有効求人倍率は上昇を続け、人手不足は一層深刻になっています。企業収益も概ね好調です。乗用車販売、スーパー売上高など、販売側の統計を見ると、駆け込み需要の反動減は限定的に見えますが、消費側の統計である家計調査は大幅な落ち込みを見せています。
このように一見矛盾した統計が出て来た時には、「長年の経験と勘」を用いてどちらを信じるのかを判断する必要があります。筆者は、「家計調査の調査対象に偏りがあるのだろう」と推測しています。家計調査は、数千の家計簿を集計した統計で、調査対象の家計が定期的に入れ替わるため、たまたま豊かな家計から貧しい家計に調査対象がシフトしたのだろう、というわけです。
調査対象となっている勤労者家計の可処分所得を見ると、2月までは前年比がプラスで推移していたのが、3月からマイナスに転じています。雇用情勢が改善している事を考えると、これは奇妙です。つまり、「家計調査の結果は実際より悪く出ている可能性が高い」という事になります。
そう考えれば、GDPが悪くて人手不足が続いている事も理解できます。GDP統計の作成には、家計調査の結果も用いられているため、GDPが実際より小さく出ているのです。
4−6月期のGDP統計が1−3月期と比べて大幅なマイナスとなった事から、景気が失速したと考える人もいるようですが、大丈夫でしょう。根拠は二つあります。
第一は、上記のように、実際のGDPは発表値よりも大きいと思われる事です。今ひとつは、4−6月期のGDPが1年前と比べて減っていない事です。1−3月期が良すぎたので、それと比べたマイナスが大きく見えているだけであって、駆け込み需要の反動減があったにもかかわらず、1年前と比べれば、GDPは減っていないのです。
7−9月期のGDPは、反動減が緩むので、4−6月期と比べれば間違いなくプラス成長になるはずです。水準としても、昨年後半よりも高くなるでしょう。そうなれば、人々は「景気は増税を乗り越えて拡大し続けている」事を実感するでしょう。
余談ですが、7−9月期の成長率を見て判断される次期消費税率引き上げですが、おそらく順調に引き上げが行なわれる事になるでしょう。
財政再建の見地からも、国際公約に近いものとなっている税率引き上げは実施すべきですが、今ひとつ、「景気の過熱で人手不足が深刻化しないように」という配慮も働くかも知れません。アベノミクス前までは「増税すると失業が増えてしまうので、増税は待つべき」という論者も多かった事を考えると、隔世の感がありますね。


まとめ:景気回復の発端は不思議なものでしたし、その後も奇妙な経済指標が散見されますが、兎にも角にも景気は順調な回復を続けています。4−6月期のGDPは、1−3月期と比べれば大幅マイナスになりましたが、一年前と比べれば減っていないので、心配は無用です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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