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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > グーグルによる東大発ベンチャーの買収(その1) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

グーグルによる東大発ベンチャーの買収(その1)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

14/03/26

【本文】
・昨年12月、ロボット開発を手がける日本のベンチャー企業がグーグルに買収されるというニュースが報じられた。「日本初の技術がグーグルに高く評価された!」と好意的に受けとめられる反面、「日本の税金が投入されたベンチャー企業が、そう簡単に外資の手に渡ってしまって良いのか?」という疑問も投げかけられた。今日は、この話について考えてみたい。

・グーグルに買収されたベンチャー企業は「SCHAFT(シャフト)」という。同社は東大でロボットを研究する研究室のOBによって、2012年に設立された。災害現場や3K現場で働くヒューマノイド(人型)ロボットとして事業化を目指している。

・その事業目的を達成する一環で、米国国防総省DARPA(高等研究計画局)主催の災害対応ロボットのコンテストに出場し、途中段階の審査で1位に輝いたことで、世界に名が知られていた。
・ちなみに、このコンテストには4カ国、16チームが参加し、「クルマを運転する」「凸凹道を歩く」「がれきを取り除く」「ドアを開ける」「はしごを上る」「壁に穴を開ける」「消火ホースをつなぐ」「バルブを締める」といった競技で競い合う。

・このコンテストは2年間かけて行われるもので、初期審査や途中審査を無事通過したら、その都度DARPAから開発資金が提供されることになっており、SCHAFTも開発費の獲得に成功している。(コンテスト最終審査は、2014年12月の予定)

・あるメディアの報道(WIRED;科学技術やデザイン、イノベーションを主に取り上げており、本件を2013年12月23日に報道)によると、当時、東大の研究室で助教として勤務していた若手研究者らが、助教の任期満了が近づいていることや、開発のための研究資金の獲得が難しいことなどから、ベンチャー創業を検討していたところ、DARPAのコンテストを知り、参加するためにSHAFTを設立した、というのがベンチャー設立の経緯とされている。

・創業者らは、当初、技術流出を懸念し、国内のベンチャー投資会社をあちこち回ったものの全く投資が受けられず、個人のつてで若干の資金提供者を得るような状況だった。ただ、それでは全く開発費が足りないため、DARPAの資金を得てコンテストに出場することにしたのだ。

・加えて、本来の事業を進めていくために開発資金が必要なため、海外の投資会社を回ったところ、グーグルが関心を示し、結果として今回の買収に至ったということだ。

・これは、美しい成功物語のように見えるが、日経新聞の報道(2014年2月14日)によると、経済産業省の幹部が「日本で生まれた技術を、なぜ日本で育てられないのか?」とグーグルの買収を問題視しているとのことだ。SCHAFTが使用する核となる特許には、国の研究機関である産業技術総合研究所が関与しており、研究開発に国費が投じられているにも関わらず、経産省が所管する官民ファンド「産業革新機構」も投資を断っていたと報じられているからだ。

・確かに、国費を投じたにも関わらず、その企業が米国企業の手に渡るという事実をどう受け止めればよいのだろうか?次回は、この点についてさらに考えていきたい。

【今回のまとめ】
・東大発ロボット・ベンチャーのグーグルによる買収は、成功物語のように見えるが、一方で、国費を投じた技術が国外に流出しているのではないか、という批判も生じている。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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