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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > ガソリンの値段 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

ガソリンの値段

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/11/19

ガソリンの値段は、比較的大幅に値上がりする事があって、ニュースになったり懐を直撃したりします。ガソリンの値段はどのように決まっているのでしょうか。
ガソリンの値段を分解すると、ガソリンスタンドがガソリンを仕入れるコストと、ガソリンスタンドの経費と、ガソリンスタンドの利益と、税金に分けられます。最後の税金はガソリン税と消費税ですから、それほど動きません。利益は、あまりガメツく儲けようとすると客がライバルに流れてしまうので、どこのスタンドも「ほどほどの利益」を上乗せしているはずです。したがって、これも大きくは動きません。ガソリンスタンドの経費は、人件費などですから、これも大きくは動きません。
大きく動くのは、ガソリンの仕入れの値段なのです。ガソリンは、原油から作られます。石油会社がアラブの王様から原油を買って来て、それを重油とかガソリンとかに分解して、ガソリンをガソリンスタンドに売っているのです。
原油の値段は、ニューヨークで決まっています。原油を売りたい人と買いたい人が世界中からニューヨークの取引所に集まってWTIという原油の売り買いをしています。そこで決まる値段は、ニュースでも毎日のように報道されています。日本の石油会社がアラブの王様から原油を買うときの値段は、ニューヨークのWTIの値段を参考にして決めているのです。
具体的には、「あなたの国の原油は品質が良いから、ニューヨークのWTIの値段の1割増しで買いましょう」といった決まり方をする場合が多いようです。
ニューヨークの取引所で決まる原油の値段は、比較的大きく上り下がりします。その理由の一つは、売り買いする人々の中に、投機をする人が含まれているからです。たとえば中国の経済が順調に成長して大量の原油を買うようになるだろう、ということを人々が考えた場合、実際に中国が成長して大量の原油を買う事によって原油価格は上がるよりもずっと前から「原油を買っておいて将来高くなったら売ろう」という人々が買い注文を出すので、原油価格は直ちに値上がりするのです。
ニューヨークで取引されているのは原油そのものではなく、原油の先物と呼ばれるものです。これは、たとえば「3ヶ月後に1バーレルの原油を100ドルで買う」という契約をするのです。1バーレルというのは原油1樽という意味で、具体的には159リットルなのだそうです。
3ヶ月後になると、実際に原油を買うのではなく、当日の原油が100ドルより高ければ差額を受け取り、安ければ差額を支払うのです。つまり、実際に原油を買う人や売る人でなくても取引できますし、原油を買ってしまったから倉庫を用意しなければならない、という事も起きないのです。
そうなると、株の売買と同じ感覚で、値上がりすると思ったら買い、値下がりすると思ったら売る、という人が出てきます。つまり、世界中で株を取引している人々が、原油先物の取引にも参加してくるのです。
ニューヨークで取引される原油の量は世界中で取引される株式の量に比べると遥かに小さいので、巨額の資金が株式から原油に向かうと原油価格が大きく上昇し、原油から離れると大きく下落する、というわけです。
こうして、石油会社がアラブの王様に支払う原油の代金は大きく変動するわけですが、もう一つ考えるべきことがあります。アラブの王様には代金をドルで支払うので、石油会社は銀行でドルを買う必要があるのです。ドルの値段も、買いたい人が多ければ上がりますし、売りたい人が多ければ下がります。原油や株と同じです。そして、貿易をしている人だけではなく、株を売り買いするのと同じ感覚で、上がると思ったら買い、下がると思ったら売る、という人も大勢取引に参加しています。したがって、ドルの値段も時として大きく動きます。
石油会社の支払う金額は、原油価格とドルの価格の掛け算ですから、時として非常に大きく動くことになるのです。
さて、外国製自動車の値段は、外車ディーラーが外車を仕入れるコスト、ディーラーの諸経費と利益、消費税などで決まっています。ここまではガソリンと似ています。もっとも、外国での自動車の値段は比較的安定していますから、ドルの値段が動いた分だけが国内価格に影響することになります。従って、ガソリン価格ほど大きな変動はしないのが普通です。
国産自動車の値段は、外国製自動車に比べても更に変動が小さくなっています。それは、国産車のディーラーが自動車メーカーから仕入れる自動車の価格が安定しているからです。
メーカーの売値が安定しているのは、メーカーのコストが比較的安定しているからです。もちろん、製鉄会社が外国から買って来る鉄鉱石や石炭の値段は変化しますから、その分は自動車メーカーが製鉄会社から買う鉄の値段が変化しますが、それ以外のものは比較的安定しています。
自動車の値段がガソリンより安定しているのは、そうした訳です。

まとめ: ガソリンの値段は、為替レート、原油価格、ガソリンスタンドの経費などの影響を受けます。経費はそれほど変化しませんが、為替レートと原油価格は大幅に変化することがあるので、そうなるとガソリン価格も変化します。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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