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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 年金の問題点 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

年金の問題点

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/11/26

今回は、年金制度の問題点について御話しします。最初は何と言っても年金財政が非常に苦しいという事です。年金制度の基礎が出来たのは、高度成長期です。その頃は、高齢者は少なかったですし、人口は増えていましたし、少子高齢化は意識されていませんでした。したがって、多くの現役世代が少数の高齢者を支えるという前提でシステムが出来たのです。
はじめから、自分で積み立てた資金で自分の老後を過ごす、という制度にしてあれば、少子高齢化が進んでも問題なかったのですが、そうではなかったのです。残念なことです。
その後、少子高齢化が進みましたから、現役世代の人数と高齢者の人数の比率が大きく変化したのです。今後も、こうした傾向は続きます。少子化が止まったとしても、今後産まれて来る子供たちが年金を払いはじめるまでは年金財政は苦しくなり続けます。
そこで、現役世代が支払う年金保険料が少しずつ引き上げられていく事、高齢者に対する厚生年金の支給開始年齢が少しずつ引き上げられていく事、などが決まっています。加えて、マクロ調整スライドという仕組みが導入されていますから、予想以上に少子高齢化が進んだ場合には、自動的に年金支給額が減らされる、という事になります。これにも例外はいろいろありますが、ご興味のある方は厚生労働省のホームページなどをご覧下さい。
今後、私たちが老後に年金をどれくらい受け取れるかは、日本経済が元気になって現役世代の給料が上がるか否かにかかっています。更に長い目で見て、今の若者が受け取る年金の額は、少子化が止まるか否かにかかっています。経済が成長し、少子化が止まる事を祈りましょう。
次に、年金の不公平について御話しします。年金制度の骨格が出来た高度成長期は、失業者がほとんどいませんでした。現役世代の男性は自営業主かサラリーマンでしたし、女性の多くは自営業主の妻として働いているか、サラリーマンの専業主婦でした。こうした時に出来た制度が、「自営業は共働きだから夫婦二人とも年金保険料を支払うけれども、サラリーマンの専業主婦は支払わなくて良い」というものでした。
しかしその後、女性の社会進出が進むと、二人ともサラリーマンの夫婦は二人とも年金を支払う事になり、不公平感が出てきました。最近では専業主婦を養えるのは高給取りの恵まれた夫だけで、そうでない家庭は共働きをせざるを得ないという状況ですから、専業主婦だけが年金を支払わない事の不公平感は増しています。不公平感だけではありません。専業主婦の年収が130万円に達すると年金を払わされるので、それ以上働かないようにしよう、という人も少なくありません。これは、本人も残念でしょうし、経済全体としても勿体ないことです。
また、失業者や非正規社員が増えて来た事も不公平感を増しています。夫婦ともに非正規雇用で貧しく暮らしていると、二人とも年金を支払う必要があります。サラリーマンがリストラされて非正規雇用や失業者になると、夫婦の生活は苦しくなるのに妻に新しく年金支払い義務が生じるのです。離婚も同様です。正社員の専業主婦が離婚すれば、生活が苦しくなる場合が多いでしょうが、今まで支払っていなかった年金を支払う義務が生じるのです。
年金制度が出来た時には、男性の失業や非正規雇用は例外的でしたし、離婚も今よりもずっと少なかったので、こうした格差は大きな問題にはなりませんでした。問題は、その後社会が変化したのに制度が昔のままである事なのです。
今ひとつ、大学で学生に接していて思うのは、20歳になると学生は年金を払う義務が生じる事への疑問です。彼等は、年金の支払いをしばらく待ってもらう事は出来ますが、いつかは払う必要があります。奨学金を借りてアルバイトをして何とか生活している彼等と、正社員の専業主婦を比べると、彼等の方が生活は苦しいはずなのに、彼等は払い、専業主婦は払わないのです。
普通の家庭の人が普通に大学に通っているわけですから、20歳の大学生が特に恵まれているというわけではありません。一方で、今では専業主婦を養える男性は恵まれた人と言えますから、養われている専業主婦は更に恵まれていると言えるでしょう。時代の変化に応じて、制度が変更されるべきでしょう。
もっとも、こうした制度を変更するのは楽ではありません。既得権を持った人が抵抗する、という事も大きいのですが、年金の場合には、何十年か払った後に何十年か受け取るというものなので、制度がコロコロ変わるようでは困るのです。したがって、将来仮に政権交代があったとしても、制度がコロコロ変わらないで済むように、与野党が幅広く合意できるようなものにしないといけないからです。

まとめ:少子高齢化によって年金財政が非常に厳しいことは良く知られていますが、それ以外にも年金制度には様々な問題点があります。制度が出来た当時と今とで社会の変化が大きいため、不公平が生じているのです。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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