QT PRO モーニングビジネススクール

QT PRO
モーニングビジネススクールWeb版

FM FUKUOKAで放送中「QT PRO モーニングビジネススクール」オンエア内容をWeb版でご覧いただけます。
ポッドキャスティングやブログで毎日のオンエア内容をチェック!

PODCASTING RSSで登録 PODCASTING iTunesで登録 電子書籍で記事を読もう! EPUB

ブログ&ポッドキャスト詳細

シリア

村藤功 企業財務 M&A

13/12/05

シリアではアラブの春以来、イギリス帰りのアサド大統領と反体制派が、二、三年にわたって戦っています。反体制派側はアサド大統領を追いはらいたいと考え、アサド大統領側は、反体制派の中にアルカイダなどが混ざっていると主張しています。アラブの春的にいえば独裁者を追放することが常ですが、反体制派の中にアルカイダが入っているとすると、欧米側もどちら側がよいと簡単に語ることはできません。

こうした状況の中、8月には、シリアで化学兵器が使われました。シリアはもともと化学兵器大国と言われています。1980年代から、マスタードガスやVX、サリンなど、千数百トンの化学兵器を50か所くらいに分散して持っているとされてきました。ほかにも射程500キロのスカッドミサイルも有しているので、周辺国にとっては、本当に鬱陶しい状況でした。そうした持っているだけでも嫌だった兵器を実際に使用したため、周辺国もこれを見過ごすことはできなくなりました。もっとも世界では、1997年に化学兵器禁止条約が既に締結されているため、化学兵器を用いることは禁じられています。

そこでアメリカのオバマ大統領は、化学兵器処分のためのシリアへの軍事介入を叫びました。ところがアメリカ国民からの反対の声があまりに大きかったため、アメリカ議会の承認を要請する必要に駆られました。国連の安保理事会には、ロシアや中国など、アメリカといつも対立する人たちがいます。特にロシアは、シリアに武器を輸出したり、シリアに基地を持っていたりします。したがってロシアは、国連の承認なしにアメリカがシリアへ軍事介入することを許すことはできない、という立場です。そもそも化学兵器の使用にしても、アメリカはシリア政府が使用したと言っているのに対して、ロシアは反政府側が使用したと主張しています。このようにお互いの言い分が食い違う中で、シリアの化学兵器を国際管理して廃棄することをロシアが提案しました。この提案についてアメリカが考えているうちに、諸国や国連が皆賛同したがために、アメリカも乗らざるを得なくなりました。1997年の化学兵器禁止条約締結の際につくられた化学兵器禁止機関(OPCW: Organization for the Prohibition of Chemical Weapons)が、11月1日までにシリアの化学兵器生産設備を廃棄して、2014年の前半までに化学兵器をすべて廃棄することとなりました。アメリカの介入を嫌がっていたアサド大統領もこの提案に乗っかったために、11月1日には実際に化学兵器生産設備のすべてを約束通りに廃棄しました。

しかし、シリア国内のいろいろな所に山のようにある既存の化学兵器の廃棄を来年の前半までにできるかどうかというのが、今問題となっています。化学兵器を廃棄しようにも、内戦状態にあるシリアでは、危なくて化学兵器に近づくことさえできたものではありません。アサド大統領は協力すると話していますが、反体制派は協力を表明していません。このように、シリアの化学兵器問題も混迷を深めているところです。

今日のお話をまとめます。
シリアにおける化学兵器使用に対し、アメリカは軍事介入を叫びましたが、国内の世論によって難しい状況に陥りました。そのような中、化学兵器の国際管理に関するロシアの提案が国連を通り、各国より賛成を得ました。この一連の流れによって、有言実行できなかったアメリカの威信が地に落ちることとなりました。またシリア国内では、化学兵器生産設備の廃棄には成功しましたが、内戦が起こっている現状、兵器の廃棄を実際にできるかどうか不明の状態にあります。

分野: 財務戦略 |スピーカー: 村藤功

トップページに戻る

  • RADIKO.JP
  • ビビックスマホ