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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > イノベーション人材を育成する② (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

イノベーション人材を育成する②

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/05/07

前回は、イノベーション教育学会と「イノベーション教育」の特徴について概説した。今回は、民間企業における取り組みを紹介する。

3月に行われた第2回イノベーション教育学会では、ポスターセッションが行われたのだが、興味深いのは全47件のポスター発表のうち、14件(全体の1/3)が民間企業(株式会社)からの発表だったことだ。その他に、ユニークなものとして航空自衛隊からの発表もあった(なんでも、未来の戦闘機の持つべき機能を抽出する手法として用いられたとのこと)。

例えば、ある自動車メーカーでは、約300名を抱える部署で、若手リーダークラスの人材を数名抜擢し、自社や自部署の将来像を描き、そこでどのようなイノベーションが求められているかを検討する研修を実施している。ポイントは、単なるイノベーション創出の方法論の習得ではなく、「真のイノベーション人財やイノベーティブなアイデアが潰されない組織の風土や文化の醸成」が目論まれていること。

多くの大企業では、社員一人ひとりがなかなかイノベーティブな活動に取り組まない/(社風や業務プロセスの制約で)取り組めない、という悩みを抱えているが、このメーカーは「既存の価値観や枠組みにとらわれず、創造的に考え、論理的にまとめることができる若手リーダー人財の育成」を糸口として、まずは一部署として取り組み、継続的に人材育成を蓄積することを狙っているとのこと。

同社の研修終了直後のアンケート結果では、「既存の枠にとらわれない発想」や「本質の理解・洞察」「主体性・自立性の発揮」といったマインドセットに変化が見られたというデータが発表されていたが、興味深いのは、その1年後に、本人に加えて上司、同僚、部下に調査を行い、受講者のその後の行動変容が分析されていた点だ。上司と本人の評価は、「俯瞰的な視点で観察」や「本質の洞察や課題設定」など多くの項目で高く一致していた。つまり、研修によって本人の行動様式が変化し、周囲もそれを認知しているのだ。このようなリーダー人材による周囲への好影響が継続的に蓄積することで、このメーカーが当初から目論んでいる「真のイノベーション人財やイノベーティブなアイデアが潰されない組織の風土や文化の醸成」につながってくる。

その他に、ある大手プラントメーカーでは、ひとりの若手社員の発案で部門横断型の新規事業の創造に取り組んでいる。これは、ビジネス環境の急速な変化を受けて、次世代の新事業の立ち上げが必須だと考えた若手社員が上司に直訴してスタートしたもの。その際に上司から、「新規事業なんて、1,000のうち2,3しか上手くいかないんだぞ!」と言われ、「だったら1,000のアイデアを出してやる!」と意気込んで、実際に部門横断のワークや合宿を行って1,040のアイデアを出し、それらを精査して、現在は

2つのプロジェクトが実行に向けて動き始めている。
これら民間企業の事例は、イノベーション創出や創造的な風土の形成に苦労する多くの企業の参考になる。部署の縦割り組織や既存の業務プロセス上の制約を乗り越える際に、「イノベーション教育」が効果をもたらしうることを示している。
自由で創造的な「イノベーション教育」によって、既存の枠にとらわれない問題の発見やその解決へのアプローチ方法を見出しうる。その価値は民間企業のビジネスの現場でも認められはじめているのだ。

今回のまとめ:
イノベーション教育によって、従来の縦割り組織や古い事業プロセスを打破できる可能性があり、民間企業でも取り組みの事例が増えている。そこでは、次世代を担う「イノベーション人材」の育成が進んでいる。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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