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中国

村藤功 企業財務 M&A

14/05/14


今日は中国についてお話します。
中国はここ30年で、大変な高度成長を遂げました。これまでは年間10%を超える勢いで経済成長してきましたが、この数年は8%程度にとどまり、2012年あたりからは7.5%を実質成長目標としています。このように、中国の経済成長はスローダウンしつつあるのです。

このことをもって経済成長のピークが過ぎたとみることもできますが、問題に対処するために安定成長に切り替えたと見ることもできます。たとえば、福岡にもやって来るPM2.5に代表される公害問題など、先に解決すべき問題が山積みとなっているのです。そこで高度成長よりも、それらの問題を解決しながら安定成長を目指す路線へ変わってきています。日本では中国の高度成長が終わったと見たがる傾向がありますが、バブル崩壊後20年間ゼロ成長を続けてきた日本と比べれば、7.5%という成長目標でも十分に高いものです。

このように中国が高度成長から安定成長へ移行する中で、様々な事態が起こっています。中国の力が強くなり、アメリカと中国が世界の二大大国とみなされてきています。心配なのは、中国が太平洋の東をアメリカ、西を中国が支配するという発想を持つかもしれないという点です。沖縄から尖閣、南シナ海を結ぶ線を第一列島線と呼び、東京からグアムあたりをつなぐ線を第二列島線と呼びます。中国は、すでに第一列島線まで侵出しており、今後第二列島線の支配を想定しつつあります。こうした状況に危機を感じたアメリカは、中東にあったアメリカ軍の重心を太平洋に移しつつあります。しかし現状の中国の軍事費は、大体日本の2~3倍、アメリカの1/4の規模です。アメリカの方が圧倒的に軍事的に強いため、中国もアメリカと戦うことが現実的だとは思っていないはずです。しかし日本が弱体化していると考えている節が中国にはあり、日本は中国と単独で戦うことを不安視しています。日本はアメリカの陰に隠れて、「何かあったらアメリカさんよろしく」と言っている状況です。

中国国内では、さきほど触れた環境問題に加えて、シャドウバンキング問題という金融問題が起きています。日本であれば、多くの人がお金を銀行へ預けています。中国では、インフレ率が預金金利を超えることも多く、国民は銀行預金をして価値を失うことを恐れています。銀行が販売する理財商品金利の方が預金の金利やインフレよりはるかに高いため、理財商品を購入する中国国民が増えています。これまで政府に管理されてこなかったシャドウバンキング商品は、政府に規制されている銀行によって販売されることも良くあります。問題は、銀行預金であれば元本保証ですが、シャドウバンキング商品はプロジェクトへの投資で銀行の負債ではないため、破綻した場合にはお金が戻ってこない可能性があることです、

最近、中国最大の銀行である中国工商銀行が石炭を開発するプロジェクトに投資する理財商品を販売した後に、プロジェクトが破綻するというニュースが流れました。これは中国工商銀行の債務ではなくプロジェクトに対する投資でしたので、お金を返す人は当然にはおらず、ついに大きな問題が発生したかと思われました。ところが突然、どこかの第三者がすべてを元本価格で買い取って元本だけを投資元へ返すことになりました。シャドウバンキング全体が破綻すると思われると影響が大きいため、金利の10%は払わないものの、元本だけは返す作戦を中国政府が影で行ったと囁かれています。

理財商品であるシャドウバンキング商品が債務不履行になる可能性が出てきたため、いろいろな資金調達プロジェクトのコストが高くなっています。最近中国で様々なプロジェクトがつぶれていますが、このようにして調達コストが高くなったことがその背景にはあるのです。

一方、戦時中のことで、日本と中国の間で問題が生じています。この間ナビックスラインと合併した商船三井に関係する話です。ナビックスラインの前身である大同海運が中国から借りた船を、戦時中の日本政府が持って行き、戦争で用いて沈んでしまったのです。日本側からしてみれば、1972年の日中共同声明によって、中国がすべての損害賠償を放棄したことになっています。したがって、日本の裁判所はそうした訴えをそもそも受け付けません。しかし中国政府は、政府は損害賠償請求権を放棄したけれども、民間人や民間企業の損害賠償請求権を放棄したわけではないとしています。当時損害を受けた中国側から見れば、そろそろ時効にすると政府にいわれたこともあって、様々な裁判が続々と起こり始めているのです。

今日のお話をまとめます。
中国が高度成長から安定成長へ移行しました。世界においては、アメリカと中国が二大大国となっています。中国国内の問題をどう解決するかもさることながら、日本がもう終わったと思っていた戦時中の問題も突然浮上してきています。これからどのようになるのか、心配な状況です。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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