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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 財政赤字② (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

財政赤字②

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/06/06

  財政赤字が大きいと、何が困るのでしょうか。財務省のホームページなどを見ると、いろいろな問題が指摘されていますが、本当に困ることなのか議論のあるものも少なくありません。
  よく言われるのは、「今の人々が借金で良い生活をして、その借金を返すのは将来の人たちだから、世代間の不公平である」、という事です。しかし、日本政府は外国から借金をしているわけではありません。そこで、「家の中でお父さんがお母さんから借金をしているようなものだから、大した問題ではない」、という人もいます。私は後者の立場です。「日本国債を持っているのは日本人なので、次の世代の中には親から日本国債を相続する人がいる」という事も考えると、世代間の不公平という事はあまり問題ではないと思っています。親から相続できる人と出来ない人の世代内の格差はありますが、それは財政赤字の問題という訳ではないので、別の機会に御話しすることにしましょう。
  比較的説得力があるのは、「日本政府は借金を返せないのではないか」という噂が広まると大変だ、という事です。実際、数年前のスペインやイタリアでは、そうした噂が広まって、政府が借金をしようとしても、素直に貸してくれる人がいなくなってしまったのです。仕方ないので、「高い金利を払いますから貸して下さい」と言って高い金利で借りたのですが、そうなると今度は、「あんなに高い金利で借金をしたら、利子の支払いだけで財政赤字が膨らんでしまう。本当に大丈夫か」と心配する人がますます増えてしまった、というわけです。
  日本で同じ事が起きたら大変です。日本政府は借金が1000兆円ありますから、金利が1%上がっただけで年間の金利支払いが10兆円増えてしまいます。税収が50兆円しか無い事を考えると、これは大変な事です。借金の多くは長期国債ですから、借り換え時期が来るまでは金利が上がらないわけですが、いずれは借り換えるわけですから、時間の問題です。
  それだけではありません。国債を買いたがる人が減ると、国債の値段が下がるので、国債を大量に持っている銀行が大損をして、貸し渋りなどが始まるかもしれません。銀行が大損をして自己資本が減ると、貸出が増やせなくなるからです。
  国債の金利が上がるという事は、同時に民間企業の借り入れ金利も住宅ローンの金利も上がりますから、設備投資や住宅投資が減って景気が悪くなる、という可能性もあります。
  反対に、景気が良くなることで金利が上がる場合もあります。今は日銀が思い切った金融緩和をしているので金利が非常に低くなっていますが、景気が回復していくと、いつかは日銀が金融緩和をやめる時が来るでしょう。そうなると、金利が上がるので、政府が支払う金利が増えることになります。
  景気が良くなること自体は良い事ですし、それによって税収も増えるのでしょうが、それ以上に金利の支払いが増えてしまう可能性もあります。その可能性は政府の借金の残高が大きければ大きいほど高くなってしまうわけです。
そうした事が起きないように、政府は消費税率を引き上げたりして財政再建に努めているのです。
  こうした話をすると、景気が悪いままで財政赤字が続いても困った事になるし、景気が回復しても困ったことになるし、絶望的な気分になる方も多いかもしれません。実際、将来に明るい展望が持てないと考えている人も大勢います。しかし、ここから先は私個人の考えですが、うまくいく可能性もあると思います。
  まず、日本政府が破産するという噂が流れた時についてです。そんな噂が流れるような時には、外国人が円をドルに換えて本国に持ち帰るでしょうから、猛烈なドル高円安になるでしょう。日本政府は莫大なドルを持っていますから、それを高値で売って莫大な利益を得る事になります。その利益を使って暴落した国債を買い戻せば、政府の借金が一気に減る事になるわけです。政府が破産するという噂が流れると政府の借金が減る、という奇妙な事が起きる可能性があるのです。
  景気が回復した場合も、政府と日銀がうまく連携すれば、上手く乗り切れる可能性もあります。普通は景気が回復してくると日銀が金融の緩和をやめるのですが、そうではなく、政府が増税をすれば良いのです。景気が回復して、インフレが心配になって来た時に、政府が増税して景気を冷やしてやれば、インフレにもならずに財政赤字も減って、すべてが上手くいくわけです。
  もちろん、こんなに上手くいくとは限りませんが、この世の終わりが来るに違いない、といった心配をする必要は無いと思っています。

まとめ: 財政赤字が続くと政府の借金が膨らみます。そうなると、日本政府が破産するという噂が流れて国債の金利が上がる可能性があります。反対に、景気が回復して日銀が金融緩和を止めた場合にも金利が上がります。そうなると、国が支払う金利が増えてしまうので、財政赤字が一層増えてしまうかもしれません。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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