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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 米国の航空会社の合併と寡占化傾向 (国際経営、国際物流/星野裕志)

米国の航空会社の合併と寡占化傾向

星野裕志 国際経営、国際物流

14/01/01


先日アメリカに出張していましたが、最近航空会社の合併についての興味深い司法判断もありましたので、今日と明日で航空業界の動きと空港についてお話しをしたいと思います。

まずアメリカの航空業界ですが、1970年代後半のカーター政権の時に、航空自由化が実施されて以来、200数十社の航空会社が新規に参入したと言われています。最近日本でもLCCと呼ばれる格安航空会社の参入が見られますが、アメリカの新規航空会社の参入は、比較にならないくらい多いということになります。実はそれらの多くが今までに市場から撤退して、ネットワーク型と言われる従来からの大手のいくつかの航空会社とサウスウエスト航空会社のように、比較的歴史が浅いながらも成功を収めた数少ない航空会社が、業界の上位を占めていました。

ところが、ここ何年かの内に、航空業界の寡占化傾向が一層強くなってきました。まずその先駆けになったのは、2008年日本にも古くから乗り入れていたノースウエスト航空をデルタ航空が買収し、2010年にはユナイテッド航空がコンチネンタル航空を合併して全米最大の航空会社になる一方で、今年の2月にはアメリカン航空がUSエアウェイズの買収を発表していました。今回の司法判断とは、そのアメリカン航空とUSエアウェイズの合併についてのアメリカの司法省が、反トラスト法(独占禁止法)の観点から差し止めをかけていたのですが、結局アメリカ国内7カ所の空港の発着枠を手放すことで承認しました。

首都ワシントンDCのロナルド・レーガン・ナショナル空港に、アメリカン航空が保有する52の発着枠の他、ニューヨーク、ボストン、ロサンゼルス空港などの発着枠を譲渡するそうです。羽田空港の発着枠の配分で、不利な条件を課された日本航空が国土交通省を提訴するといった報道も最近ありましたが、ドル箱路線の発着枠はそれだけ航空会社の競争力につながるので、あえて合併を認める代わりに、ハンディキャップをあたえるということでしょう。

アメリカン航空の発表によると、業界第3位のアメリカン航空と同じく第5位のUSエアウェイズの合併が実現すると、両社で合わせて56ヶ国336都市に向け毎日6,700便を運航する世界最大の航空会社になるそうです。保有機数だけを見ても、日本航空や全日空の5社分に相当するという巨大な航空会社です。なぜ今回の合併に待ったをかけたのかというと、いよいよこのような巨大な航空会社が誕生して寡占化が進むと、航空会社間の競争が妨げられて、運賃の上昇や路線の統廃合が生じ、サービスの質の低下を招くことによって、利用者への不利益が懸念されることです。

今回の合併の承認で、新しいアメリカン航空を筆頭に、ユナイテッド航空、デルタ航空とサウスウエスト航空の4大航空会社で、アメリカの航空市場の約7割を占めるといわれており、かつてのアメリカン航空、ユナイテッド航空、デルタ航空に現在はないイースタン航空を加えた、航空自由化前の4強の時代に逆戻りすることになります。いよいよ巨大航空会社による寡占化の影響が心配されることになります。
  
このようにお話するとアメリカの航空業界は、非常に景気がいいのかということになりますが、そうではありません。実はアメリカン航空は、わずか2年前の2011年にチャプター・イレブンといわれる連邦破産法第11条の適用を申請して再生しましたし、同様にユナイテッド航空は2002年に、デルタ航空とノースウエスト航空は2005年に経営破綻して、このチャプター・イレブンを申請しています。それぞれに航空燃料の高騰やテロによる利用者の減少、ハリケーンの影響で経営が悪化したことなどが原因ですが、航空会社の経営基盤は決して安定しているとはいえません。それは、日本航空の経営破綻を見ても同様です。

業界のトップから数社の企業が、どこも経営破綻から立ち直った企業ばかりだというのは、非常に奇妙な業界とも言えます。それぞれに、規模の経済性を追求し、ネットワーク効果の最大化と効率化を狙っての動きなのでしょうが、それを実現したあとの動きが気になるところです。運賃の高騰や利便性の低下につながらないかということです。

今日のまとめは以下の通りです。
「今回は、アメリカの司法省が、アメリカン航空とUSエアウェイズの合併により全米最大の航空会社が誕生することを承認したことにより、航空業界の寡占化が加速することになります。今後の寡占化の影響を注視する必要があると思います。」

分野: 国際ロジスティクス 国際経営 |スピーカー: 星野裕志

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