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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 景気の変動 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

景気の変動

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/08/20

景気は、一度回復をはじめると、そのまま回復してゆく性質を持っています。物が売れるようになると、企業が生産を増やすために人を雇います。雇われた人は給料がもらえるので物を買うので、ますます物が売れるようになる、というわけです。売上が増えると、企業は新しい工場を建てるかもしれません。そうなると、鉄やセメントや設備機械などが売れるので、ますます景気は良くなります。反対に、景気が一度悪化しはじめると、そのまま悪化してゆきます。物が売れないから作らない、作らないから雇わない、というわけです。しかし、景気が無限によくなったり悪くなったりする事はありません。
まず、景気が悪化すると失業が増えるので、政府や日銀が景気対策によって景気の方向を変えます。日銀は、金融を緩和します。これは、世の中に大量の資金が出回るようにする事です。普通であれば、これによって世の中の金利が下がるので、借金をして設備投資をする会社が増える事などが期待されるわけです。最近では金利がすでにゼロなので、日銀が金融を緩和しても景気は良くならないのではないか、という話は、今回のアベノミクスの話との関連で興味深いのですが、話が長くなるので、別の機会にしましょう。
政府も、公共投資によって景気の回復を図ります。政府が自分で橋や道路を作れば、建設会社が失業者を雇い、雇われた失業者が物を買うようになるので景気が回復する、というわけです。公共投資は無駄が多いとか景気回復に役立たないとか言う人も多く、最近では人気が無いのですが、失業者を雇うわけですから、景気回復に役立つ事は間違いありません。もちろん、無駄でない道路を作る方が良いには決まっていますが。
反対に、景気が良すぎてインフレが心配な時には、日銀が金融を引き締めて、景気をわざと悪くする事もあります。日本経済は、バブルが崩壊してから不振が続いていたので、景気がよすぎてインフレになる、と言っても若い方は想像がつかないかもしれませんが、景気がよくなると売り手が強気になって値上げをしたり、労働組合が強気になって賃上げを要求したりするので、インフレになりやすいのです。
インフレが心配な時に政府が何をするのかと言うと、特に何もしません。せいぜい、景気対策として予定されていた公共投資を少し待ちましょう、という程度でしょう。インフレが心配だから増税します、という事は理屈の上ではあり得るのですが、増税するには国会で長い時間審議をしなければならず、決まってから実際に増税するまでも時間がかかるので、タイミング的に間に合わないからです。下手をすると増税した頃には景気が悪くなっているかも知れないわけです。
政府や日銀が何もしなくても、景気が方向を変える場合もあります。リーマン・ショックのように、外国の景気が悪化して日本からの輸出が減ったり、反対に外国の景気が良くなって日本からの輸出が増えたりすると、日本の景気にも大きな影響があるからです。
つまり、私たちが景気の予想をする時には、3つの事をすることになります。まずは、去年より今年の方が景気が良い、つまり景気が上を向いているので、来年はもっと良くなるだろう、と予想します。あとは、インフレが心配かどうか、政府や日銀が景気をわざと悪くさせる可能性があるか、考えます。最後に、外国の経済の専門家に、外国の景気が悪くなりそうか、聞いてまわります。今の所、景気は上を向いていますし、政府や日銀が景気をわざと悪くさせる事は無いでしょうから、外国で大きな事件が起きない限り、景気はこのまま回復を続けて行くだろうと考えて良いでしょう。
景気が自分では方向を変えない、という事は、景気を見る上で今の方向がとても重要だという事になります。政府が景気対策をとって、景気が下向きから上向きに方向を変えたとします。その直後は、景気の水準は低いです。別のいい方をすれば、景気は悪いです。しかし、方向は上を向いています。こうした時、政府は景気回復宣言を出します。景気は回復しはじめた、というわけです。
これを聞いて、「政府はちっともわかってない。景気はちっとも良く無い」とおっしゃる方も多いのですが、政府は方向の話をしているので、水準として景気が悪い事は政府もわかっているのです。「今はまだ、景気は悪いけれど、方向は上を向いているから、しばらく待てば景気がよくなりますよ」という宣言なのです。
重い病気で高熱にうなされた後、熱が下がった時に、お医者様が「命は助かりました。あとは、無理をしなければ、いつかは退院できますよ」といえば、皆「有難うございました」というでしょう。「私はちっとも元気じゃありません」と文句を言う人はいないでしょう。政府の景気回復宣言も、同じことなのですから、是非とも素直に「しばらく待てば景気はよくなるのだな」と考えて、喜んでいただければと思います。
今回は以上です。

まとめ:
景気は自分では方向を変えません。政府日銀が方向を変えるか、外国の景気などによって方向が変わるか、どちらかです。政府の景気回復宣言は、景気の方向が上を向いた事を示すもので、水準として景気が良いという事ではありません。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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