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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 自動車産業のグローバル展開② (国際経営、国際物流/星野裕志)

自動車産業のグローバル展開②

星野裕志 国際経営、国際物流

14/04/29

昨日は、自動車メーカーが完成車を輸出したり現地生産する理由は、貿易に伴うリスクや為替の変動、生産の効率性や品質の維持、自動車生産に顕著なクラスターにより、様々な選択が行われた結果であることを説明しました。国内で生産される自動車の内、51パーセントが海外に輸出されている理由です。そして、輸出と現地生産のバランスは常に変化することもお話しました。今日はこの自動車の輸出をロジスティクスの観点から考えてみたいと思います。

そもそも自動車のような大きい製品を輸出するとすれば、その輸送コストだけでも、現地生産の自動車との競争にはならないのではないかと思いませんか。それだけではなく、自動車を輸出するとなれば、傷だとか破損だって考えられます。実は、それらの問題の多くは、自動車専用船(PCC)と呼ばれる専用の船で、大量かつ安全に輸送されることで、解消されています。

私自身の実体験なのですが、20年ほど前にアメリカで購入した自動車を日本に個人で持ち帰ったことがあります。アメリカの東海岸のワシントンDCからロサンゼルスまではトレーラーで、ロサンゼルスから横浜港までは自動車専用船で、横浜から東京の自宅までは自走して届けられました。その時に本当に驚いたことは、その中で太平洋を渡る自動車専用船の運賃が最も安くて、反対に横浜から東京都内までが最も高かったことです。ちなみに、ロサンゼルス・横浜の距離は8,700キロ、横浜から自宅までは30キロでした。

この自動車専用船が開発されたのは、1956年のことで、1隻で260台の自動車が積載できたようです。それ以前の自動車の輸出には、一般の貨物船が使われていて、一台一台クレーンで吊って船に積みこんでは、目的地で陸揚げしていたようです。クレーンでは一時間当たり、15台程度しか揚げ積みできず、当然車体に傷も付けば、航海中に他の貨物との接触で、破損することは当時では珍しくなかったようです。

それが、現在では、ドライバーが駐車場に駐車するように一時間あたり250台が積載可能で、その上ダメージ率は0.001%ということですから、1,000台に1台ということになります。さらに、世界最大の自動車専用船は、一度に8,000台以上の乗用車が輸送できます。そう考えると、規模の経済性で、一台あたりの運賃は非常に低く安全ということが言えます。

一度に2千台以上積載できる大型の自動車専用船は、昨年の一月の時点で、世界で670隻あったそうですが、その内日本郵船、商船三井、川崎汽船の日本の海運会社3社の保有する自動車専用船は266隻で、世界の自動車船の4割以上を日本企業が運航していることになります。

そのように考えると、日本の自動車メーカーの国際競争力は、効率的な輸送システムに支えられていると言ってもよいかと思いますし、この自動車専用船があって初めて、日本からの輸出が現地生産との間に競争力を維持しているということです。

今日のまとめですが、自動車の輸出を支えているのは、自動車専用船という高度化されたロジスティクスのシステムであり、安全かつ大量輸送が日本の自動車メーカーの国際競争力を高めているということを説明しました。

この自動車専用船だけではなく、コンテナ船、原油タンカー、液化天然ガスを輸送するLNG船、製紙原料のチップ船、木材専用船といった特定の貨物に特化した輸送システムの開発が、世界の貿易の拡大を支えてきたといえます。

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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