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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 他者の失敗をどう見るか? (社会心理、組織心理 /藤村まこと)

他者の失敗をどう見るか?

藤村まこと 社会心理、組織心理

13/11/06


今日は前回に引き続き、出来事の原因を探す心理についてお話します。
前回のおさらいをすると人は失敗や成功なり、何らかの出来事があったときに、その出来事の原因を探す傾向があります。それは自分自身のことだけでなく、友達や他の人、マスメディアから流れてくる事故や犯罪でも同じで、なぜそうなったのか、ついつい原因を探してしまうようです。そして、原因として考えられることは、大きくふたつに分けられます。当事者自身に関する原因、そしてその人を取り巻く環境や状況に関する原因です。また、人は自分に対しては甘くなりがちで、自分の失敗は人のせい、自分の成功は私のせいという心理的な作用が働くといわれています。

■他者の失敗をみたとき
それでは、自分以外のだれかの失敗を見たときはどのように原因を推測するのでしょうか。これまでの研究では、人は他者の失敗に対しては厳しい見方をするようで、本当は状況などの外的な要因が原因で生じた失敗であっても、その人自身に原因があると思う傾向があるようです。例えば、仕事で部下が失敗したとき、本当は他の仕事で忙しかったのかもしれない、もしくは課題が難しすぎたのかもしれませんが、第三者からすると、その人の努力不足、やる気のなさ、力不足など、その人自身に目がいってしまいます。しかし、おそらく本人は自分のせいだけではないと思いがちです。このように、出来事の当事者と、それを観察した第三者とでは、原因の見方が食い違うことが分かっています。これは、「基本的な帰属エラー」あるいは「行為者観察者バイアス」とよばれ、広く見られる現象です。

職場などでは、上司や先輩にあたる人は、部下や後輩の失敗を目にすることも多いかと思います。そのときに、部下や後輩自身に原因があると思ったならば、上司や先輩は、懲罰的な対応を取るかもしれません。気持ちややる気が足りないと感じたときには、怒りを感じることもあるかもしれません。このように、人の失敗をどう見るかは、見た人の感情や行動を方向づけます。もしそのとき、部下や後輩自身ではなく、環境や状況を見ることができれば、課題の量や質を変える、上司から部下への伝え方を変えるなど、別の対応の仕方も出てきます。上に立つ立場の人は、他者の原因を見るときには、過度に当事者自身の原因を重要視してしまうことを知り、気をつけたほうがよいでしょう。

ときに、ニュースなどでは事故や事件などを見聞きします。すると、きっと加害者は悪い人なのだろう、と短絡的に考えてしまいがちです。また、会社や組織などの例を見ても、きっとあの会社はひどい会社に違いないと考えてしまいがちです。しかし、それぞれに事故や事件が生じるまでのプロセスには違いがあり、一概に、当事者だけを責めることができないこともあります。

■基本的帰属エラーはなぜ生じるのか
それでは、なぜ観察者は、過度に当事者の内的要因を重視するのでしょうか。ひとつは、視点の違いがあります。観察者は、出来事に関わった人とその結果のみを見ることが多いのではないでしょうか。結果にいたるプロセスまでを把握することは困難です。そのため、過度に当時者自身と結果を結び付けてしまうのかもしれません。一方、出来事の当事者は、自分自身を見ることはできません。目に入るのは自分の環境や状況です。また、結果にいたるまでのプロセスも把握しています。そのため、結果を導いた原因として、環境や状況の要因を重要視すると考えられています。

■失敗を繰り返さないために
そのため、観察者による原因帰属のエラーを防ぐためには、注意深さが必要です。目に入りやすい当事者と結果だけでなく、当事者を取り巻く環境や、結果にいたるプロセスを再度精査することが求められます。失敗、事故、事件、いずれにしても、同じ過ちを繰り返さないことが重要です。そのためには、短絡的に本人を叱って罰したり、人を入れ替えることは簡単かもしれません。しかし、もし人ではなく状況に原因があったなら、恐く別の誰かが同じ状況に置かれたとき、失敗を繰り返すことになります。これでは解決とはいえません。失敗を繰り返さないためには、出来事の本当の原因を見つけ、それを改善することではないでしょうか。


分野: 心理 |スピーカー: 藤村まこと

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