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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本的経営 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

日本的経営

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

14/02/26


日本企業の多くは株式会社で、法律的にはアメリカの企業とよく似ています。株主が金儲けのために作ったのが株式会社であって、経営者は株主総会で選ばれ、利益は株主に分配されます。経営者は株主のために機械を買い、労働者を雇い、利益を稼ぐ事に専念する、というわけです。

しかし実際には、日本企業は株主よりも従業員を大切にします。従業員の中で一番出世した人が経営者になり、従業員の幸せのために利益を稼いで給料やボーナスを支払います。株主の利益のために従業員を解雇する、といった事は滅多にありません。

日本企業の特徴は、終身雇用、年功序列賃金、企業別組合だと言われています。こうした特徴は、日本的経営と呼ばれています。

終身雇用は、学校を出てから定年になるまで同じ会社に勤めるという事です。社員にとっては、何と言っても失業の心配がないのですから、有り難い事です。企業にとっても、社員が辞めないとわかっているのでコストをかけて社員教育をする事が出来ます。しかし、それ以上に素晴らしいことは、会社の発展が社員の幸せになるので、会社と社員が心を一つに出来ることです。「会社は家族」という言葉がありますが、大げさに言えば家族のような絆が社員と会社の間にはある、という事を表しています。高度成長期に家族と離れ、生まれ育った村を離れて都会に就職した若者にとっては、絆というか自分の居場所というか、とにかく会社は有り難い存在だったはずです。そうした気持ちに会社が応じることにより、社員の会社への忠誠心が一層高まる、という事もあったわけです。

年功序列賃金というのは、勤続年数が増えると給料が増える、という賃金体系の事を言います。これには二つの意味があります。第一は、能力や成果による給料の差を小さくして、同期入社組は同じような給料をもらう、ということで連帯感を高めようということです。真面目に働いて成果をあげた社員に高い給料を払う、という考え方もありますが、それをやりすぎると社員同士がライバルになって協力しなくなり、かえって会社の業績が落ち込むという場合も多いようです。

年功序列賃金の今ひとつの意味は、若いうちは会社に貢献した分よりも少ない給料をもらい、その分は会社に貸しておくことになる、という事です。年齢を重ねると会社に貢献した分よりも多い給料をもらい、貸してある分を返してもらう、というわけです。会社にとっては、社員が途中で辞めるリスクを減らすことが出来ます。貸してあると言っても契約書があるわけでは無いので、社員が途中で辞めると、会社に貸してあった分を返してもらえなくなるからです。社員にとっては、若い間はそれほど生活費がかかりませんし、子供の教育費がかかる年齢になるまで会社に預かっておいてもらった方が浪費してしまうリスクが減る、ということになります。

企業別組合というのは、労働組合が会社ごとに結成されている、という事です。労働者としては、高い賃上げを要求したいのですが、あまり無理な要求をすると、会社が傾いたり成長できなくなったりして、結局は自分たちも損をすることになります。そこで、同じ会社の社員だけで労働組合を作り、「無理難題は言わないから、会社側も誠意を見せてほしい」という交渉を会社側と行うことになるのです。

日本的経営は、名前のとおり、日本だけのものです。外国で終身雇用と年功序列賃金制を採用する会社があったら、真面目に働かない社員が増えるでしょう。サボっていても首にならないばかりか、同期と同じように給料が増えていくからです。では何故、日本では可能なのでしょうか?それは、日本人が真面目だからです。日本的経営が素晴らしいものであるか否かは議論のある所ですが、少なくとも日本的経営が可能であるほど日本人が真面目だ、という事は素晴らしい事だと思います。

本題とは逸れますが、日本だけで日本的経営が可能である事には今ひとつ理由があると、私は考えています。それは、日本人の恥の文化です。「あいつは仕事もしないで給料をもらっている」と言って後ろ指を指される事を多くの日本人は嫌います。そこで、そう言われないように努力をするのです。窓際族という制度も日本に特有です。外国人が聞いたら、仕事もしないで給料がもらえる羨ましい立場ですが、日本人は窓際族である事を恥ずかしいと思い、そうならないように若い時から真剣に働くのです。

決まった取引先と長期間付き合う事も、日本的経営の特徴です。毎回、仕入れるたびに一番安い所を探すのではなく、長期的な取引をすることで、相手は安心して設備投資をする事が出来ますし、契約も「前回同様で」と言えば済むのです。銀行との取引も、メインバンクを決めて、毎回の借入を同じ銀行から行なう事で、御互いにメリットがあるのです。

日本的経営について御話してきましたが、じつはバブル崩壊後、少しずつ変わって来ています。ゼロ成長の時代になった事や、日本経済の長期低迷の原因が日本的経営にあると考える人が増えてきた事などがその理由です。これについては、次回御話しします。

まとめ: 日本企業は、終身雇用、年功序列賃金、企業別組合、といった特徴を持っています。アメリカの企業などと異なり、従業員を大切にします。これを日本的経営と呼びます。しかし、長引く景気の低迷で、日本的経営も少しずつ変わり始めています。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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