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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 非正規雇用 (経済予測、経済事情、日本経済、経済学/塚崎公義)

非正規雇用

塚崎公義 経済予測、経済事情、日本経済、経済学

13/10/24

企業で働いている人は、正規雇用と非正規雇用に大別されます。正規雇用はいわゆる正社員で、終身雇用で原則として定年まで同じ企業で働きます。給料も年功序列賃金制で、経験を重ねることで上がっていきます。
これに対し、非正規雇用は、アルバイト、パート、派遣といった人々です。企業側は雇いたい時に雇い、不要になれば解雇しますし、働く側も働きたい時に働き、辞めたくなったら気楽に辞めます。作業は熟練を必要としないものが多く、何年働いても給料や報酬は増えません。
こうした区分は、企業側の希望と働く側の希望がマッチしている時は良いのですが、最近は企業側が正規雇用を減らして非正規雇用を増やしているので、正規雇用を希望する人が仕方なく非正規雇用で働く例が増えています。バブル期と最近の非正規雇用比率を比べると、男性が1割弱から2割強へ、女性が4割弱から55%に上昇しています。働く側の意識が変わっていないとすると、比率が上昇した部分は正規雇用を希望しながら仕方なく非正規で働いているという事になります。

非正規社員は時間当たり賃金が低いので、充分な収入が得られないことになりますし、雇用の保障が無いために生活が不安定になります。
統計を見ると、非正規社員の労働時間は正規社員の6割ほどですが、収入は4分の1に止まっています。つまり、平均の時給は半分以下なのです。正規社員の方が難しい仕事をしているという面はありますが、それだけではない所が問題なのです。正規であっても非正規であっても、似たような仕事をしている人には似たような時給を支払う、という事であればよいのですが、そうはなっていないのです。
非正規雇用は本来、学生のアルバイトや主婦のパートなどであって、一家の生活を支えるためのものではありません。従って、時給が低くても社会問題にはなってきませんでした。しかし、一家の生活を支える人が非正規で働くようになると、時給の低さは社会問題になりかねません。実際、ワーキング・プアと呼ばれる人々が大量に発生しているのです。

若手男性にとっては、非正規雇用であると結婚相手が見つけにくい、という問題もあります。30代前半の男性について見ると、正規雇用者の6割が結婚していますが、非正規雇用者は3割しか結婚していないのです。30代前半の正規雇用者が6割しか結婚していないという事も驚きですし、それが少子化の一因なのでしょうが、その話は別の機会にしましょう。25歳から34歳までの男性の5〜6人に1人が非正規雇用者で、その割合は急速に増えています。これは、本人にとって深刻な問題であるのみならず、少子化という観点からも深刻な問題です。
女性にとっても、非正規雇用の問題は深刻です。女性の55%が非正規雇用であり、低い収入に甘んじているのです。男性と女性の賃金格差は大きいのですが、その主因は女性の方が非正規雇用比率が高い事にあります。
一度正規で働きはじめても、結婚や出産で退職すると、子育てが一巡してから仕事に戻る際に、正社員になる事は簡単ではありません。そこで、パートやアルバイトなどになるのですが、これによって失う生涯所得は非常に大きなものになります。これは、当の本人にとって大変深刻な問題ですが、少子化の一因としても深刻です。正社員の女性にとっては、出産して退職するか出産を諦めて正社員として働き続けるか、という選択肢があるので、出産を諦めてしまう女性も少なくないからです。

正規社員と非正規社員が似たような仕事をしている場合には似たような時給を支払う、というのは理想ですが、なかなか実現しそうにありません。子育てを終えた女性が正社員として活躍できるのであれば、それも理想的ですが、これも容易ではありません。頭の痛い問題です。
そもそも、なぜ企業は正規雇用を減らして非正規雇用を増やしているのでしょうか。様々な理由がありますが、その根底にあるのはバブル崩壊後に日本経済が長期低迷の時代を迎えた事です。

第一の理由はコスト削減です。熟練を必要としない仕事は、正社員にやらせるよりも非正規社員にやらせる方が安くあがるからです。経済が低迷していてコスト削減の必要性が高まったこと、経済全体として労働力が余っているので必要な非正規社員が何時でも確保できるという安心感があること、などが背景にあります。

第二の理由は、ゼロ成長です。経済が成長している時は、社員を多く採用しすぎても、暫く待てば会社が拡大し、社員の余剰は無くなりますが、ゼロ成長時代には、一度採り過ぎた社員は永遠に余剰人員として残ってしまうのです。したがって、企業は正社員の採用に慎重になり、足りない分は非正規社員で賄おうとするわけです。

企業に対し、「非正規社員にも高い時給を支払いなさい」とか「非正規社員でも簡単にクビにしてはいけません」といった法律を作る事は出来るでしょうが、そうなると企業が非正規社員を雇わなくなって、失業者が増えてしまうかもしれません。この問題は、簡単には解決しそうもありません。

分野: 景気予測 |スピーカー: 塚崎公義

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