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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 九州の自動車産業(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

九州の自動車産業(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/07/24

・前回は、北部九州の自動車産業では、1次サプライヤー・地元製造業共に、研究開発や設計部門を持つ比率が低いという話をした。
・同時に紹介した大型加速器の開発事例では、スイスのCERNと共同で加速器関連の技術開発を実施した企業の38%がCERNとの取引後に自社独自の新製品開発に成功し、52%がCERNとの取引実績でその後の売上が増加した。そして、それら企業の9割が従業員数200人以下の中小企業だったという事例を紹介した。高いレベルでのものづくり力をもつ中小企業が、最先端の共同開発を経験することで、国際的な競争力を高めているのだ。

・今日は、そのスイスCERNと周辺企業との技術開発でなぜ企業側の競争力が向上したのかという点について考察し、そこから九州の自動車産業が参考にできることはないかを考えてみたい。
・まず、CERNと新たな加速器の技術開発を共同で行った企業のCERNとの取引額だが、5年間総額が1億円以下だった企業が3/4を占める。つまり、毎年の開発委託による収入は数千万円程度なのだ。
・次に、開発した技術の新規性だが、「ほぼ新規」「開発中だったもの」で半分を占める。つまり、既に保有している自社技術をCERNのプロジェクトに適用するのではなく、CERNとの取引をきっかけに新しい技術開発に挑戦している、という姿が浮かび上がる。
・また、開発対象技術の市場の新規性については、「完全新規」「新たに生まれつつある」で35%を占める。つまり、CERNとの取引を通じて技術開発に挑戦し、そこで獲得した技術力を応用して、新たな新規市場への参入や創造を行っているのだ。
・そして、最も興味深いのは、CERNと中小企業とのコミュニケーションの量だ。受注期間中の企業とCERNとのコミュニケーション頻度は、毎週が4割、月数回が35%と、ほとんどの企業がCERNと密なコミュニケーションを取りながら技術開発を進めたことが分かる。CERNが一方的に発注仕様を示し、企業はそれに応えるだけではなく、企業はCERNと共同で技術開発を行う過程で密なやりとりを繰り返し、それによって技術力を獲得していったという姿が窺える。

・話を自動車産業に戻そう。完成車メーカーに部品を採用してもらうには、安全性や耐久性、コスト、品質、納期・・・、極めて高度な要求に応える必要があり、中小企業にはハードルが高い。また、メーカーからの発注や社外とのコミュニケーションに「社風」が影響することもある。
・例えば、完成車メーカーA社は、開発担当者は若いが決裁権限や予算を持たされており、有望な技術を持つ全国各地の中小企業と密に連携を取って開発を進め、目標とする仕様を満たす部品を完成させようとする。一方、別なメーカーB社は、開発担当者の決裁権限は限定的で、社内で承認された開発プロセスを忠実に守り、中小企業が開発に対応できるかを十分見極めてから「委託する」ため、両者がノウハウを持ち寄って創意工夫する機会が少ない、といった違いも生じる。

・では、九州の部品メーカーが、より自立的な開発力を持つためにはどうすべきか?例えば、福岡県内のある企業は、半導体製造装置で培った技術を活用して自動車分野に参入するため、別な地方の自動車関連での技術と実績を持つ中小企業と連携し、自社技術を応用して相手企業の技術の高度化を図り、自動車分野への参入力を蓄えている。
・中小企業が持つ経営資源は限られている。特に自動車産業は参入のハードルが高い。しかしながら、自社の強みを活かせそうな魅力的な参入機会を見出すことができれば、自社とシナジーのある社外の資源に目を向けて、高い技術と意欲を持つ企業間で連携するという方法も取りうるのだ。

【今回のまとめ】
・中小企業が持つ経営資源は限られている。しかし、魅力的な参入機会を見出せたら、参入を果すために高い技術と意欲を持つ企業間で積極的に連携するという行動を起こすことが必要ではないか。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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