QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 自動車産業のグローバル展開① (国際経営、国際物流/星野裕志)

自動車産業のグローバル展開①

星野裕志 国際経営、国際物流

14/04/28

久しぶりのBBIQモーニング・ビジネススクールの担当ですので、専門の国際経営と国際ロジスティクスの両方に関連したトピックを2つの視点からお話ししたいと思います。内容は輸出と現地生産を中心とする自動車のグローバル展開です。

2012年度の日本の自動車メーカーの国内生産は955万台、そしてその内の49パーセントの466万台が海外に輸出されています。同じ年に1,588万台が、日本の自動車メーカーによって海外で生産されています。

それでも、日本国内での生産台数は、2007年の1,160万台をピークに減少しています。それは、海外での現地生産が増えたからです。国内と海外の生産比率は、2007年に逆転して以来、海外がどんどん増加し、現在は6割以上が海外で生産されています。ただ、日本で販売されるとほぼ同じだけの台数の自動車が、いまだに国内で生産されているのは少し不思議な感じがします。どうしてなのかというのが、今日のテーマです。

まず自動車産業に特に顕著に見られるのが、クラスター=産業集積です。トヨタ、日産、ホンダといった完成車メーカーを頂点として、自動車関連産業が同じ地域に集まって、一次サプライヤー、二次サプライヤーという形で、部品などを供給する仕組みを形成しています。九州には、自動車関連企業が約800社あると言われていますし、その多くは福岡県内など北部九州にあることは、広く知られていることかと思います。自動車のクラスターは、北部九州の他にも中部地方にも、関東にもあります。

自動車の生産は、単に自動車の完成車メーカーの工場があればできるというだけではなく、部品を供給する多くの関連産業が周辺に必要ということになります。但し例外もあって、例えば日本からすべての部品を海外の組み立て工場に送り込んで、現地で完成車に仕上げるという方法もあります。これはCKD=コンプリート・ノックダウンといわれる生産方式ですが、それにしても組み立て工場だけを単独で海外に置くということはありません。そう考えると、自動車の海外生産にあたっては、現地にクラスターを形成する必要があります。また国内市場での販売台数が今後明らかに減少していくとは言っても、そのクラスターをおいて、簡単には撤退できないという構造的な問題もあります。

ただそれだけではなく、自動車メーカーにとっての現地生産と輸出の選択には、様々な検討するべき要因があります。例えば、第一にあげるのはコスト差です。米国やヨーロッパなどの先進国や開発途上国で生産する際の人件費と日本の人件費の差を考えてみます。これは、為替の水準によって、常に変動します。円安が進めば、日本の人件費の高さがそれほど問題にならないかもしれません。

第二には、貿易に伴う関税があります。現在TPP=環太平洋経済連携協定の交渉も大詰めですし、いくつかの国とのEPAの交渉も進んでいます。そう考えると、製品を輸出することによる貿易上の障壁である関税が撤廃されると、輸出のデメリットの一部は解消されることになります。

その他にも、多品種少量生産であれば、日本の工場で生産した方がより効率的であったり、さきほどのクラスターで説明した地域内での部品調達の効率性や品質を考えると、やはりまだ国内の方が優れているということもあります。

そのように考えると、車種によって量産車は海外現地生産、付加価値の高い車種は国内からの輸出といった棲み分けが必要ということになります。ただし、先ほど説明したように、為替の水準、貿易に伴う多くの不確定な要因や現地の市場規模の変化によって、常にそのバランスが変化するということです。

今日のまとめは、自動車メーカーが完成車を輸出したり、あるいは現地生産する理由として、貿易に伴うリスクや為替の変動、生産の効率性や品質の維持、自動車生産に顕著なクラスターにより、様々な選択が行われた結果であることを説明しました。


分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ