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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 九州の自動車産業(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

九州の自動車産業(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/07/23

・以前の放送で、「車と車社会の未来」というテーマで、低燃費化(HV、EV、FCV)の傾向やカーシェアリングの普及について話をした。
・今日は、「九州次世代自動車産業研究会」が2013年にまとめた報告書を一部紹介しながら、九州の自動車産業について考察してみたい。

・北部九州地域への自動車産業が集積しはじめて既に長い時間が経つ。日産自動車の苅田での生産開始は1976年、トヨタ自動車九州の宮田での生産開始が1992年、ダイハツの大分中津の生産開始は2004年だ。
・福岡県は、2006年に北部九州での自動車生産台数を150万台とする目標を掲げ、2012年度には143万台に達したことから、その後、新たに180万台の生産を目標とし、産学官で産業集積と生産台数増加への取組を継続している。既に、上記3社の生産拠点だけでも、雇用は16,000人を超えており、サプライヤー企業を含めて、巨大な「産業」を形成しているといえる。
・「九州次世代自動車産業研究会」が完成車メーカーと取引のある部品関連企業を対象に2012年に行なった調査からは、完成車メーカー(トヨタ、日産、ダイハツ)の九州進出に伴い、メーカーからの要請に応じて1次サプライヤーが九州への進出を決めたという経緯が窺える。
・ただし、どのくらい高度な機能を北部九州に移しているかというと、「研究開発」「設計部門」の両方を保有している1次サプライヤー企業は17%にとどまっており、その9割近くが、「今後も機能を新設する予定はない」と回答している。やはり、1次サプライヤー企業の中枢は関東や東海などの地域にあり、九州はあくまでも製造の場にすぎない、というわけだ。
・また、完成車メーカーと既に取引のある地場企業の場合、「研究開発」「設計部門」の両方を保有している企業の比率は12%と1次サプライヤーの比率よりも低く、メーカーから要請があっても新設する予定はない」と答える企業は75%に上る。つまり、メーカーからの製造下請けの構造を脱する意向は弱い。

・昨年の夏に、この放送のなかで、ILC(国際リニアコライダー)という素粒子物理学の研究に必要な次世代加速器の背振地域への誘致について話したことがあった。ノーベル賞級の研究を支える巨大加速器の建設と稼働(投資額1兆円)は、地域のものづくり産業へのインパクトも大きいことが予想される。
・例えば、スイスのジュネーブに立地するCERN(セルン)という研究機関には、LHC(リニア・ハドロン・コライダー)という世界最大規模の加速器がある。CERNが2003年に発表した資料によると、1997年から2001年の5年間に、CERNと共同で加速器関連の技術開発を実施した企業の38%がCERNとの取引後に自社独自の新製品開発に成功し、52%がCERNとの取引実績でその後の売上が増加したのだ。特徴的なのは、調査対象企業の9割が従業員数200人以下の中小企業だったということである。高いレベルでのものづくり力をもつ中小企業が、CERNとの間で最先端の共同開発を経験することで、国際的な競争力を高めることに成功しているのだ。

・このことを、自動車産業に比較してみるとどうだろうか。(もちろん、自動車産業と次世代加速器を同列には比較できないが、)それなりのレベルのものづくり力を持つ九州の中小企業と完成車メーカーとが共同で先端の部品開発に取り組むことによって、地元の中小企業は国際的な競争力を高めることはできないのだろうか?

・優れた技術と高い意欲を持つ九州の中小企業に、高度な研究・技術開発の経験とノウハウ蓄積が進み、国際的な競争力を持って成長することを期待したい。

【今回のまとめ】
・北部九州の自動車産業は、180万台の生産を目標に切磋琢磨を続けているが、1次サプライヤー・地元製造業共に、研究開発や設計部門を持つ比率が低い。製造技術の蓄積を設計や研究開発に反映させ、より高度なものづくりを志向する必要がある。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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