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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 本物感(Authenticity) はどこから育まれるのか? (マーケティング/岩下仁)

本物感(Authenticity) はどこから育まれるのか?

岩下仁 マーケティング

14/06/25


本題に入る前に、まず質問させていただきます。

椅子が三つある様子を思い浮かべて下さい。家の椅子が古くなったために、ちょっと良い椅子を買おうと考えているところです。いずれの価格も、15万円~20万円ほどです。一つ目は、最先端の人間工学に基づく高度な技術を用いた設計の椅子です。だから、座り心地がすごく良いのです。二つ目は、ちょっとシックな感じの、英国王室御用達と書いてある椅子です。キャッチフレーズには、「熟練の職人が一皮一皮を丁寧に縫い合わせた」と書いてあります。一つ目とはまったく違う椅子です。三つ目は、新進気鋭の有名デザイナーが作った椅子です。キャッチフレーズに、「世界的なデザイン賞を受賞しました」と書いてあります。だから、非常にモダンな感じがします。

これら三つの椅子の中でどれが一番本物っぽいかという視点で、一つを選んでいただきたいのです。長く使う椅子なわけですから、本物っぽさを追求したいわけです。

だいたいの方が、熟練の職人が一皮一皮を丁寧に縫い合わせた二つ目の椅子を選びます。ただたとえば一番の椅子は、人間工学に基づいて作られたものですから、長時間座っていても疲れません。三番目の椅子はデザイン性に優れているため、非常に格好いいのです。いずれも同じ価格帯にありますが、なぜか皆さん、シックな王室御用達の椅子を一番本物っぽいものとして選ぶのです。こうした本物っぽさは、どこからやって来るものなのでしょうか。

実はこれは、最近のマーケティングの世界で一つのコンセプトとなっております。日本語で真正性、英語ではauthenticityと言います。たとえば九州には、ハウステンボスというレジャーランドがあります。西洋の町並みを、細部に至るまで再現したものです。ここではその雰囲気から、本物っぽさが出ているのです。消費者の視点で見た時に偽物っぽさを感じてしまうと、消費者の中にネガティブな感情が出てきます。しかし、本物っぽさがあれば、ポジティブなイメージを感じるのです。

それではより具体的には、本物っぽさはどこから出ているのでしょうか。この点については、ビバーランドという研究者が、本物っぽさを消費者の中に醸成するためには三つの視点が必要であると話しています。一つ目が、真実性です。たとえばハウステンボスの場合、使用する素材に非常にこだわっているため、建物すべてが使用可能となっています。風車も本物ですので、実際に使うことができます。単なるレプリカで実際には使えないというものではないのです。こうした真実性が、本物っぽさを産むために重要となります。

二つ目が、偽りの無さです。これは、消費者を欺いていないかどうかということです。ハウステンボスでは、煉瓦の一つ一つにいたるまで、すべてが本物です。コストを安くするために安いレンガを用いるという方法もありますが、ハウステンボスではこれをしておりません。本物の煉瓦をヨーロッパから取り寄せて、オランダと同じ町並みを再現しています。年月を経るほどに、古いヨーロッパの味わいが出て来る作りとなっているのです。

三つ目が、実在性です。現実に存在しているものを、ビバーランドはこう呼びました。ハウステンボスの中にあるホテルでは、日本の中で西洋を再現するために、公用語を英語としています。もちろん皆さん日本語を喋ることもできるのですが、公用語が英語であるために、ここを訪れた方々は海外へ行った気分になるのです。ハウステンボスは、この点、実在性をも実現していると言えるでしょう。

今日のお話をまとめます。
最近、ホテルやレジャーランドなどのサービス業において設備を開発する際には、真正性という言葉が非常に注目されています。これはまさに、消費者から見た場合の本物っぽさを表すものです。真実性と偽りの無さと実在性という三つの視点が、ここでは重要となります。消費者に対して真実味が高いサービスを実現するためには、こうした考え方が大事なのです。

分野: マーケティング |スピーカー: 岩下仁

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