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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 稲盛会計学 6・採算向上の原則2 (日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学/岩崎勇)

稲盛会計学 6・採算向上の原則2

岩崎勇 日本の会計、国際会計、税務会計、監査論、コーポレート・ガバナンス、西洋・東洋思想と倫理、経営哲学

13/10/30


(1) はじめに
京セラの7つの会計原則、いわゆる稲盛会計学ということで、キャッシュベース経営の原則、1対1対応の原則、筋肉質経営の原則、完璧主義の原則、ダブルチェックの原則、ガラス張り経営の原則について、これまでシリーズでお話ししました。

(2) 採算性向上の原則と時間あたり採算
今日は最後の採算性向上の原則についてお話しします。
企業は商品やサービスを社会に提供して、それで社会貢献をしながら、その反対給付として効率的に利益を得ることが採算性向上の原則です。その点、稲盛会計学はちょっと特殊で「付加価値をベースとしたアメーバ経営」という考え方をしていて、「時間あたり採算」というものを非常に重視します。稲盛会計では、「社外に出荷した分」と「社内の他のアメーバに出荷した分」、これらを「総出荷」といいます。これがグロスの生産高ですが、それから「社内から買った分」(他のアメーバから買った部分)を差し引いたものがネットの生産高であり、「総生産」と呼ばれます。総生産からさらに原材料費や外注加工費等を差し引いたのが「差引売上」で、これが付加価値に相当するものです。それを総時間で割ると「時間あたり採算」というものが出てきて、これが上がるように効率的に経営を行わないといけないのです。
1. 総出荷(グロス生産高)-社内買=総生産(ネット生産高)
2. 総生産(ネット生産高)―(原材料費+外注加工費等)=差引売上(付加価値)
3. 差引売上(付加価値)÷総時間=時間当り付加価値(時間当り採算)

(3)  時間あたり採算と会計との関連
次に、「時間あたり採算と会計との関連」ですが、まず管理会計用に時間あたり採算を計算しないといけないので、日々正確、明快、迅速に発生したものを直ちにアメーバごとに収益とか費用を記録、認識します。これが「1対1対応の原則」ですが、モノやお金が動いた時に、それを必ず伝票で対応させて、モノやお金の動きを会計にかならずリンクさせます。そうすると、自然に全てのモノやお金の動きが会計上反映されることになります。例えば、売上高や生産高を「売上・生産日報」として1対1で発生した時に直ちに記入し、作成しているのです。或いは光熱費や運送費なども「経費日報」として全部即時に記入します。各アメーバの売上日報や経費日報を合計すると全社のものになるので、それを毎日作成しています。京セラのすごいところは前日の数値をその日のうちに集計して、翌朝の朝礼で前日実績の報告会を開いて、経営者のみならず、従業員に対しても報告・開示しているところです。それによって、数値で進捗管理をしています。

(4)  計算上の特徴
また、売上や経費等の集計に関して、各工場や事務の「直接費」はアメーバごとに把握していけばいいので問題はないのですが、総務や人事や資材や経理など直接製造に関わっていな「間接費」については、アメーバごとに代表を選び、各アメーバが納得するような形で、それを配賦します。ただし、本社の総務・人事・経理等のいわゆる本社経費はアメーバには配布しません。このことは普通の原価計算と違います。すなわち、各アメーバが独立に、その採算を把握するのがアメーバ経営の特徴です。それを月次決算書の形でまとめると、財務会計外部公表用のベースができるわけです。そこで管理会計と財務会計がリンクします。アメーバ経営の原価計算の大きな特徴のひとつは、「人件費が各アメーバに入っていない」ことです。普通は原材料費、人件費、経費という3つの費目が原価計算の3大費目ですが、アメーバ経営の原価計算では人件費を入れません。

(5)  まとめ
今日のまとめは、京セラでは採算性向上の原則ということで、付加価値を高め、それを利益に結びつけ、それによって企業を継続発展させていくために、「時間あたり採算」という特殊な概念を利用して経営を行っているということです。

〔参考〕稲盛和夫[2009] 『稲盛和夫の実学 経営と会計』日経ビジネス文庫

分野: 会計 |スピーカー: 岩崎勇

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