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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 科学技術イノベーション政策への九大の取り組み(1) (技術経営、科学技術政策/永田晃也)

科学技術イノベーション政策への九大の取り組み(1)

永田晃也 技術経営、科学技術政策

14/03/04


 私は九州大学ビジネススクールの教員ですが、同時に「科学技術イノベーション政策教育研究センター」(以下、CSTIPS)という学内共同施設のセンター長を兼務しています。このセンター(以下、英語名の略称でCSTIPと言います)で行われている教育研究活動は、実務家の育成というビジネススクールの目的にも関連していますので、今回から2回に分けて、その概要をご紹介したいと思います。

 CSTIPSの教育研究活動は、「政策のための科学」という新しい領域に関連しています。これは、「科学的な政策プロセス」を促進するための教育研究活動であると言い換えることができます。従来の政策プロセス、つまり政策の立案、実施、評価が全く非科学的なものであったわけではありませんが、それは概して権威、権力のある者、あるいは専門家と呼ばれる人たちの意見に左右されることが少なくないわけです。これを科学的、客観的な根拠に基づく政策プロセスにするということが、この取り組みの目的です。このことは、よくopinion-based な政策からevidence-basedな政策への転換と言われています。
 さて、この領域の形成は、文字取り科学技術イノベーション政策のために、政策的にサポートされており、その動きは2005年頃から米国で始まっているのですが、日本でも2011年度(平成23年度)に、基盤的研究と人材育成を推進するための拠点整備事業が文部科学省によって開始されました。九州大学は、全学的な協力体制で構想を策定し、この事業に応募したところ採択されて、平成24年4月にCSTIPSが発足することになったわけです。なお、この事業には九大の他、政策研究大学院大学、東京大学、一橋大学、および大阪大学と京都大学の連携による構想が採択されています。つまり現在のところ、全国で6大学5拠点がこの事業に取り組んでいるわけです。

 CSTIPSは、大きく分けて3つの事業を推進しています。
 その1つが、大学院レベルの人材育成プログラムの開発と運用です。これについては、平成25年度に九州大学の大学院共通教育科目として「科学技術イノベーション政策専修コース」の9科目を開講しました。26年度には10科目になります。大学院共通教育科目というのは、九州大学の大学院の学生なら、どの専攻で就学していても履修できる科目ですが、この専修コースでは、さらに社会人学生の受け入れを可能にするため、「科目等履修制度」を導入しました。これにより、大学卒業という資格要件を満たしている社会人であれば、出願手続きを経ることで1科目から履修することができます。社会人学生は、科目を履修している間、九州大学の統合新領域学府という大学院に学籍を持ち、単位を修得することができます。

 この専修コースのカリキュラムは、「コア科目群」と「固有科目群」によって構成されています。
 「コア科目群」には、政策過程や政策分析に関する基礎知識を習得するための科目と、それらの知識を政策立案に応用する実践的能力を養うための科目が含まれています。例えば「STI政策概論」という科目では、科学技術イノベーション政策の理論的な根拠や、各国の政策動向について学ぶことができますし、「STI政策分析」という科目では、科学技術イノベーション政策に関連する様々なデータの特徴や、その統計的な分析方法を学ぶことができます。また、「STI政策立案演習」という科目では、受講者の問題意識に基づいて政策課題を設定し、その課題の背景を分析し、政策提言をまとめるまでのプロセスが実習されています。
 「固有科目群」の方には、総合大学である九州大学の特長を活かした学際的な科目が含まれています。例えば、「環境・エネルギー政策」という科目には、経済学的・行政学的なアプローチを学ぶ科目と、工学的・生態学的アプローチを学ぶ科目があります。また、「地域サステナビリティ」という科目では、都市工学、農村問題、地域医療、防災システムなどの多様な観点から持続可能な地域社会を作りだしていくための課題が論じられます。
 詳しくは、CSTIPSのホームページをご覧ください。
  http://www.sti.kyushu-u.ac.jp/index.php

 今回のまとめは、 科学的な根拠に基づく政策の担い手を育成するための取り組みが、九州大学で行われているということです。
 
 次回は、CSTIPSの研究活動や、拠点間連携についてご紹介します。

分野: イノベーションマネジメント |スピーカー: 永田晃也

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