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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本企業の海外進出(PMA) (国際経営論、経営戦略論、アジア産業論/永池克明)

日本企業の海外進出(PMA)

永池克明 国際経営論、経営戦略論、アジア産業論

14/04/01


ここのところ数回にわたり、日本企業が海外へ進出するにあたって必要なことをお話しています。前回は、PMS(Product/Market Strategy、製品/市場戦略)のファーストステップであるPMA(Product/Market Analysis、製品市場分析)についてお話しました。今回は、PMS全体についてお話するとともに、関連する注意事項についても触れます。

たとえば、パソコンを例に取りましょう。PMSでは、まず、パソコンのKFS(Key Factors for Success,成功の鍵)を、PMAに基づいて抽出します。前回、PMAにおいては市場や競合の動向、経済性、技術などについて分析することをお話しました。この中で、自社にとって一番ポイントとなるものを三つとか五つ取り上げます。これがKFSです。企業によって異なりますが、一般的には、KFSは三つ程度に絞られなければなりません。

次いで、そのKFSと現在の自社の状況の間のギャップを見極めます。KFSというのは一番理想的な状況のことです。パソコンでいえば、業界1位、2位の企業のレベルをKFSとするケースもあります。それとの比較として、自社の現状を把握するのです。そしてそのギャップを埋めるための戦略や代替案について検討します。その結果、いくつかの案が出てくるでしょう。これらを、トップマネジメントで構成される本社のステアリング・コミッティーへ提示し、お伺いを立てます。そうするとその方々がパソコンに出せる経営資源(ヒト、モノ、カネなど)など様々な事項を検討した上で、「この案で行きなさい」という指示を与えます。それに基づき、現地のチームは、その案に基づいた計画を作って行きます。

140401図1.png

実行計画を作る際には、できるだけ詳細に、実施項目や実施責任者を決定します。そしてタイムスケジュールを作りますが、三年ごとあるいは一年ごと、半年ごとという形でブレイクダウンして行きます。そしてターゲットを項目別に定量化した上で、具体的なチェック項目を決め、定期的にモニターを行います。すなわち、その計画が達成できなかった場合には必要な分析を行い、軌道修正をはかるのです。たとえば、アメリカの政府の政策が変わった、円レートが想定したよりも円高になったといった、前提や環境の変化があった際には、ただちに軌道修正し、修正計画を立てます。こうした諸点をスケジュール化し、目に見える形にします。

このように、PMAからはじまるPMSに基づき、アクションプランを作成して以降は、それをフォローしていきます。そして、具体的な月例計画を立てるなどして、実際の実施計画へ落とし込み、一連のスケジュールを作成するのです。

140401図2.jpg

こうした戦略を作る際には、感度分析※1を用います。これは、様々な問題がある中で、何を一番押せば効果が上がるのかという点を分析する際に用いられる手法です。これによって、短期間で効率的に計画の効果を上げることができます。

最後に、PMSが成功するための鍵についてお話します。その第一は、トップマネジメントを含めた事業責任者が、たとえば「アメリカでの自社のコピー機のシェアを向こう三年間で三倍にする」といった、強い目的と意志を有していることです。第二は、普段は相互の接触が少ない開発部隊や製造部隊、販売部隊、企画部隊らが、一定の期間一つのチームとして協力し、一つの目標に向かって計画を実行して行くことです。第三は、各部署のエース級の人材を選びぬいてそのチームへ派遣し、最優先で当該プロジェクトに取り組ませることです。そして第四は、プロジェクトの進路をチェックし、適宜軌道修正を行うことです。これらは、三カ月から四カ月の短期集中型のプロジェクトの形で行われる方が、効率的でしょう。

140401図3.jpg

今日のお話をまとめます。
企業が海外市場へ進出する場合には、勘や同業他社が進出したことを理由にするのではなく、具体的で冷静な市場分析と、それに基づいた戦略立案が非常に重要になってきます。

※1
感度分析とは、ある指標の変化が最終結果にどのように影響を与えるかを明らかにすることです。例えば、売上、費用、利益を考える際に、費用の中でも固定費が5%上がった場合の利益、変動費が10%下がった場合の利益などを明らかにするなどは感度分析の一例です。感度分析をすることで、環境変化により指標が変化した場合に、どの程度の損害を被るのか、あるいは予想外の利益がどの程度生まれるのかを定量化することができます。これによって、不確実な事象に対して具体的な備えをすることができるようになります。

分野: アジアビジネス 国際経営 経営戦略 |スピーカー: 永池克明

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