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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > データを切り取る (リーダーシップ領域/田久保 善彦)

データを切り取る

田久保 善彦 リーダーシップ領域

14/05/26


前回は、とあるデータをひとつの代表値で表す際の危険性などについてお話しました。今回は、データを実際に用いる際の注意点についてお話します。すなわち、データを時系列に並べたり、棒グラフにしたり、円グラフにしたりとする時に、どのようなことに留意しなければならないのでしょうか。

まず、データを時系列に並べることについて考えてみましょう。その際、当該データが本当に連続しているかという点に注意しましょう。たとえば、1990年から2010年までの二十年分のデータを取ってきたとします。一見、それらのデータは普通に並んでいるように見えるかもしれません。しかしこの間に、大きな変化が起きている可能性があるのです。自治体関係のデータであれば、平成の大合併ということで、多くの自治体が合併しています。としますと、ある年を境に、当該市町村のデータが急に大きくなったり小さくなったりしていることがあります。こうした点の確認は、基本中のきの字、一丁目一番地にあたります。

以前に私が三菱総合研究所において中国の石炭データを集めていた時のことです。やはり、明らかに変なポイントをみつけました。データが連続しているとは思えないのです。そこでよくよく調べてみると、統計の対象場所が、ある年を境に変わっていたのです。去年まではAというところが統計の対象になっていたのですが、ある日突然Bに変わっていたという具合です。こうしたことは、結構よく起こっている可能性があります。「何かちょっと変だな」と思うことがあったら、データの注釈をしっかりと読むなどして、本当に連続性があるものなのかどうか、きちんと確認してください。

また時系列のデータの場合には、縦軸と横軸の取り方によって、絵姿が大分変わってしまいます。つまり、グラフには、グラフを作っている人の意図が反映されるのです。たとえば横軸に時間を取ったとしましょう。このデータは、30年や50年という長いスパンで見ればなだらかに上昇しているというものです。これをもとにすれば、特別な予算は必要ありませんと主張することができます。一方で、ある3年間だけにぎゅっと縮めるようなデータの取り方をすると、そこだけ局所的にものすごく落ち込んでいるグラフを作成できます。こうしたグラフをもとにすれば、特別な予算が欲しいと主張することが可能です。

このようにグラフにしても表にしても、作り手の意図が込められています。これらを分析する際には、こうしたことをも含めて読み込まないと、ミスリードされてしまったり、本当に大事なことがわからなくなったりということがあります。

また、時系列のデータを分析する際に、ひとつお気を付けいただきたいことがあります。多くの方がエクセルというソフトを使用しているものと思いますが、これはデータをプロットすれば、ぱっときれいなグラフを書くことができるという代物です。またちょっと手の込んだことをやる方は、近似曲線を表示するなどのこともするでしょう。そしてこうして作ったデータをもとに、「このトレンドはこの式で表されています」などと気軽に議論しているのではないでしょうか。しかしたとえば、リーマンショックの前後のデータを連続したものとして、一つの線で表現することは妥当でしょうか。リーマンショックの前後では、世の中の様相が大きく変わっています。そうすると、リーマンショックの前までをひとつの線として、リーマンショックの後をもうひとつの線として表し、議論した方が、自分たちの感覚に合っている可能性があります。そうした場合は、繋がっているデータをあえて切って分析することが、あって然るべきです。つまり、繰り返しになりますが、分析の目的を絶えず意識している必要があるのです。分析が単なる数字遊びにならないように、目的原点に帰るということを、ぜひ頭の中に置いておいていただきたいものです。

今日のお話をまとめます。
時系列に並べたデータを分析する際には、それらが本当につながっているものなのかどうか、チェックをすることが大事です。グラフになっているのであれば、縦軸横軸のスケールの取り方にも注意しましょう。そしてすべての分析に対して言えることですが、何のための分析なのか、何を知りたいから分析するのかといった原点に絶えず立ち戻られるよう、お気を付け下さい。

分野: リーダーシップ |スピーカー: 田久保 善彦

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