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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 最近の邦画に見るマーケティング (マーケティング/出頭則行)

最近の邦画に見るマーケティング

出頭則行 マーケティング

14/03/17

今日は「邦画に見るマーケティング」というテーマの下、最近の日本のヒット映画が映し出す世相、あるいは日本人の心持ちのようなものをお話したいと思います。
ヒット映画は今の世の中を映し出します。また、マーケティング活動は世の中を反映したものでもあります。世の中の流れを知ることは非常に重要なことなので、そういった意味で私も映画を結構頻繁に見ています。
最近の日本の映画は健闘していて、良い映画が多いと思います。昨年で言えば、「風立ちぬ」が興業成績一位になりました。また、今年になって百田尚樹さんの「永遠の0」や山田洋次監督の「小さいお家」といった映画が公開されました。これら3つの映画は非常に観客動員数が多い映画です。この「風立ちぬ」と「永遠の0」と「小さいお家」という3つの映画には共通するものがあります。

一つは「第二次世界大戦」を扱っている映画ということです。「風立ちぬ」を除くと、現代からその時代を見る構図、すなわち、平成の現代の青年、現代に生きている人間がその時代を照らして見るというような構図になっています。
また、戦争を扱っているわけですが、反戦的というよりは厭戦的で、戦争で亡くなった人達を善悪の彼岸に置いて、鎮魂、悼んでいるという点が共通しています。
さらに、扱っている階級が「中流階級」になります。「風立ちぬ」は中流の中でも上位の人を扱っており、「小さいお家」も同様で、「永遠の0」では極貧ではないけれども、すごく金持ちでもない、まさに中流階級の人を扱っているという所が共通しています。これはアメリカ映画と比べると非常に対象的です。

アメリカ映画も様々ありますが、多くのものは近頃ファンタジーですよね。例えばロボットが出てきたり、CGを使ったりしており、時間は未来のものが多いです。また、「スーパーヒーロー」が存在します。この点も対照的であると言えます。日本の映画は「過去」の話をし、「中流の上位の人」を扱い、「スーパーヒーロー」がいるわけではないというような所から言ってずいぶん違います。
これらの背景にあるものは何なのだろうなと考えたとき、「東日本大震災」が大きく影響しているのではと思っています。「東日本大震災」は「第二の敗戦」と言われています。日本は戦後、様々な面で繁栄してきたのですが、「東日本大震災」において、その繁栄の基になっている価値観が逆転してしまった、あるいは価値観そのものに裏切られてしまったという想いを我々は持っています。ですから、東日本大震災の影響は非常に強く、この3つの映画はそれに触発されていると思います。

また、鎮魂と同時に、「日本人とは何か」「日本とは何か」という問いかけに向かっています。そのような背景があって、今日の本題として、これらの作品から見て取れる「日本人の心持ち」に着目してみます。結論から述べると、日本は随分「コミュニティ指向」になっているということが言えます。「グローバル」というよりは、家族であったり、一族といった「コミュニティ」といった身近な人との繋がりへの帰属、「コミュニティ」への指向が色濃く出ていると思います。
加えて、過去に対して「回顧的」であるとも言えます。「回顧的」というのは「内省的」でもあると言え、外向きというより少し内側に向いている、つまり自分たちの心の中を覗いて見ているとも言えます。そういう意味で、「内省的」な心持ちが見て取れます。こういう心持ちは、実をいうとマーケティングにも色濃く表れているというのが私の考えです。日本で独特なのは、不思議かも知れませんが「企業広告が多い」ということです。アメリカやヨーロッパの多くの場合は、広告の主、主役は「商品」であって「企業」ではありません。しかし日本の場合、「企業」が広告の主になっています。これは世界的には結構ユニークな現象です。というのは、「コミュニティ回帰」の心持は、広告の中で、企業が社会の一員である、公共の一部であるということ表明することにも表れています。これは「商品」ではなかなか言いにくいことです。「この商品はコミュニティの一部です」と言うよりは、「企業が社会の一部です」といる表現で公共性を担保する方が自然なので、自然に「企業」が主役になり、日々の生活へのコミットメントが表明されています。かつての企業広告は、大言壮語と言いますか、結構大きな事を言っていたと思います。しかし最近では、そんなものではなくなってきており、地に足が付いているような気がします。例えば、パナソニックのコーポレットステートメントは"ideas for life"という横文字ではありますが、「生活のためのアイデア」という、身近なものになっています。三菱電機は"Changes for the Better"、日本語で言えば「より良きものへ変革する」というのがステートメントになっています。これは昔であれば"Changes for the Best"といったものになっていたと思います。そのように言っていたのが"Better"になり、より良きものという「前進的」なニュアンスが強くなっています。さらに日立は"Inspire the Next"です。遠い未来のことではなく、「次を喚起しますよ」と言っており、東芝も"Leading Innovation"という横文字であるものの、どれも昔の大言壮語と言うか、勢いに任せたものではなく、地に足が付いている、より生活に密着していて社会性を担保しているということが強く出ており、これは映画と共通するものであろうということが言えます。

分野: マーケティング |スピーカー: 出頭則行

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