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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本的経営の変化について (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日本的経営の変化について

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/02/27


前回御話ししたように、日本的経営とは終身雇用、年功序列賃金、企業別組合の事です。これは、高度成長期には非常に役に立ちましたが、ゼロ成長時代になると、都合の悪い事も増えてきました。そこで、少しずつ緩んで来ています。

年功序列賃金は、社員が退職するのを防ぐ意味があります。若い時に安い給料で働く代わりに長く勤めれば高い給料がもらえるからです。これは、人手不足だった高度成長期には人材確保の手段として大いに役立ちました。しかしバブルが崩壊して日本経済が長期低迷の時代になると、社員を引き止める必要性が薄れました。

また、高度成長期は毎年大勢の若者が入社しましたから、若手の賃金を低く抑える年功序列は便利だったのですが、最近ではゼロ成長時代で若手社員の割合が少ないので、そうしたメリットも失われてしまいました。企業によっては中高年社員の比率が高いので、年功序列がむしろコスト増になっている場合も多いようです。

そこで、年功序列は緩んで来ました。しかし、その本質は今でも残っています。理由の一つは、社員が辞めないと思うからコストをかけて若手を教育する事が出来る、というメリットがあるため、年功序列で社員を引き止めておく必要性は今でもある事です。

今一つ、年功序列には、同期入社組が仲良く昇進し、給料も上がっていくという意味があります。それを崩して能力や成果に応じて出世や給料を決めようという動きもありましたが、社員同士が協力しあう事が難しくなった例なども多かったようで、ある程度は広がりましたが、年功序列が無くなってしまう事はありませんでした。

終身雇用制は、基本的に残っています。昔に比べるとリストラは増えてきましたが、安易に行なわれているわけではなく、どうしても避けられない場合にのみ行なわれる、という事ですから、あくまで基本は終身雇用なわけです。

もっとも、終身雇用というのは正社員に適用されるのであって、派遣やパートといった非正規雇用には適用されません。最近、非正規雇用の割合が大幅に増加している事を考えると、ここでも日本的雇用が緩んで来たと言えるのかも知れません。非正規雇用が増加している理由の一つは、コスト削減です。「会社は家族」という一体感を犠牲にしても、人件費の安い非正規社員を増やそう、という企業が増えているのでしょう。今一つの理由は、ゼロ成長です。ゼロ成長時代には、一度正社員を採用しすぎてしまうと、いつまでも余剰人員を抱える事になるので、正社員は最低限必要な人数に抑えておこう、ということです。会社の中に非正規社員が大勢いることにより、結果としては会社の一体感が緩くなり、日本的経営が緩むことにつながっているわけです。

企業別組合は、今でも変わっていません。今でも多くの労働組合は会社と決定的な対立をするのではなく、妥協によってウィン-ウィンの関係を築くよう、努めています。

日本的経営について、変化がみられるのは、企業が儲かっても給料を上げずに株主への配当を増やす、といった傾向が見られるようになった事でしょう。高度成長期の企業は、株主よりも従業員を重視しており、「会社は家族」といった共同体意識を社員も経営者も持っていたのですが、最近は「会社は株主のものなので、利益をあげて配当を増やすのが経営者の仕事だ」と考える人が増えているのです。

これには、小泉内閣の構造改革が影響していると思われます。小泉内閣の基本的な考え方は、日本的なやり方をアメリカ的なやり方に変えて行こう、というものでした。グローバル・スタンダードという言葉が流行りましたが、これはアメリカ的なやり方という意味でした。アメリカでは企業経営者は株主のために働くのが当然なので、日本の経営者も従業員のために働くべきではない、という風潮が広まったのです。

リーマン・ショックの前は、景気が回復して企業の利益が増えたのに、こうした風潮の中で、給料は上がりませんでした。今回は、アベノミクスで再び景気が回復しつつあります。ここで給料が上がるかどうか、大いに注目される所です。ここで給料が上がらなければ、今度こそ本当に「会社は家族」という共同体意識が薄れてしまうでしょう。賛否両論あるでしょうが、私としては、日本的経営の良い所は残って欲しいと思います。

他社との長期的取引を大切にする所も、少しずつ緩んでは来ていますが、基本的には続いています。銀行との関係も、メインバンクを決めて、そこと主に取引する、という本質は変わっていません。借り手が苦境に陥った時にメインバンクが支援する、という点も、多少緩んで来たようですが、本質は変わっていないようです。

米国は素晴らしいから米国的なやり方を真似しよう、という風潮は、リーマン・ショックで米国が転んだ事もあり、最近ではあまり聞かれなくなりました。これは、日本的経営が続いていく方向の力となるはずです。時代に合わない所は変化していくとしても、日本的経営の本質は今後も続いていくでしょうし、そうあって欲しいものだと思います。

まとめ: 日本的経営は、高度成長時代には非常に役に立ちましたが、バブル崩壊後の長期低迷期には、時代にあわない部分も出てきました。そこで、日本的経営は少しずつ緩んで来ています。しかし、本質は今でもしっかり残っています。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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