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農業改革

村藤功 企業財務 M&A

14/01/31

今日は農業改革についてお話します。
日本の農業は、自給率が40%程度しかないということもあって、これまで政府によって保護されてきました。他の先進国では、農業保護のために行ってきた価格政策から、農家への直接支払いへ切り替えています。これは市場の価格を歪めることをやめ、農家の所得維持と切り離すためです(デカップリング)。日本の民主党政権では、このデカップリングの考えのもとに、農家別所得補償制度が導入されました。

しかしTPPによって関税がなくなり、安い商品が国外からたくさん入って来ることとなりました。そこでこうした補助金をやめて、農業を強くするための抜本的な対策をはじめました。

これまで、減反に協力すると10アールあたり15,000円を支払うという補助金制度の結果、滋賀県の面積にも匹敵するほどの耕作放棄地が生まれました。現在では、日本の農地の1/10が耕作放棄地であるといわれています。農家側にとってみれば、補助金をもらうためにわざわざ耕作放棄地を作ったことになります。そこで、あと四年間は半額である7,500円の補助金を払い続けるものの、その後にはこの制度を廃止することとなりました。

また他にも、変動交付金というものがありました。これは、生産物を市場において安く売らなければならない場合にそれを補填するというもので、来年度から廃止されることとなっています。代わりに、五年後に農業保険を導入し、農作物の急激な値下がりによる収入減を補填します。

また、飼料用や加工用に使う米に対して、手厚い補助金を出す制度があります。農家は、主食米を作り続けるか、補助金を期待して飼料用や加工用の米の生産に移るか、迷い始めています。

現状の農業は競争力を有していないため、大規模化や法人化をもって強化する必要があります。そもそも日本の農民一人当たりの平均農地は2ヘクタールといわれており、半数の農民が1ヘクタール程度しか持ちません。これでは、どのように生産しても赤字となってしまいます。一方アメリカでは、平均農地が日本の75倍、オーストラリアでは139倍となっています。しかし、デンマークやオランダは、農地面積は小さいものの、農業国として頑張っています。

これまで、普通の株式会社は農業に参入できませんでした。農業生産法人に対する出資は、特例でも50%未満までしか許されませんでした。しかし、国家戦略特区においては、株式会社の農業への参入や、50%以上の出資が認められるようになりました。

このようにして、法人が農業に参入し、中心となって農業を大規模化していくことになれば、若者もサラリーマンとして農業法人に就職し、安定収入をもらえるようになります。農業を生き返らせる方向に、ようやく動き始めたのです。

農林水産省は、平均農地を五年で十倍にする方針を打ち出しました。これまでは、市町村や都道府県が中心となって農地拡大を支援していましたが、それでは農協などが絡んでくることもあって、十分に機能していませんでした。そこで、農地中間管理機構をつくり、農業をやめた人の農地や耕作放棄地を合わせて整理し、大規模化した上で、大規模農家に生産してもらうよう推進することになりました。

農産物を生産するだけの一次産業は、国内における二次三次産業を含めた食品関連産業100兆円のうちわずか10兆円を占めるに過ぎません。現在では、大規模化、法人参入によって六次産業化を目指し、若者をどんどん招き入れることで、農業の拡大を図っているところなのです。

今日のお話をまとめます。
TPPで関税が縮小撤廃される中、国内農業の競争力を図る必要が出てきています。大規模化し、企業参入によって六次産業化することで、農業を強化したいと国は考えています。一方で、強化するのであれば、減反や補助金の縮小を進めなければなりません。農家側にとってみれば、たとえば、主食である米の生産を続けるか、補助金をもらえる飼料米や加工米の生産に移行するかなど、判断しなければならないことが増えてきています。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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