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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 海外市場進出のための事前調査の重要性について (国際経営論、経営戦略論、アジア産業論/永池克明)

海外市場進出のための事前調査の重要性について

永池克明 国際経営論、経営戦略論、アジア産業論

14/02/06

これまでの放送で私は、わが国国内市場が少子高齢化によって縮小しており、今後は大きな成長を期待できないことについて述べました。そして、これまで主に日本国内市場を中心に事業を行ってきたいわゆる「内需型産業」もこれから国内市場だけに固執しては成長が期待できない。このため、近年になってようやく本格的に海外市場へ打って出ようという気分が非常に高まっていることについて、お話してきました。(ここでいう内需型産業とは自動車、電機、精密機械などこれまでも海外市場で事業を行ってきた産業以外の産業全てを意味します。就業者数で言えば約9割が内需型産業に当たります。具体的には金融・保険・証券、サービス業、卸小売業、建設業その他大多数が内需型産業)。今回は、これら産業の具体的な方法について話を進めます。

海外進出においては、まず、自分の企業が何のためにその国へ進出するのか、どのようなビジネスをどのような形で展開して行くのかといった目標を明確に設定することが、非常に重要になってきます。

次に、設定した目標に関連して、最低でも三カ月から四カ月程度現地へスタッフを派遣し、市場の調査を行い、その調査に基づいたビジネスプランを立てます。こうした事前調査のことを、英語でフィージビリティスタディー(進出妥当性調査)といいます。その際のポイントとして、明確な目標設定を行うこと、進出理由を決めることが、大変重要です。

現地の市場調査にあたっては、情報収集をどのようにして行うか、収集した情報をどのようにして分析するか、問題点をどのようにして見出すか、といった点を、きちんと行わなければなりません。その際には、経験や勘を持っている人の話に頼るだけではいけません。ビジネスはひとつのサイエンスですので、科学的、客観的な分析を行うことが、ビジネスの成功の確率を高めるポイントとなります。

私は昔、総合電機メーカー東芝において課長・主任クラスの頃、戦略企画マンとしてこうした海外市場での調査プロジェクトに実際に携わっていました。具体的には、日米、日欧貿易摩擦が激化し、日本からの輸出だけでは困難となり、海外生産が必要となりました。また、現地市場のシェアを上げることが必要になってきました。アメリカではカラーテレビやノートパソコン、複写機、自動車電話、電話交換機の調査を行いました。またイギリスやドイツ、フランス、イタリアでは、現地にそれぞれ三カ月から四カ月ほど滞在し、複写機などの拡販戦略のための調査をしました。1985年のプラザ合意後の急速な円高に伴い、輸出では採算がとれなくなった日本の自動車メーカーや電機メーカー、精密機械メーカーが、一斉に東アジアに生産シフトしました。そこでも、現地工場の進出のためのフィージビリティスタディーに携わりました。

こうしたプロジェクトにおいては、平均して三カ月から四カ月ほど現地へ赴き、本社派遣メンバーと現地法人メンバーから成るプロジェクトチームを立ち上げます。最初のうちは必要に応じて、分析ノウハウを勉強するために専門のコンサルタント会社に入ってもらい、調査分析を行います。私が携わった際には、アメリカのボストン・コンサルティン・グループ(BCG)やマッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)など、世界的に有名なコンサルティング会社と組んで調査したこともありました。こうした現地での市場調査と戦略立案、ビジネスプラン策定をまとめるプロジェクトリーダーには、色々なケースがありますが、本社の事業部門の責任者や事業部長、あるいは現地の社長や事業部長が就きます。

この海外プロジェクトのおかげで、東芝は海外で大変強力な地位を獲得することができました。極めて論理的な調査を通じて戦略計画を練り、実行しました。その結果、プロジェクト終了後数年すると、複写機のシェアが三倍上昇し、キャノンに次いで二位グループの一角となりました。ノートパソコンでは、一時期世界トップに躍り出たこともありました。

最近の企業も、当時と同じような方法で、製品市場分析や実行計画立案を現地で行っているようです。やはり、経験や勘に頼ったり、同業他社が進出したから自社もとりあえず進出しようといった乱暴な方法をとるのではなく、自社の実力と海外市場の状況をきちんと整理した上で、海外進出することが非常に大事です。

分野: アジアビジネス 国際経営 経営戦略 |スピーカー: 永池克明

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