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QT PROモーニングビジネススクール > ブログ&ポッドキャスト一覧 > 日本からの農産品輸出の動き② (国際経営論、経営戦略論、アジア産業論/永池克明)

日本からの農産品輸出の動き②

永池克明 国際経営論、経営戦略論、アジア産業論

13/10/15

政府は、6月にまとめた成長戦略で、農林水産品の輸出額を農林水産物の輸出額を2020年までに現状の倍の1兆円に増やすという目標を打ち出しました。民間では、それに呼応してすでに動き始めています。

最近の事例をいくつか挙げたいと思います。
総合商社の丸紅が香港の大手衛星テレビ局と組んで、食品輸出に乗り出すということです。日本の洋菓子を中国へまず輸出し、品目を野菜から果物、米などへ広げていくという計画でいます。対象地域としては、中国、香港からアジア各地が視野に入っています。日本食は、すでに海外市場で一定のブランド力を有しています。現に官公庁の調査によれば、日本に来る外国人観光客の目的の中で、「日本食を食べる」という回答が毎回トップという結果が出ているそうです。

日本の農産品を海外へ持って行って食べる戦略について考えてみますと、一体何が必要となるでしょうか。ひとつは、価格競争力をいかにして高めるか、つまり、安くて質のいいものを現地へいかにして供給するか、ということです。その最大の鍵は、輸送効率を高めることにあります。先ほど紹介した丸紅もこの点を重視して、青果物卸売大手のベジテック(東京都昭島市)と組み、香港への輸送量を増やすことで輸送効率を高めることを考えています。農産物以外の消費財では物流を効率化する情報システムやサプライチェーンマネジメントが非常に発達していますが、農産物においてはそれがまだ普及していません。したがって農産物の場合も、他の産業での経験やノウハウをもっと取り入れて行けば、現地の港や空港へ到着するまでの輸送効率をもっともっと高めることが可能となり、それによって多くの利益が生じます。ちなみに政府は、セミナーや現地での商談会を開くなどして、助成を行うことをメインとしています。今後は政府も、輸送効率向上のための仕組み作りを応援して行くべきでしょう。そうなると、従来の縦割り行政を打破し、オールジャパンで横断的に、農産品の輸出を支える情報システムやサプライチェーンの構築などのサポートを推進することが期待されます。

もうひとつの事例を紹介します。みずほフィナンシャルグループは、クウェートなど中東6カ国が共同で設立した政府系ファンドのガルフ・インベストメント・コーポレーション(GIC)と、日本の食品や農産物を中東へ輸出する合弁会社を折半出資で設立します。輸出拡大によって、日本の農業の成長力を高めることが目的です。経営者には、日本の農業専門家を招くそうです。この会社は、日本の米や農産物、野菜、牛肉など、品質の高い農産品の輸出や現地での販売を行うほか、日本企業が持っている栽培技術や加工のノウハウを活かして、食品工場の新設も手掛けます。中東諸国は、食料資源の安定確保や農業分野での雇用拡大へつなげたいと期待しており、両方がwin-winの関係となります。みずほは日本食品メーカーや商社へも、出資を呼び掛けています。将来的には中東諸国だけではなく、東南アジアのイスラム教徒が多い国(インドネシア、マレーシアなど)へも市場を広げて行きたいと考えています。こうしたものに九州も乗って行けば、全国の二割を占める農水産物を持っている九州にも、チャンスがあるように思います。

アジアの富裕層や中間所得層、中近東の高所得者層は、外貨を蓄積しています。その人たちの間で、安全、安心、品質の高いモノを食しようという志向が高まっています。そうしたニーズに、日本がハイテクを駆使して農業によって応えることで、農業は成長産業として大きなチャンスを得るのではないでしょうか。

今日の話をまとめます。
農業を成長産業として位置付けて、色々な産業の経験やノウハウ、流通・情報システム、資金を活用したビジネスモデルを構築し、海外需要を取り込む動きが広がりつつあります。九州もこうした農業ビジネスを構築していけば、成長の推進力のひとつとなるでしょう。

分野: アジアビジネス 国際経営 経営戦略 |スピーカー: 永池克明

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