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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > エルピーダとルネサス (企業財務 M&A/村藤功)

エルピーダとルネサス

村藤功 企業財務 M&A

14/04/03


今日は、半導体業界についてお話します。
1980年代から90年代前半まで半導体業界でトップを走っていた日本勢は、DRAM(ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリー)やシステムLSIの分野で敗退しました。一体何が起こったのでしょうか。

半導体のうちにあるDRAMは、昔から「家電の米」と言われており、あらゆる家電の中に入っているものです。これは、いろいろなものを記憶するメモリーの機能を持っています。新しいDRAMを作ろうとした場合、設備投資がどんどん巨額になって行きます。世代が代わるにつれて、投資額が何倍にも膨れて行きます。

DRAMの分野では、韓国のサムソンが現在のところ世界一位です。日本の不動産・株式バブルが崩壊した際、日本のメーカーはお金を持っておらず、銀行にも貸し出すお金がありませんでした。そこで、新しいDRAM生産への投資を諦め、自動車や携帯電話をコントロールするシステムLSIへ力を集中するようになりました。その際に、NECと日立、三菱電機の三社が、DRAM事業についてエルピーダメモリーという会社を作りました。これが日本で唯一のDRAMメーカーです。しかし、弱者が三つくっついても強くなるわけではなく、赤字が続いたため、更生法の適用を申請しました。日本では引き受け手がなかったため、結局はアメリカのマイクロンの傘下に入りました。現在では、アメリカの子会社として再建中です。

一方でシステムLSIの分野においても、DRAMの時と同じく、NECと日立、三菱電機の三社がくっつきました。最初は、日立と三菱電機が2003年にルネサス・テクノロジ-という会社を作りました。一方NECは、NECエレクトロニクスというシステムLSIの子会社を作りました。そしてこの二つが2010年にくっついて、ルネサス・エレクトロニクスが発足しました。この会社は、自動車用のマイコンの分野では、世界のシェアの四割を握っており、世界でもナンバーワンの座にいます。ところが、東日本大震災に際してマイコンを生産する工場が止まってしまいました。マイコンを生産できなくなると、自動車の生産も止まります。そこでルネサスは、日本の各地の工場において分散して生産を行いました。

しかし、世界で進んでいたバリューチェーンの得意な分野に絞り込むやり方に乗り遅れたことによって、ルネサス・エレクトロニクスもまた勝つことができませんでした。アメリカでは、自社で生産設備を持たず、外部の協力企業に生産を100%委託するファブレス企業が増えてきました。他社からの委託による生産を専門に手掛ける企業を、ファウンドリ企業といいます。アメリカのクアルコムやAMDといったファブレス企業は、台湾のTSMCのようなファウンドリ企業へ生産を委託しています。これらの企業は、バリューチェーンの強いところだけを担っているため、全てを行っている日本企業は太刀打ちできなくなるのです。

バリューチェーンとは、付加価値の流れのことです。研究開発から部品や原材料の購入、それらの組み立て、販売、お客さんへのサービスに至るまで、最終的に消費者のもとにたどり着くまでに価値が付加されて行く一連の流れを指します。日本企業はこの全てを行っていましたが、ファブレス企業は研究開発のみを行い、ファウンドリ企業は生産しか行いません。それぞれがそれぞれの強いところに集中する国際分業体制に対して、工場の閉鎖や人員削減ができず全て(インテグレーティド・マニュファクチャリング)を行っていた日本企業は、敗れ去ったのです。

結局ルネサス・エレクトロニクスも、政府のファンドである産業革新機構や他八社に対する第三者割当が完了し、実質的に国有化されました。現在では再建のために、要らない工場を閉鎖して、研究開発のみを行うようにし、ファウンドリ企業へ生産委託する方向に動きつつあります。

今日のお話をまとめます。
80年代から90年代前半にかけては、日本が世界の半導体産業の中でトップを走っていました。しかし、DRAMにおいて日本は敗れ去り、サムソンがトップになりました。一方で、国際分業体制も進んでおります。また、中国のマーケットが拡大しており、これからは中国企業が勃興する可能性が出てきています。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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