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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 自社のビジネスモデルを紙1枚で表現する(その2) (産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ/高田 仁)

自社のビジネスモデルを紙1枚で表現する(その2)

高田 仁 産学連携マネジメント、技術移転、技術経営(MOT)、アントレプレナーシップ

13/12/03

・前回は、ビジネスモデルを俯瞰して紙1枚で表現するツール「ビジネスモデル・キャンバス」について、その全体像と、そのなかで最も重要な「価値提案」と「顧客セグメント」について説明した。
・今日は、この「キャンバス」の利用のポイントについて解説したい。重要なのは、あくまでも「キャンバス」に描かれたビジネスモデルは仮説にすぎないということだ。ほとんどの場合、「価値」も「顧客」も、参加メンバーが机上で想定しただけなのだ。
・このキャンバスを活用する授業では、「Don't fall in love with your first idea!(最初のアイデアと恋に落ちないように!)」とか、「答えは教室にはない!」といったことを何度も繰り返して受講者に思い出させる。人は、自分が思いついたアイデアに惚れ込んで自画自賛する傾向が強く、そこから抜け出すのは、実は至難の技なのだ。
・従って、キャンバスを用いてビジネスモデルを検討するときも、いったん組み立てたビジネスモデルが顧客の欲求にフィットするか、実在の顧客に何度も接触を試みて、かれらの欲求に耳を傾け、本質を理解することが重要なのだ。
・顧客の声を聞いた結果、自ら考案した製品やサービスの「価値」が顧客ニーズにフィットしなければ、製品やサービスのあり方、あるいはターゲット顧客そのものについて見直して方向転換し、ビジネスモデルの一部/全体を変更しなければならない。この方向転換のことを「ピボット」という。「キャンバス」を用いてシンプルにビジネスモデルを表現できると、どこが要点かも判りやすいので、ピボットもやりやすい。
・スタンフォード大学の調査によると、シリコンバレーのベンチャー企業で、ピボットを複数回経験した企業は、ピボットが無かった企業よりも資金調達額が大きかった、という結果が得られている。つまり、「思い込み」に囚われるのではなく、「現実を冷静に観察し、現実に冷静に適応する」ことがビジネスの成功には重要ということだ。

・かつてアメリカで太陽光発電ビジネスを考えた起業家がいた。男は、太陽光発電が最も使われる場所はどこかを考え、「郊外の大規模ショッピングセンターだ!」というアイデアを得た。確かに、テキサスやニューメキシコ、アリゾナなどでは、年間を通じて晴天の日が多く、大規模ショッピングセンターは空調や冷蔵・冷凍のために膨大な電気を使用する。そして、その電力需要のピークは、太陽光発電が最大出力を示す正午〜4時ころまでだ。
・そこで男は、大型ショッピングセンターに太陽光発電システムを売る、という単純なビジネスモデルを考え、ショッピングセンターに交渉に行った。しかし、ショッピングセンターはYesとは言わない。当然だ。大規模太陽光発電システムは、初期投資が高額過ぎるのだ。
・そこで男は、ビジネスモデルを見なおした。「自分たちが太陽光パネルを購入し、それをショッピングセンターの屋根に置かせてもらい、毎月の電気料金相当額で支払ってもらおう!」というアイデアを考案したが、これもダメ。当然だ。自分たちには、大規模太陽光発電システムを購入する資金がない。
・男はさらにビジネスモデルを変えた。太陽光発電システムを購入するために、"低リスクの投資案件"として広く投資家を募り、その資金でシステムを購入してショッピングセンターに設置させてもらい、毎月の電気料金相当額を投資家と分けるのだ。自社、投資家、ショッピングセンターの3社にメリットをもたらすビジネスモデルは成功し、この会社は全米一の太陽光発電ビジネスの会社となり、その後、2億ドルで大手企業に買収された。この一連のビジネスモデルの変化を、キャンバスを使えば簡単に表現できるのだ。

・最近では、ベンチャー企業や既存企業の新規事業担当部署では、この「ビジネスモデル・キャンバス」を壁に張り出し、ポストイットでそれぞれのボックスに自分たちの「仮説」を貼りだしてメンバーで共有し、新しい有益な情報が得られるとポストイットを張り替えたりして、「あーでもない、こーでもない」とビジネスモデルのブラシュアップやピボットを繰り返しながらビジネスの確度を高めている。

・以上のように、ビジネスモデルの構造を紙1枚でシンプルに表現できる「ビジネスモデル・キャンバス」は、ビジネス・パーソンの標準ツールになりつつある。面白いのは、海外のセミナーなどでも、このツールを使うと理解が格段に早まることだ。
・このようなツールを使いながら、創造的なビジネスを生み出す企業が増えて欲しいものだ。

【今回のまとめ】
「キャンバス」に描かれたビジネスモデルは仮説にすぎない。本当に顧客ニーズが存在するか否か、想定顧客に接触して確認し、必要であれば方向転換(ピボット)することが重要だ。

分野: 産学連携 |スピーカー: 高田 仁

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