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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 自動車部品輸送:ミルクラン・システム (国際経営、国際物流/星野裕志)

自動車部品輸送:ミルクラン・システム

星野裕志 国際経営、国際物流

14/01/28

 昨日は、最近新聞などでも紹介されることが増えてきた温度管理された商品を輸送するシステム「コールド・チェーン」についてお話をしました。今日は自動車部品の輸送などの方式で、やはり耳にすることの多くなってきた言葉として、「ミルクラン(milk run)」を取り上げたいと思います。
 ミルクランとは、日本語で「巡回集荷」とも訳されるようですが、もともとは牛乳工場からトラックで、各酪農家の牧場を回って、採取されたばかりの新鮮な牛乳を回収したことが始まりのようです。これをモデルにして、家電や自動車部品の輸送のシステムとして導入されてきたミルクランのお話です。
 昨日はコールド・チェーンと共に、「共同配送」ということを説明しました。異なる商品のメーカーやサプライヤーが、一軒一軒のコンビニエンスストアに商品を配送するのではなく、配送センターに一旦納入して、そこで一台のトラックを仕立てて店舗に配送する効率的なシステムです。ミルクランは、逆に完成車のメーカーが、自ら複数の自動車部品のサプライヤーの工場を回って、部品を受け取りに行く仕組みです。自動車メーカーにとってはその方が効率的だからです。
 トヨタに代表されるジャスト・イン・タイムというシステムは、「必要なものを必要な時に必要な量だけ生産する」仕組みです。車一台の組み立てに用いられる部品の数は、2万から3万点といわれていますが、自動車メーカーの工場の敷地に、一ヶ月先の生産に必要な部品を在庫する余裕はありませんし、在庫が多くなればなるだけ、現金化されない余剰な資産を持つことになります。必要に応じて部品が供給される方法として、以前は自動車メーカーがサプライヤーからの配送を待つのが一般的でしたが、むしろメーカーが受け取りに行くミルクランが、日本でも10数年前から実施されるようになり、中国やアメリカでも広く行われています
 その利点は、いくつか挙げられます。第一に、余計な在庫を持たないことからリスクもコストも削減ができます。第二には、コンビニの配送と同様に、各メーカーによって別々に部品が持ち込まれる際の管理コストや環境負荷が軽減できます。第三には、各サプライヤーの部品を一括して輸送することで、トラックの積載効率が高くなり無駄がなくなります。さらに第四に、従来は部品のサプライヤーの納入価格には、部品代と配送コストが含まれていたとすれば、これらを切り離すことにより、物流が可視化されコストが明確化すると共に、お話ししたように配送コストが削減できるというメリットがあります。
 ミルクランの事例をご紹介します。福岡県の苅田にある日産自動車九州工場は、昨年の10月から韓国でミルクランを開始しています。具体的には、日本のトラックが韓国の部品メーカーを回って部品を回収して、関釜フェリーを使って苅田の工場に搬入しているようです。今までは自動車メーカーというとその工場周辺に多くの部品のサプライヤーを集めて、クラスターと呼ばれる産業集積を形成していましたが、日産九州工場のケースは、日本製の部品と同等の品質で価格の安い韓国の自動車部品を自らミルクランで回収して、海を超えて工場に運びこむことで、部品の在庫が25日分から3日分に削減できたと報道されています。最近はコスト削減も当然ながら、渋滞の緩和やCO2などの排ガスの削減など物流の環境負荷の軽減ということも各企業に求められているので、とても興味深い取り組みかと思います。
 今日のまとめです。牧場から牛乳を回収するシステムをモデルとしたミルクランという物流システムは、メーカーが部品のサプライヤーからの納入を受けるのではなく、自らトラックで部品工場を回って部品を回収する方式ですが、多くの利点があることから自動車メーカーの生産などで広く採用されていることを、事例を交えて説明しました。

分野: 国際ロジスティクス |スピーカー: 星野裕志

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