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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 京セラの経営の原点十二か条(値決めは経営) (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

京セラの経営の原点十二か条(値決めは経営)

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

14/05/01

京セラの経営の原点十二か条(⑥値決めは経営)  

第1条 事業の目的、意義を明確にすること  第2条 具体的な目標を立てること

第3条 強烈な願望を心に抱くこと      第4条 誰にも負けない努力をすること

第5条 売り上げを最大に、経費を最小に   第6条 値決めは経営

 

1 はじめに

このシリーズでは、京セラの経営の原点12ヵ条に沿ってお話しています。今日は「値決めは経営」つまり経営において、値決めは非常に重要だということについてお話したいと思います。

 

2 夜鳴きうどんと経営者の資質

まず京セラで役員を決めようとした際、「夜鳴きうどんをいかに経営するか。」ということを行うことを考えました。つまり、経営を実際やらせ、それが2、3ヶ月後どの位儲かったという、儲け具合の詳細を見て役員を誰にするか決定しようという考えがあったようです。役員というのは、やはり会社経営をしなければいけないので、役員としての素質というのを知る必要があります。そこで開業資金として例えば10万円出して、屋台でうどんを売らせるということを考えたみたいなのです。

 

3 経営感覚の必要性

何故このようなことを考えたかということですが、うどん屋台を経営する際、まずどこで仕入れるか、値段をいくらにするか、売り場をどこにするか、さらに営業時間や商品どうするか等、そういった点を全部決めないといけません。そのためには、やはり経営の全体像、つまり仕入原価から売上げまで全て把握してそれをトータルにコーディネート、調整でき、かつ最終的に利益が上がるという商才が必要であり、それが経営の役員になるために不可欠だと考えたわけです。これを、実践で考えてみようというのが、この「夜鳴きうどんの経営」なのです。

 

4 売価と経費のバランスの重要性

経営というのは、一部だけ得意であったらいいわけではなく、全体を上手くコーディネートしていかないといけないため、特に今日の課題との関係でいくと、売価をいくらにするか、というのは非常に重要なのです。なぜかと言うと、経営を行うにあたり、当然仕入原価など様々な経費がかかりますが、それとの関係でどのような売価にしていくかという事を決定することは、経営者として一番重要だと考えられているからです。

 

5 値決めは経営

要するに企業というのは、良い商品やサービスを社会に提供してその見返りとして利益を上げていかないと存続できないわけです。商品のプライシングというのは、高くつけると、当然売れません。ところが低くつければいいかというと、低く付けると経費が賄えないということで、赤字になってしまいます。売れば売るほど損失が出てしまうようになります。ですから、そこをいくらにするかというところで、やはり経営者による決定が非常に重要だということなのです。このようなことから「値決めは経営」だと言われているのですが、そこで稲盛氏が言っているのは、「顧客が喜んでお金を出し、買ってくれる最高の価格を決定する。」ということです。つまり、お客様にとっては、出来るだけ低くなるのですが、会社にとってはできるだけ高くなるという価格に決定するということです。

どこかのCMに「お値段以上~」というのがあると思いますが、要するにあの感じを持たせ、会社としては利益が出る水準にプライシング・価格を決定していく、それが経営者の役割だというふうに言っているのです。それを一番実践面でやっている最も簡単なモデルが「夜鳴きうどん」なのですね。ですから、それをやらせてみればその人の商才が分かるというわけです。

 

6 値決めと経営哲学・思想

また、「経営思想が価格の決定に表れる」ということについてですが、要するに、経営者がどういう事を考えているかによって価格を高くするのか、低くするのかが決められるということです。何故かと言うと、例えば、経営者の中にはあまり儲ける(利幅を高くする)必要はないけれど、沢山売りたいなという意欲を持っている人がます。いわゆる「薄利多売」というものですが、これは日本的で、できるだけ儲けるというよりも、お客さんに喜んでもらうということが大事だという考え方です。ただ、薄利多売で数を売ることができれば、結局は儲かることになります。「日本的経営」というのは、昔からあまり利幅を高くするのではなく、どちらかというと利幅を少なくして、「薄利多売」する系統なのです。アメリカなど欧米から経営学というものが入ってきて効率性ばかり重視するため、利幅を多く取るような経営の手法が最近流行ってきていますが、日本の原点はそうではなく、お客さんとの信頼関係、「薄利多売」の経営思想が伝統的にあるのですね。このように、人ありきで考えてきたというのが日本の文化なのです。

 

7 価格の決定方法

「価格の決定方法」ですが、大きく2つあります。一般的に考える「価格」は、「原価がこれだけかかっているので、利益をこれだけ附加するといくらになる」というような考え方ですね。つまり「原価+利益=価格」という考え方です。しかし、この考え方の採用できる企業は現実的にとても少なく、一部の公益企業、例えば電気、ガス、水道のような、料金が決定できる寡占的な企業だけです。現実の一般の企業は、世界的な競争をやって価格が決まっているので、むしろ価格というのは市場価格で決まっています。逆に、市場価格が先に決まっていて、「利益を得るためにはどれくらいの原価がいいのか」というのを考えるわけです。このように、利益を出す為に、売上原価等の経費をできるだけ抑える努力をするということが重要になるわけです。考え方としては、市場価格から利益を引いた分が売上原価等を含む経費になる(「価格―利益=原価」)という、引き算の考え方ですね。

 

8 経営者による経費を考慮に入れた価格決定

最後に、価格付けはなぜ経営なのかというと、価格を高く設定すれば、仕入原価や製造の色々な諸経費がかかってもいいのですが、反対にそれを低く設定すると、仕入原価や製造原価等といった経費をカットしなくてはいけないので、その調整が上手くできる範囲内で価格決定をしていかなくてはいけません。そのため全体を考え、かつその指揮命令が可能である経営者が価格決定をするのが一番よいということです。

 

9 まとめ

これまでお話してきたように、価格決定というのは、経営者の重要な仕事です。すなわち、適切な価格決定によって経費との関係から上手く利益を上げていかなければならないので、やはり全体を考え、かつその指揮命令が可能である経営者が適切に価格決定をすべきものであるということです。

 

〔参考〕曹岫雲『稲盛和夫の「成功の方程式」』サンマーク文庫

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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