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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 財政の役割 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

財政の役割

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/06/03

  財政の役割は、大きく分けて3つあります。
公共サービスの提供、所得の再配分、景気の安定化、です。

  公共サービスとは、民間に任せておくと必要な仕事が行なわれない場合に政府が行なうものです。たとえば警察は、誰もが必要なものだと知っています。犯罪者を捕まえることが出来なければ、悪人が次々と犯罪を犯す事になるからです。消防も、火事が燃え広がらないように早く消す必要があります。しかし、自分でお金を出して警察官や消防士を雇う人はいないでしょう。広く世の中の人々が利益を受けるのに、自分だけが費用を払うのは、誰でも嫌だからです。利益を受ける人々が相談してお金を出し合って警察官や消防士を雇う事が出来ればよいのですが、それも大変です。そこで、政府が人々から税金を集めて警察官や消防士を雇う必要が出て来るのです。

  その他、自衛隊が国を守るといった大きな事から、ゴミの収集といった身近な事まで、政府は多くの行政サービスを提供しています。基本的な考え方は、身近な行政サービスは地方公共団体が、大規模な行政サービスは国が行なう、という分担になっています。

  所得再配分というのは、お金持ちから税金をとって貧しい人々に生活保護などの支援をすることです。そうしないと、貧富の差が拡大してしまい、健康で文化的な生活が営めない人が増えてしまうからです。所得税や相続税などは累進課税という仕組みで、所得が高い人や相続額が多い人ほど税率が高くなっています。たとえば、給料が2倍になると払う税金が3倍になる、というように、豊かな人ほど税金を負担しているのです。
 
  景気調節としては、二つのルートがあります。一つは、ビルトイン・スタビライザーと呼ばれるものです。景気が良くなり、人々の給料が上がると、税金を多く払うようになるので、給料が上がったほどには手取額は増えず、景気の過熱が防げる、というわけです。

  今ひとつは、不況期に公共投資を行なって、景気を回復させることです。これを財政政策と呼びます。日銀の行なう金融政策と並んで、景気調節の重要な手段です。ビルトイン・スタビライザーだけでは不十分なので、意図的に景気対策を行なおう、というわけです。

  こうした考え方は、世界共通ですが、どこまでやるか、というのは国によっても時代によっても異なります。大きな政府か小さな政府か、という事です。
  経済学は、政府の行政サービスは最低限必要な事だけやって、それ以外は民間に任せるべきだ、と教えています。小泉構造改革の時も、経済学者出身であった竹中大臣が「民間で出来ることは民間に任せよう」と繰り返し仰っていました。しかし、実際には線引きは過去の経緯などもあり、様々です。たとえば電力は民間企業ですが水道は地方自治体が行なっています。小泉内閣の時には、郵政の民営化を巡って選挙が行なわれました。郵貯、簡保は民間で同じような会社があるので、民営化が自然なようにも思えます。郵便も、民間会社が宅急便を配達している事を考えると、民間でも構わないような気もします。このあたりは、必ずしも理屈で割り切れるものではないようです。

  貧富の格差をどこまで縮めるか、という点も、国によって考え方が違います。格差が大きすぎる事は問題ですが、格差を完全にゼロにする事も望ましくありません。貧富の差がゼロだという事は、真面目に働いてもサボっていても所得が同じだと言う事になるので、皆がサボるようになってしまうからです。たとえば失業手当の金額が少なすぎると生活に困る人が出て来ますが、多すぎると働けるのに働かずに失業手当を受け取る人が出て来たりするわけです。

  アメリカは、あまり所得再配分に熱心ではなく、貧富の差があっても構わない、という方針で、ヨーロッパ諸国は所得再配分に熱心です。ヨーロッパ諸国は消費税率が20%以上と高いのですが、一方で社会保障は充実していて、老後も安心して年金で暮らせます。日本は、アメリカとヨーロッパの間です。

  景気の調節として財政がどこまで頑張るべきか、という事も、国により考え方が異なります。米国などでは、景気の調節は主に金融政策で行なうべきだと考える人が多いので、不況期に財政支出(公共投資など)で景気を支えようという政策はあまり採用されません。一方日本では、不況期には財政政策で景気回復を図るべきだ、と考える人が少なくありません。バブル崩壊後の20年間で公共投資の人気は落ちましたが、それでも安倍政権の公共投資などは景気対策として幅広い支持を集めています。

  中央政府と地方政府の役割分担も、国によって大きく異なります。日本では、中央集権と呼ばれていますが、中央の政府が比較的強い権限を持っていて、地方公共団体の権限はあまり強くありません。一方で、アメリカなどでは州が比較的強い自治権を持っています。ワシントンにある連邦政府は軍事や外交などは行なっていますが、それ以外の多くの事は各州が行なっています。各州が様々な法律を作っていて、消費税の税率も州によって異なるのです。

まとめ: 財政には、公共サービスの提供、所得の再配分、景気の安定化、という役割があります。政府の役割を小さくするか大きくするかは、国によって考え方が異なります。国と地方の関係も国によって異なります。日本は、比較的国の役割が大きくなっています。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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