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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本の食糧事情 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日本の食糧事情

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/03/07


日本の農業生産は、GDPの1%で、農業従事者は就業者全体の3%を占めています。これは、農業の生産性が他の産業よりも低い事を意味しています。国際的に見ても、日本の農業の生産性は低くなっています。その最大の理由は、農家一戸あたりの農地が狭いことにあります。もともと日本は国土の割に人口が多く、しかも平野が少ないので、農地は少ないのですが、その農地を多くの農家が細切れに持っている事が生産性を低くしているのです。農地を集約化して大規模な農業をする人や企業が出てくれば良いのですが、様々な規制などがあって、あまり大規模化は進んでいません。一方で、農業従事者が引退した後、後継ぎがいないために耕作されなくなっている土地が増えつつあります。規制が緩和されて、大規模な農業をする人や企業が増えて来る事が是非必要な状況です。特に、日本がTPPに参加すると、外国の農産物が安く輸入されるようになりますから、それに対抗できるだけ日本の農業を強くしておく必要があるのです。

日本の農業の生産性が低い理由の今一つが、高齢者が細々と農業を続けているケースが多いことです。こうした人々は、生き甲斐のために働いているという面も強いので、生産性が低いから農業をやめる、という必要はありませんが、そうした農家を守るために莫大な税金が使われているという事を考えると、問題は単純ではなさそうです。

日本の食糧自給率は、カロリーベースで39%、金額ベースで66%となっています。カロリーベースの自給率が低いのは、カロリー当たりの値段が安い飼料用穀物を大量に輸入しているからです。

農業を保護すべきだ、という人の中には、食料自給率が低い事を理由に挙げる人が少なくありません。食料の自給率が低いと、いざという時に困るから、これ以上下がらないように農業を保護する必要がある、というわけです。たしかにそうした面はあるとは思いますが、私は食糧自給率のことは余り心配していません。

第一に、先ほど言いましたが、カロリーベースの自給率が低いのは、大量の飼料用穀物を輸入しているからです。これが国産の肉となって私たちの口に入っているわけですが、肉を生産するためには牛や豚や鶏に大量の餌を食べさせる必要があるのです。つまり、いざという時には私たちが肉を食べずに大豆やトウモロコシを食べるようにすれば、食料自給率は大幅に上がるのです。

第二に、世界的な食糧の輸出国は、アメリカをはじめ、日本と仲の良い国が多いので、日本が食料を輸入できなくなる可能性は高くない、という事です。石油などが輸入できなくなる可能性の方が遥かに心配なのですが、その話は後日あらためてしましょう。

こうした理由で、食料自給率はあまり心配していないのですが、農業を守る事は必要だと思います。農業や林業のおかげで美しい国土が守られているという面も大きいですし、働いている人々の生き甲斐にもなっているからです。

農業の将来を考えると、心配な材料が二つあります。一つはTPPなどにより外国の農産物が安く輸入されるようになることです。日本経済全体を考えればTPPに参加する方がメリットは大きいようですから、これは、ある程度仕方の無い事でしょうが、農業にとっては打撃になるでしょう。

しかし、本当の心配は、農家の後継者不足です。現在でも農業従事者の高齢化は進んでいて、6割が65歳以上となっています。彼らに後継者がいないと、耕作放棄地がどんどん増えてしまいます。TPPに加盟しなくても、後継者不足で日本の農業は衰退していくのです。それを防ぐためには、多くの農家から農地を借りて大規模農業を営む人や会社を増やすことです。繰り返しになりますが、そのための規制緩和が強く望まれます。

ここまで農業の話を中心に御話ししてきましたが、私たちの食事には、農業だけではなく、実に多くの人々が携わっています。家計調査という統計を見ると、私たちの消費に占める食費の割合は、約4分の1です。一方、農林水産業の生産額はGDPの1%です。これは、消費額の3%程度に過ぎません 。その差額には、輸入される食料もありますが、大きいのは外食産業や流通業などの生産額なのです。これは、国民が豊かになるにつれて外食や調理食品などへの支出が増えたことが主因ですが、女性の社会進出が進んだ事で、自分で料理をする主婦が減った一方で、家計が豊かになった分で外食をしたり調理食品を買ったりする家庭が増えた、という事もあるようです。

食料については、食品ロスの問題も深刻です。まだ食べられるのに捨てられている食べ物が日本では年間500万トン~800万トンにも上ります。流通段階でも問題は多いようですが、個々人の家庭で捨てられる食料も多いようです。身近な問題ですから、少しだけ気をつける事で、無駄な廃棄を減らして行きたいものです。私も気を付けます。

まとめ:食料自給率の低さが問題とされていますが、それほど心配する必要はありません。消費に占める食費は約4分の1ですが、農林水産業の生産額はGDPの1%、消費の3%程度に過ぎません。流通業や外食産業が重要な役割を担っているのです。

分野: 経済予測 |スピーカー: 塚崎公義

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