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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 英国における異文化(14):自由と自己責任 (英文法理論、コンピュータによる英語教育/鈴木右文)

英国における異文化(14):自由と自己責任

鈴木右文 英文法理論、コンピュータによる英語教育

14/03/10

今日は「英国における異文化」シリーズの続きになります。今回は少し抽象的な題をつけましたが、「自由と自己責任」という題でお話します。

今日は後半、少しそれらしいことをお話しますが、それの材料として、イギリスの南海岸にあります「セブンシスターズ」という観光地のお話から入りたいと思います。
実は写真を持ってきています。イギリスの南海岸はチョーク質、いわゆる白亜のナントカというやつなのですが、石灰質の断崖がずっと並んでいます。その昔飛行機がなかったころ、大陸からイギリスに帰ってくる人たちはこの白い壁が見えてくると、「はー、故郷イギリスだ。」と言い、色めき立ったとよく言われています。手元にある写真からも、真っ青な海のすぐ横に切り立った崖があり、その山肌が本当に真っ白なのが分かります。これが彼らにとっての「故郷の色」なわけです。この「セブンシスターズ」は、断崖絶壁を上から見下ろせたり、下から見上げられたり、自由に楽しめる観光地になっています。
また、別の写真も持ってきているのですが、「セブンシスターズ」というのは遠くから見ると、山の峰が並んでいるように見えます。その1つ1つを「魔女の帽子の尖った部分」に見立て、まるで7人の魔女が並んでいるように見えることから「セブンシスターズ」というようです。実は、ここは「ハリーポッター」にも1度出てきており、ファンの方なら、「あっ」と思うかもしれません。

この観光地は、バス、あるいは車から降り、思い思いにどの地点にも行っても良いようになっています。そのため、遊歩道ができているとか、「こっちに何がある」といった看板が出ているといったことはほとんどなく、本当に自由に断崖の上に行き、上から下を覗いて良いことになっているのです。崖の上は、野原になっています。私は「高所恐怖症」なので、残念ながら上から覗くことはできません。
この観光地は日本と違い、「遊歩道」も「落下防止の柵」もないため、「何でだ?」と私たちの感覚では思います。もし、観光客が下を覗いて落下し、亡くなるなんて事故が起きた場合、恐らく日本では自治体が「なぜそれを予見せず、安全対策を施さなかったのか。」と言って、問題になると思うのです。そこが「自由と自己責任」という、冒頭でお話したテーマに繋がってくるのです。
つまり、ここに来た人がどういう風に楽しもうが、それは個人個人の「自由」であり、その代わり、それに伴って起きた結果については、個人個人の「自己責任」になるということなのです。この点は、日本と考え方が全く違います。もちろん、あらゆる場面で例外なくそのような区分けが成り立つわけではありません。しかし、我々日本人の「共同体的な発想」、すなわち「みんなで安全を守っていきましょう」と少しずつ力を出し合っていく「共同体社会」と、この例で見られるような「個人主義」が強く出る国との違いは明確です。

このような目でイギリスの観光地や色々なものを切り取って見ていくと、「なるほどこれは個人主義だな。」と思えることが沢山あります。今回はその象徴として、「セブンシスターズ」を取り上げているわけです。柵も何もなく、放ったらかしといえば放ったらかしなのですが、その方がこのような観光地としてはやはり景色の美しさも保てるのですね。ここに柵をたくさん立ててしまったり、「ここから向こうは行くな」といった看板を埋め込む等をすると無粋ですよね。その辺りの「バランス意識」がイギリス人と私たちとは違うわけです。

私は幸いなことに高所恐怖症なので、「セブンシスターズ」に行っても安全なわけですが。私の場合は、下から見上げて楽しみます。この場合、落下物に当たる危険性があるとは思います。恐らく数十メートルから、もしかしたら3桁いくところもあり、非常に高いところです。とても雄大な景色ですが、南海岸ですらこうですので、スコットランドの方に行くと、また違った景色が広がっており、もうそれはすごいです。いずれお話したいと思います。

話を「セブンシスターズ」に戻しますが、先ほどお話したように、断崖の上は緑の原っぱがずっと続いていて人が歩く歩道のようなものはありません。つまり、どこを歩くかも含めて全くの自由なわけです。素晴らしいと思いませんか。日本の場合、誰かがレールを敷いてくれており、「どうぞその上を行ってください。外れなければ安全ですが、外れたら知りませんよ。」と脅かしを受けるわけです。このことと、子供たちの教育で行っていること、何か重なりませんか。「ああすればいい、こうすればいい。」とついついレールを教えてしまいがちですが、どこの世界でもそれをやってしまうとやはり頭打ちで、恐らくやってはいけないことの1つなのではないかと思うわけです。つまり、道を示し過ぎるのも良くないのではということです。
私たちは、常日頃色々なところでそのようなことに関する様々なヒントを目にしているはずなのです。それをくみ取れる力を養いたいですよね。そうすると、こんな観光地に行っても、はっと思う事が沢山あるわけです。それを活かしきれるかどうかが、ビジネスチャンスを掴めるかどうかの差にも繋がっているのではないかと思います。

今日のまとめです。イギリスにおける「自由」というものは、非常に広く、我々よりも広く認められています。これはおそらく英語圏、あるいは西欧圏全体に言えることかもしれません。そしてその代わりに、その「自由」を行使する時には「自己責任」を伴います。「自分の責任でやった事だから、何かそこに不利益があってもそれは自分で責任を取る」という発想がそこにはある、というお話をしました。

分野: 異文化コミュニケーション |スピーカー: 鈴木右文

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