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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > トヨタとホンダのCMにみる双方の市場への打ち出し方の違い② (マーケティング/出頭則行)

トヨタとホンダのCMにみる双方の市場への打ち出し方の違い②

出頭則行 マーケティング

14/01/23

前回は「トヨタとホンダのCMにみる双方の市場への打ち出し方の違い」というテーマの下、現在の自動車業界の2強であるトヨタとホンダのコマーシャルの作り方が異なるということをお話しました。
今日は、その違いはどういう所以、背景から生ずるのかということに、様々なアングルから迫りたいと思います。

前回の内容を簡単におさらいしますと、トヨタの場合、「プリウス」を例にとってもクルマの走りをみせるのではなく、タレントさんを起用したものや社会性や公共性のあるCMが多いです。
それに対してホンダは、「FIT」に代表されますように、気持ちのよい音楽と、軽快な走りをみせるCMが多く、そこに2社の大きな違いがあるということです。
そこで今日は、何故そのような違いが生じているのかという事を4つのアングルからお話したいと思います。

まず、「販売網の違い」というのがあります。つまりディーラー網の違いです。トヨタは多くの場合、地元の有力者がディーラーになっています。一方、ホンダはどちらかというと直系のディーラーが多いです。トヨタの場合は、ディーラーと言っても完全に別会社になります。そのため、常に広告がディーラープロモーションに繋がるようなことを意識せざるを得ないというようなことがあるのです。つまり、ディーラーが売りやすいようなCM作りをするということです。また、ディーラーというのは地元に密着するものですから、公共性というものが当然出てきます。
一方、ホンダの場合はブランドイメージを商品中心に作っていこうというのが表れています。"Power of Dream"、つまり「夢を原動力にして」という事で、「技術がこのクルマの中に生きています」というブランド作りをやっていくというところが違いなのかなと思います。コマーシャルにタレントを使ってあまり走りをみせないトヨタと、気持ちよく走る車のホンダの違いには、まずこの「販売網の違い」があるのかなと思います。

また、トヨタは昔から「マーケットイン型」の企業と言われています。つまり、ユーザーのニーズに合わせているということです。消費者の要望に沿ってクルマを作り、売っていっています。一方、ホンダは「技術のホンダ」と言われ、「プロダクトアウト型」と言いますか、自社の技術力を強く打ち出しています。

また別の見方として、「ブランドイメージの作り方」という点に違いがあると思うのですね。「ブランド」というのは、基本的には「信頼感」です。リーダー企業の場合、どうしてもシェアが大きいため、「親近感」や「存在感」のようなものから「信頼感」を作っていこうとするわけです。一方、チャレンジャーというのはリーダーと同じ事はできません。むしろ時代の新しさのようなものから、信頼感を作っていくのです。このような違いもCM出ているかと思います。
トヨタの場合、消費者にとって非常に親近感のあるタレントさんを起用する事で、ブランドの親近感に繋げていっています。これは、タレントの後ろ側には、タレントが代表するところの消費者たちがいるという前提があります。一方、クルマの走りを見せるという事は、その走りを実現する技術力を見せることになります。このようなブランド作りの違い、つまり「親近感」から作るのか、「新しさ」から作るのか、これが違いとなって出ているということです。

フィリップ・コトラーという世界的な「マーケティングの大家」がいます。彼のセオリーの中で有名なものの一つとして、企業を4つのカテゴリーに分けるというのがあります。「リーダー企業」、「チャレンジャー企業」、「ニッチ企業」、そして「フォロワー」というカテゴリーで、すべての企業はこの4カテゴリーのいずれかにに属するというものです。彼の理論に則すると、リーダーというのは「現状維持」したいというわけです。現在のプレステージを維持したい、そして非価格的なところで競争したいと思っているのですね。つまり、リーダーは価格競争にはのみこまれたくないのです。今のトヨタは、まさしくリーダー企業らしい戦略に則っているコマーシャル作りであると言えます。これに対してホンダは「差別化」、彼らの場合は「技術」を強く打ち出しています。夢を実現させる技術にフォーカスしてチャレンジしていくということです。

以上4つをまとめると、「販売網の違い」という事、トヨタの「マーケティングイン型」であるのに対し、ホンダが「プロダクト・アウト型」という事、また「ブランドイメージ」の作り方の方向性の違い、つまり「信頼感」の作り方の違い。さらに先ほど言いましたリーダー企業とチャレンジャー企業の戦略の違い、これらがコマーシャル作りの違いの背景にあるのだろうと思います。

分野: マーケティング |スピーカー: 出頭則行

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