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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 中国の金融引き締めと南アジア進出① (企業財務 M&A/村藤功)

中国の金融引き締めと南アジア進出①

村藤功 企業財務 M&A

13/12/12

今回より二回にわたって、中国の話をしたいと思います。というのも昨年度、私は九州大学で一年間のサバティカル(長期休暇)をとって、中国や韓国、ロシア、モンゴルを訪れたのです。その際に見聞したことについては、拙著『東北アジアの真実』(創成社、2013年)に詳しく載っています。ちなみにこれで、通算六冊目の出版となりました。

さて、中国では、昨年の秋に開催されたシーバーダー(十八大)と呼ばれる第十八共産党大会あたりから大騒ぎが始まりました。そこで新たな指導者として、習近平国家主席と李克強首相の二人が登場したのです。習近平氏は、「中国の夢」という中華民族の偉大な復興を目指すスローガンを掲げて、鉄道省をつぶして民間に鉄道をやらせたり、エネルギー利権をそごうとしたりして頑張っています。エネルギー利権に関していえば、ペトロチャイナという天然ガスの会社や、シノペックという石油会社、海洋石油の三社が、鉄道省と同様、巨大な利権を持っているのです。常務委員らもこの利権に大きく携わっており、習政権はこれら石油閥と闘争をはじめています。

ところで中国の経済成長は、これまで二桁成長だったものが、最近、7~8%くらいに落ち込んできています。日本のようなゼロ成長の国にとってみれば、7~8%であっても大変な成長であることに変わりありません。中国は、内陸部の農民や環境のことを考えた上で、多少数値が下がろうとも、より安定した成長を目指そうとしているのです。

一方で中国では、シャドーバンキングが増加しています。これは、不動産開発会社や地方政府傘下の「融資平台」が理財商品で集めたお金を不動産につぎ込んだり、中国の大手企業が銀行から借りた金を、他の企業に融資するというものです。中国人はそもそも、金利が非常に低い銀行へお金を預けることはしません。代わりに、シャドーバンキングのお金の元である理財商品に預けるのです。たとえば銀行預金の金利が3%くらいとすると、理財商品は5%~10%の利回りを有します。これらの資金は、地方政府のインフラ投資、とくに、住宅投資へ回っています。中国の銀行業監督管理員会は、2013年3月末でこの理財商品残高が8兆元(130兆円)に達したと発表しました。一方で、野村の香港法人は、19兆元(300兆円)くらいあるのではないかとも話しています。また、20数兆元に達するのではないかとの説があり、実際のところはよくわかりません。

お金が銀行預金ではなく、理財商品を通じて地方の不動産開発にまわされたために、怪しいゴーストタウンが増え始めたという説があります。その結果、全体の2~3%が不良債権化するのではないかと言われています。金額にして8~10兆円程度ですので、それほど巨額の焦げ付きにはならないと中国人はみています。しかし外国では、もっと高いパーセンテージで破綻し、破綻した時の責任の所在がわからない、といわれています。個人や大企業などの投資者や金融商品販売をしている銀行、不動産開発を行った地方政府、のうち、一体誰が責任を取るべきなのか、よくわかっていないのです。したがってシャドーバンキングは、中国にとって大きなリスクとなるかもしれません。

今日のお話をまとめます。
最近の中国では、シャドーバンキングが何百兆円という巨額に達し、そのうちのどのくらいが不良債権となるのかわからないことが問題となっています。アメリカでは、連邦準備銀行(フェデラル・リザーブ)が金融縮小に動いているため、これからいろいろな株価が下がる見込みです。したがって中国政府は、海外で非難されることを避けるために、金融引き締めを行ってシャドーバンキング対策に乗り出したところです。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

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