QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > データが入手できない時 (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

データが入手できない時

田久保 善彦 リーダーシップ領域

14/06/10


前回は、データをどのように分析して行いくかという点についてお話しました。今回は一歩進んで、うまいちょうどいいデータを入手できない場合にどのように対応して行けばよいのかということをお話します。

日本の場合は、業界団体や役所、大きな会社がやたらにいろいろな統計データを用意してくれています。もし自動車のメーカーを新しく作ろうとしたならば、日本で今年何台の車が作られたのかという日本の市場規模を一台のずれもなく示す統計データを入手することができます。

ビジネスをやっていれば、データを入手できない場合でもにも関わらず、何かを考えたり推計したりしないといけない場面に直面することが結構多数あります。本当に見たことも聞いたこともないビジネスに新しく参入しようとする際には、既存の統計データがあまり存在しません。もっともだからこそ、新しいビジネスという言い方もできるのかもしれませんが。たとえば、デパートの地下などで売っている、買って帰ればそのままお家で食べられるお惣菜のビジネス、すなわち中食ビジネスを新たに行おうとした場合、どうでしょうか。ぴったりと合うような統計データは、なかなか存在しないはずです。このビジネスを行うに際して福岡における潜在的なマーケットの規模を推計しようとすれば、統計データが必要となります。そうした推計がなければ銀行もお金を貸してくれませんし、どれくらいのサイズのビジネスかわからなければ投資をしてくれるところもないでしょう。このように何の推計もなければ、話にならないと言われかねない事態が実際に起こってしまうのです。

データを入手できない場合には、自分で計算して推計することが大事になってきます。そこで、フェルミさんが提唱した、「フェルミ推定」という方法論が登場します。一時期には、本屋さんに行けばフェルミ推定と書いてある本が平積みになっていることもありました。彼はシカゴ大学の先生でして、「シカゴの中にピアノの調律師が何人いるか計算しろ」と言いだしました。これが、彼に由来する「フェルミ推定」のはじまりです。そもそも「フェルミ推定」とは、データを入手できないときに、必要な数値を簡易に推計する方法のことを指します。

具体的に考えてみましょう。コンサルティング会社の入社試験を受けに行くと、「日本全国に何本の電柱があるのか考えろ」、あるいは、「日本全国に何匹のゴキブリがいるのか計算しろ」、などと言われます。これに対して「いや、わかりません」と答えてしまうと、自分の頭で論理的に物事を考えるのが苦手な人だと判断されます。しかし私たちは小学校の時に、日本の北海道の天辺から南の方まで、だいたい3000キロくらいあるということを習っています。また、電柱と電柱の間の距離についても、およそ推計できます。こうしたことを積み重ねて、計算を行い、「大体何万本くらい」と言っちゃえばよいのです。これが、推計をするという世界です。

さてここで、私もフェルミさんの真似をしてみます。首都圏にピアノの調律師が何人いるか計算して下さい。

まず、首都圏に二人以上で暮らしている世帯が1000万ほどあるという統計データを入手できます。なぜか、一人世帯を数えた統計データはありません。まあ、一人暮らしの家にはピアノはきっとないだろうと割り切ってしまいましょう。

そして、ピアノの普及率が25%であるというデータも入手できました。1000万世帯×25%を計算すれば、首都圏にはピアノが250万台くらいあると推計できます。ということは、一台のピアノにつき年に一回の調律が必要であるとして、年回250万回調律をする機会が生じることになります。

調律師が年間250日間働き、一日に3台くらいの調律をするとすれば、一年で調律師一人あたま750台を処理できます。したがって250万回をこの750で割れば、ざっくり3000人くらいは調律師がいそうな計算になります。

このようにシンプルに取れるデータをもとに、ざっくりと計算をします。だいたいこのくらいかな、という数字がわかればよいのです。もちろん正確なものではありませんが、これ以上に正確な推計が難しい状態では、こうしたデータを前提にものを考えていけばいいのです。「データがないからわかりません」と言っているよりは、一歩も二歩も進んだ議論をこの推計をもとに進めることができるのです。

今日のお話をまとめます。
ビジネスをやっていく時には、欲しいデータを入手できないという状況がままあります。そういう場合には、取れるデータをもとに簡単な四則演算を行い、推計してみるのです。こうしたことを、ぜひ皆さんにもやっていただきたいと思います。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ