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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 財政赤字① (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

財政赤字①

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/06/05

  日本の財政は、大幅な赤字です。国の一般会計予算を見ると、歳入96兆円のうち、41兆円は公債金収入、すなわち借金となっています。毎年赤字を出しているため、国の借金の残高が膨れ上がっていて、1000兆円を超えています。日本人の大人は大体1億人いますから、大人一人あたり1000万円の借金ということになります。
  国際比較をしても、日本の財政赤字の大きさは先進国の中で最大級です。国際比較をする時には、国と地方公共団体と年金基金を合計した数値で見ます。国によって、年金制度が異なったり、中央政府と地方政府の関係が様々だからです。また、国際比較をする際には、赤字の大きさを各国のGDPで割った値で比べます。経済規模が大きい国と小さい国では、同じ財政赤字の金額でも、持つ意味が異なるからです。
  こうして計算した数字は、単年度の財政赤字額で見ても、借金の残高で見ても、G7諸国の中で日本が圧倒的に悪い数字になっています。つい最近まで財政危機が問題となっていたイタリアよりも、日本の方が遥かに悪い数字なのです。
なぜ、これほど大きな赤字になっているのでしょうか。すぐに思いつくのは、政治家が人気取りのためにバラマキ政策を行なっている、という事でしょう。一昔前であれば、代議士が地元に道路や橋を作る事に熱心でしたし、最近では高齢者の票を気にして年金関係の改革が進まない、といった事が思い当たります。そもそも消費税率の引き上げが十数年間行なわれなかった事を考えても、政治家の保身が大きく影響しているのでしょう。
  しかし、それが主な原因だと考えるべきではないと思います。もしも仮に、政治家が人気取りを全く考えなかったとしたら、財政赤字は無くなるでしょうか?
  歳出の7割は、国債費と社会保障関係費と地方交付税交付金です。国債費とは過去の借金の利払いと返済ですから、削るわけに行きませんし、それどころか借金が増加するに従って元利払いも自動的に増えていってしまいます。
社会保障関係費も、高齢者の生活がかかっていますから、そう簡単に削るわけには行きません。むしろ、高齢者が増えるに従って、歳出は自動的に増えていってしまいます。地方交付税交付金も、税収の少ない地方公共団体に配るものですから、簡単には削れません。
その他の歳出については、全体の3割ですから、削ったとしても限度があります。仮に2割削ったとしても、全体の6%に過ぎません。歳入全体の4割以上が借金である事と比べてみると、いかにも小さな金額です。そもそも、その他の歳出を2割削る事など出来ないでしょう。民主党が政権を取った時に、「無駄を削れば財源は出て来る」と言っていましたが、結局削った予算は雀の涙程度だった事を思い出せば、難しさは想像できるでしょう。
  そうなると、財政赤字を無くすためには、税金を2倍近くに増やす必要があります。そんな事をしたら、大不況が来て、国中に失業者が溢れてしまうでしょう。消費税率を3%引き上げるだけでも、「そんな事をしたら景気が悪くなって失業が増えてしまう」という反対意見が多くありましたし、そうならないために景気対策をとる必要があったわけですから、大増税がいかに困難か、これも想像できるでしょう。
  ここからは、財政赤字の展望について御話します。
はじめに、プライマリーバランスという言葉について説明しましょう。日本語では基礎的財政収支と呼ばれています。これは、借金の事を横に置いた時の財政収支、という意味です。新しく借金はしない代わりに、過去の借金の利払いや返済をしなくてよい、とした場合、お金が足りるのか足りないのか、という計算をするわけです。具体的には、税金などの歳入と、年金や公共投資などの普通の歳出を比べて、どちらが多いかを比べるのです。
  これがゼロだという事は、今年の分の出費は今年の分の税金で賄えていて、過去の借金の利払いと返済の分だけは新しく借金をする、という事になります。過去の借金は借り換えていくので残りますが、増えていくわけではないので、とりあえず出血は止まりました、というイメージです。細かい事を言えば、金利の分も借金で賄うので、その分だけ借金は増えていくのですが、その分くらいは経済が成長してGDPも大きくなっていくので、借金の残高とGDPを比べた比率は増えなくなる、という事になります。
  このプライマリーバランスが今どうなっているかというと、今年度予算でマイナス18兆円に上っています。リーマン・ショック後の2009年度にはマイナス38兆円であった事を考えると、改善しているとも言えますが、まだまだ大幅な赤字です。
  政府は、2020年度までに国の一般会計のプライマリーバランスを黒字にする目標を掲げていますが、来年秋に増税をする事を前提として、しかもかなり楽観的な経済成長率などを前提として計算しても、更なる増税をしない限り達成は困難だと言われています。問題は、何度も増税して景気が腰折れしてしまわないか、という事です。よほど経済がうまく回らない限り、黒字化の目標を達成する事は難しいでしょう。

まとめ: 日本の財政は大幅な赤字です。歳出の半分弱は借金で賄われています。毎年の赤字で借金が膨らんでいて、国の借金は1000兆円を超えています。社会保障関係費など、簡単には削れない歳出が多いので、財政赤字を減らすのは大変な事です。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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