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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの経営の原点十二か条(売上を最大に、経費を最小に) (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの経営の原点十二か条(売上を最大に、経費を最小に)

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

14/05/02

京セラの経営の原点十二か条(⑤売上げを最大に、経費を最小に)  

第1条 事業の目的、意義を明確にすること  第2条 具体的な目標を立てること

第3条 強烈な願望を心に抱くこと      第4条 誰にも負けない努力をすること

第5条 売り上げを最大に、経費を最小に   第6条 値決めは経営

 

1 はじめに

このシリーズでは、京セラの経営の原点12ヵ条に沿ってお話しています。今日は「⑤売上げを最大に、経費を最小に」という原則についてお話します。

 

2 売上と経費

一般的にいうとすごく分かり易いのですが、なぜこのような言葉が出てきたかご説明します。私は会計の専門家なので、「売上げというのは収益、その収益から費用を引いて利益を出す」という考え方で理解しています。しかし、稲盛氏は会計の専門家ではなく経営者なので、このような会計の説明では非常に分かりづらいというのです。そして、一般的な人の感覚でいくと「収益」というのは「売上げ」であり、「費用」というのは「経費」、その差額として「利益」、すなわち「儲け」が出るという感覚なのです。こちらの方が一般的で、従業員や役員といった会計を専門にしていない人には分かり易いということで、「売上げを最大に、経費を最小に」という考え方をしているわけです。専門用語でいくと、「収益から費用を引いて利益を出す」という、少し硬いものになり、分かりづらいですよね。

【一般】売上―経費=儲け   【会計】収益―費用=利益

 

3 好況時こそ経費の抑制

一般的に、好況時は売れ行きが上がっていきます。売上げが上がっていくと、それに伴い経費も上がってくるのも当然と考えると思います。しかし、そのような考え方でやっていくと後が大変なことになるのです。要するに継続企業にならず、倒産してしまうわけです。何故かと言うと、景気変動は必ず来るわけで、いけいけどんどんでいくと、設備や人員によって経費がかかり、不況時になったタイミングで一挙に売れなくなってくると、一気に費用の方が多くなってしまい、倒産してしまいます。そのため、できるだけ儲かっているときに経費を抑えていかないといけません。ですから、売上げを最大にして、経費を最小にするように常に努力していく必要があるのです。

 

4 アメーバ経営

このような「売上げを最大に、経費を最小にする」という管理会計システムを京セラは独自に作りました。それが具体的に言うと、「アメーバー経営」と呼ばれる管理会計システムです。みなさんも、聞いたことがあるのではないでしょうか。数人から数十人の組織された小さなグループの事を「アメーバー」と呼んでいます。これはプロピットセンター(利益を上げるグループ)といって、コストセンター(経費の掛かるグループ)のように費用だけを管理するのではなく、必ず利益も上がるようにしている分け方なのです。言い換えると、小さなチームですが、それぞれのチームがしっかり利益が上がるように分割されたシステムなのです。

 

5 時間当たり採算制度

実際、どのように行っているかというと、1時間あたりどれだけ付加価値を作ったかというところで管理していきます。これを「時間当たり採算制度」といいます。簡単に言えば、売上げから経費を引いた「利益」を何時間かけて上げたかというものです。つまり、利益を総労働時間で割ることで、1時間あたりの利益が出てきますので、それを「時間当たりの採算」としてすぐに集計するのです。そのようにして集計したものが時間当たりの採算表です。

売上―経費=利益  利益÷総労働時間=時間当たり採算

京セラの場合は、例えば、売上日報や経費日報等の形で必ず経営状況を「見える化」します。収益や経費がどの位かかっているのかというのを日々集計し、翌日にはどのくらいかかったかという現状が分かるようにしています。これは社員全員が見られるようになっており、朝礼で毎日、前日の売上日報や経費日報等の報告を行います。このことによって、現在利益はこのくらい出ており、目標がどの程度達成されているか等、分かるようなシステムになっているのです。このような管理システムで「アメーバー経営」を行っているのです。その場合、例えば、経費で言えば、経費を最小化していく努力を常にやらなければいけないわけです。

 

6 経費の細分化・見える化

経費抑制の1例ですが、「経費項目の細分化」というものがあります。例えば、会計用語で「水道光熱費」という経費項目があります。これは、電気、ガス、水道、それぞれの費用を合わせたものですが、京セラでは電気代、ガス代、水道代と細かく分けます。電気代はいくらかかり、ガス代、水道代はいくら、前期より、前日より増えた、減ったといった具合にしています。このように細かいところを集計し、「ここはもっと減らせるはずだ」というところを「見える化」していくのです。ですから、他にも例えば、コピーに使っている紙が、日に何枚使われているか等、そこまで細かく見ていくということです。

 

7 経理情報の公開

このように見える化し、その増減関係を見て、売上はできるだけ増やし、経費はできるだけ削減していくようなシステムを作り上げて、それを従業員にも毎朝朝礼で伝えていくのです。普通多くの企業では、経理情報等は秘密情報であり、役員だけが知っています。そうではなくて、京セラの場合は全員が知っているわけです。それぞれのアメーバーがどれくらい会社に貢献しているのか、あるいは足を引っ張っているのかというのを常々見えるようにし、経営状況を明確に、役員だけでなく従業員も把握するのです。それによって、経費はできるだけ削減して、売上げはできるだけ伸ばしていくような努力を全員参加型で全社一丸となってやっているわけです。このような努力もあり、創業から40年以上経っているのですが、経常利益は常に2桁なのですね。しかも年間ベースでいくと、1度も赤字になったことがないそうです。

 

8 まとめ

このように、企業が永久的に維持発展していくためには、常に、売上げは最大に、経費は最小に抑えることに努めていくということが非常に重要であるということです。

 

〔参考〕曹岫雲『稲盛和夫の「成功の方程式」』サンマーク文庫

 

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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