QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 集団の中の類似性と多様性 (社会心理、組織心理 /藤村まこと)

集団の中の類似性と多様性

藤村まこと 社会心理、組織心理

14/04/22

季節の春にちなんで、今回は人と人が親しくなる過程についてご紹介します。
人を好ましいと思うことを「好意」といいますね。人と人が親しくなるプロセスも、好意が
根底に存在することが多いわけですが、人はどのようにして好意を持つのでしょうか。
好意の形成過程は数多くあるのですが、今回はそのうちのいくつかを紹介します。

■親しさと好意を形成するもの
好意を形成するひとつの要因は「距離の近さ」といわれています。
距離とは、物理的な距離を意味します。ある研究者が大学の寮での友人関係を調べたところ、実は部屋が近い人ほど仲良くなりやすいこと、大学や職場でも学籍番号が近い人や机の位置が近い人は親しくなりやすいということが分かっています。
また、相互作用がなくてもただ見かけるだけでも好意が生じることがよく知られています(単純接触効果)。これは人だけでなく、商品などの事物にも通じることです。例えば、CMや広告などでよく目にする商品は、一度も見たこのない商品よりは、好意を持ちやすいものです。そのため、お店などでどれかひとつを選ぶときは、よく見る商品を選んでしまうというのはよくあることかもしれません。

そして、もうひとつの好意を形成する要因は「類似性」です。
人と人が親しさを深めていくとき、価値観や態度など自分と共通点の多い人を好ましく思う傾向があるようです。さきほど、はじめは距離が近い人と仲よくなりやすいと説明しましたが、「類は友を呼ぶ」というように、時間の経過とともに次第に自分と共通点が多い人と一緒にいることが多くなるようです。
類似性について、ある調査では「友人関係」、「恋人関係」、「夫婦関係」の類似性を調査しています。
各関係において「実際に類似している程度」と「類似していると思っている程度」を調べたところ、恋人関係では、実際には類似していないけれど、類似していると思っている程度が高く、夫婦関係では、実際に類似している程度が最も高かったそうです(Watson et al,2000)。

最後に、「相補性」があります。
相補性とは、相手が自分にないものを持っている、お互いに補い合うことができるということです。
人によっては、「自分と似ている人(類似性の高い人)」よりも「自分に無いものを持っている人(相補性の高い人)」を好きになることもあるかもしれないですね。それは人によって異なりますし、どちらが正しいというわけでもないようです。
これは私見ですが、もしかすると類似性と相補性の両方が必要なのかもしれませんね。例えば、「男性も女性も旅行が好き」というのは類似性ですね。
しかし、1人は計画を立てることが好きで、もう1人は行き先を決めたり、現地での取りまとめをするが好きというのは「相補性」も持っているということですね。そんなご夫婦や恋人同士はうまくいく可能性が高いのかもしれません。

■組織や集団における類似性
それでは次に、集団や組織について考えてみたいと思います。
気付けば、組織に集まるメンバーも類似性が高い人が集まっているのかもしれません。前回お話した、
集団の中の見えないルール「集団規範」は、最終的にはメンバー間の類似性を高めていく機能があります。実際、類似性はある程度高い方が、チームや組織のパフォーマンスは高いといわれています。
ただ、類似性が高ければそれで良いのかというと、一概にはそうとは言えません。

その理由の1つは「集団浅慮」です。類似性が高すぎる集団やメンバー間の好意度が高い集団では、意見が異なったときに反対意見が言いづらくなりがちです。
70年代のアメリカの調査では、政府の最高機関のような優れた人材が集まった集団でも、類似性が高すぎる場合は誤った意思決定を集団として行ってしまうことを示しています。類似性が高すぎるときには注意が必要かもしれません。

また、類似性が高すぎる場合、変化する環境に適応できなることも懸念されます。
組織の環境は、現在も目まぐるしく変化しています。そうした中、ひとつの考え方や対応の仕方では、
太刀打ちできない状況です。そのため、組織には常に新しいアイデアや新しい対応が求められます。
その際には、類似性の高い集団よりも、さまざまなメンバーから構成された多様性の高い集団の方が柔軟に対応できると考えられます。もちろん「多様性を保つ」ことは、それほど簡単なことではありません。
組織というのは、放っておくと類似した人が集まってしまうものです。その中で多様性をどう保つのかということは今後の課題のように思います。

分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ